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6 魔剣とプライバシー

 俺はまっすぐ自宅に戻ることにした。

 自宅とは言っても間借りしている集合住宅の一室。

 最低よりはワンランク上って程度の住まいだ。

 しっかり稼いで早く自分の家を建てたいものだな。

 今日くらいの収入を続けれればそれも夢じゃなさそうだよな。


 今日のことは災難と思わずに大チャンスと思おう。

 何事も前向きに行かないとな。


(うんうん)


 たっぷり稼いだんだから、本当は今日くらいはパーッと外食してもよかったんだが、作り置きした料理とか残ってるしな。

 貧乏性なんだから、あまりもったいないことはできない。

 でも、ここで困ったことが発生。

 夕食にはもう一品ほしいなって思って、野菜を包丁で刻もうと思ったら、包丁が握れない。


(他の武器を持ったりしちゃダメー)


 いやいや、これ包丁だから。

 料理をするための道具で武器じゃないよ。


(いやいや、刃がついてるから十分戦えるよー)


 俺の言い方を真似しやがったな。

 包丁で戦うとかどんな罰ゲームだよ。

 そんなことしないから。


(ダメー。そういうふうに決まってるの)


 呪いってのは困ったものだな、融通がきかない。

 まぁ融通がきく呪いとか聞いたことないけどな。


 でも、料理とかどうするんだよ。


(わたしで斬ればいいと思うよ)


 斬るっていうか切るんだけどな。

 魔剣で野菜切ったりするのか。

 切れ味はよさそうだな。


 しかたなく、魔剣で料理を始めることにした。

 ミスったら指とか一瞬で切り落としちゃいそうで怖いんだけどさ。


(植物はあまり美味しくないや)


 こいつ、つまみ食いしてるし。


 まぁこれからはなんでも魔剣で切ることになりそうだから慣れるようにしないとな。


(ねぇねぇ、女の人とかはこの家にいないの?)


 いないよ。

 俺は独身でそういう相手とかまったくいないし、予定もないぞ。

 自慢にもなんにもならないけど。


(そうなんだ。魔王さまとは違うのね)


 そういえば魔王ってずっと魔剣持ったまま生活してたのか?

 鞘とかなかったならむき身のままの。


(そうだよー。女の人と寝るときとかもつけてたよー)


 それ聞くと俺の将来は絶望的だな。

 そんな奇特な女性とかいなそうだし。


(大丈夫だよー。強い男には女は勝手に何人でも寄ってくるものだって魔王さま言ってたよ)


 そりゃ魔王くらい強ければ別だろうけど。

 っていうか、お前は魔王の夜の生活もずっと見てたのか?


(目をつぶってろって言われてたの)


 そりゃまぁ魔王だってプライバシーはあるからな。

 で、ちゃんとつぶってたんだな。


(薄目開けて見てたー)


 魔剣にも薄目とかあるんだ。


 魔王もかわいそうに。

 なかなか苦労してたんだな。


 でも、俺どうすんだよ。

 ひとりでナニするのにも魔剣に見られてるって……


(ドンマイ)


 ドンマイじゃねえよ。


(だいじょうぶー、ちゃんと目をつぶってるから今からしててもいいよ)


 さっきの話聞いた後で、それどうやって信じろと。

 っていうか、ナニってなんのことかわかるんだ。

 耳年増な魔剣って……


 魔剣って言ってもただの無機物。

 いろいろと気にしないことにしよう。

 それが一番だ。


(ひとりでナニするのかな? ワクワク)


 ワクワクじゃねぇよ。

 しないよ、そういうことは。


(えー、ガマンは体に悪いと思うよ)


 うっせー、俺は寝るから。

 って言っても魔剣持ったまま寝ることになるんだよな。


(抱きまくらみたいにすればいいと思うよ)


 絶対しねぇから。

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