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16 魔剣と依存

 アンジェと抱き合ったまま、眠っちゃったようだな。


 あれ? そういえばこのところ毎日元気すぎて困ってた俺のアレが今日はおとなしい感じだ。

 昨日、アンジェに血といっしょに溜まってたのが吸われちまったかも。

 悪い状態を回復するって言ってたしな。

 まぁこの年になって朝からパンツの洗濯とか恥ずかしくてしかたないから助かったと言っていいか。


 昨日は本当にいろいろあったよな。

 ダンジョンで毒で死にかけて、アンジェが自分を犠牲にした進化のおかげで命をとりとめた。

 そしてアンジェの人化が壊れちゃって、俺の血を吸ったら二人の意識が溶け合っちまった。

 今はあの時の感覚は失われているけど、こうしてアンジェの体温を感じることが嬉しくてしかたない。


 ずっとアンジェとこうしていたい。

 ギュッと抱きしめたら、アンジェを起こしてしまったようだ。失敗した。


(おはよー)


 おはよう。

 もう体に異変はないか?


(うん、大丈夫だと思う……おなかがすいちゃったかな。

 そういえば、ダンジョンでも中途半端にしか、食事してなかったかも)


 俺の血を吸ったじゃないか。


(らいむの血は食事じゃないもん。

 あれは別腹です)


 それちょっと言葉の使い方が違う気がするぞ。

 問題なさそうなら、ダンジョンに行くか。


(わーい、行こう行こう。

 それならお肉は抜きにしておくー)


 俺の朝食終わるまで待ってろよ。


 ずっとアンジェとこうしていたいけど、アンジェが美味しく食事するためにもダンジョンにはいかないとな。

 ムリな進化できっと血が不足しているだろうし。


 俺は食事を簡単にすませて、さっそくダンジョンへ向かった。

 昨日、先の階層で痛い目にあったし、アンジェの自己強化スキルが退化していることもあり、元の狩り場に戻して狩りをすることにした。


 ここならきっと余裕だろう。

 だが油断して昨日のようなヘマをしないように、ここでも最新の注意を払おう。

 まぁ、ここのモンスターは一撃で倒せるし、猛毒を持ったモンスターもいないけど。

 それでも、無造作な斬り方をしないことと、常に背後の安全を確認することを忘れないように気をつけないとな。


 俺は快調にワイルドボアを葬り続けた。

 考えてみればこのワイルドボアはDropアイテムも美味しいし、ムリに下の階層に行くより稼ぎ的にもここのほうがいいんだろうな。

 単位時間あたりの狩れる数が段違いだし、経験値も悪くない。

 こいつの血はアンジェもお気に入りのようでもある。


(うん、こいつの血はこってりしてて美味しいよ)


 そうか、こってりしてるんだ。


 ただ、これではスキルアップに繋がらないんだよな。

 気をつけてはいるんだが、どうしても単調な機会的な作業になりかねないのが問題だ。

 まぁ、アンジェとおしゃべりする余裕ができるからそれでもいいか。


(うんうん、楽しくいこうよ)


 そうしよう。


 一日の稼ぎとして10万ゴールド超えた。俺のレベルアップでアンジェのスキルダウンは十分賄えているようだな。

 まったく問題なしだ。


 ☆


 帰宅後、アンジェと寄り添ってベッドで。

 血を吸われると、また気を失ってしまうかもしれないからな。

 あの幸せな感覚のまま眠っちゃうのもいいかもしれないけど。


(いくよー)


 アンジェ、優しくしてね。


(それちょっと立場が変だよ)


 だって、シチュエーションからしたら俺が吸われるわけだしさぁ。


(むむむ)


 アンジェが俺の首筋に歯を立てる。最初はチクッとするんだよな、これ。

 すぐに、アンジェの感覚と溶け合っていく。

 俺がアンジェの奥に奥にと入り込んだ行くのがわかる。

 体全体でアンジェを感じる。


 アンジェが俺を包んでいたと思うと、そのまわりに俺が広がってアンジェを包みかえす。

 幾重にも俺とアンジェが互いをつつんでいく。

 やがて俺とアンジェの区別はなくなってドロドロに溶け合ってひとつの存在となっていった。


 俺もアンジェもそのまま頭が真っ白になった。


 今日はニ人共気絶しなかったな。

 俺はアンジェをギュッと抱きしめる。


(ほわぁぁぁ)


 最高の気分だよな。


(うん最高だよね)


 ずっとこうしていたいな、俺は。


(アンジェもー)


 俺はアンジェの髪をなでながら、幸福感を満喫した。

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