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似ている。
涼夜の高校生時代パート2。
───重いよ。
その言葉が頭の中をぐるぐると巡り、何も考えられなくなっていた。
「あーあ、残念」
突如、左頬に鋭い痛みが走った。
「冷たっ!」
気が付くと、明日香は既に教室からいなくなっていた。
俺はずっと、暗くなった教室で佇んでいたのか……。
「まぁ、もうちょっと早く気付くべきだったと思うけどね。明らかに最近、冷たかったじゃん。涼夜に対して」
左隣に依夜がいた。机の上に座って、いつもと変わらぬ態度で。
「……ほれ」
依夜は水色の袋に入った棒アイスを、俺に差し出した。俺の好きなやつだ。
「今日は私の奢り。好きでしょ、そのアイス。ソーダ味の」
「……うん」
依夜といると、心が安らぐ。
「頑張ったね、お疲れ様」
俺は袋を開け、アイスに齧り付いた。
ずっと変わらない、人工的な味。
視界がぼやけた。
「……美味い」
依夜も続いて、自分のアイスを齧った。
「うん……美味いね」
依夜は、涼しい日の夜に似ている。