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同棲癖。  作者: 濃紺色。
同棲癖。
7/16

重いよ。

涼夜の高校生時代。

まだ、高校3年生の時。夕日が沈み始めた、淡い青色とオレンジ色の空。俺達以外、誰もいない教室。


「……話って何?」


期待と不安。

様々な感情が身体中を駆け巡り、少し気持ち悪くなってきた。

オレンジ色に染まった明日香はとても綺麗だった。


「別れよ」

「……は?」


僅か2、3メートル先に立つ、明日香あすかの言葉が信じられなかった。


「私達、別れよ」


2度目。背中が冷たくなるのが分かった。喉が締め付けらるように苦しくなり、動悸が激しくなった。


「いやいやいやいや……何で、そんな急に」

「ごめん。私が悪いの」


違う。俺が欲しいのは謝罪じゃない。


「私の頭がおかしいから」


理由でもない。


「涼夜じゃ、駄目だって。そう思ったの。理由は、ないの」


俺が欲しいのは……。


「理由はないって……じゃ、じゃあ、いいよ。俺待つよ」


そうだ。時間だ。こういうのはきっと、時間が解決してくれる。


「また、明日香が俺のこと好きになってくれるまで。だからさ、別れるのは」

「ごめん」


謝るなよ。お願いだからさ。


「ごめんって……。意味分からないよ」

「気持ちって、分からないことだらけなの。矛盾してることが正常なの。だから、私はあなたと」

「別れたくないよ」


あぁ、女々しいな、俺。


「今までだって楽しかったじゃん。告白してくれたのだって、これからもずっと一緒にいようって言ってくれたのだって、明日香だよ?」


分かってる。そんなの分かってるけど。


「明日香といた時間は無駄になるの? ただの思い出になって終わるの?」


頭がごちゃごちゃになる。明日香が誰かの彼女に、誰かの奥さんになるところを想像しただけで、俺は……俺は、


「ずっと一緒に……結婚だって、俺、考えてたんだよ? なぁ、明日香」

「ねぇ、涼夜」


明日香が、俺の言葉に被せるように口を開いた。


「……何?」


とても冷たく、鋭い目だった。


「涼夜……重いよ」

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