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いつまでたっても結婚できないので召喚してみました。(カエルの王様のお姫様編)

作者:こうじゃん
俺は、召喚師だ。
いつまでたっても結婚できないので、嫁を召喚してみた。

今日もダンジョンに潜りへとへとになって帰ってきた。
ギルドの隣の大衆酒場。
がやがやとうるさい酒場で、冒険者仲間と酒場で飲む。
いつものように皆で、彼女ができないと嘆いていたら、仲間の一人が、「お前、召喚師だから嫁も召喚しちゃえ!」というのだ。

酔っ払いのノリというのは、恐ろしい。
一同「しょうかん!しょうかん!」「よめ!よめ!」「飲め!飲め!」
訳の分からない盛り上がりをみせ、
酒場の前の広場で、魔方陣を書いて召喚することになってしまった。

まずは、理想の嫁の条件で盛り上がる。
「美人が良い!」「おれはかわいい系」「性格が良い」
「料理がうまい」「目が大きくて潤んだ瞳」
「ぼん!きゅっ!ぼん!」
「明るくて、浮気しても怒らない!」
「そんな女いるかっ!」
「オレはお姉さんタイプ、そして踏まれたい!」
どさくさに紛れて性癖を披露するヤツもいる。

理想のタイプを召喚陣に書き入れ、店の前の地面に描いた魔力を込め、呪文を唱える。

魔方陣に霧が立ちこめ、召喚されたのは、美事なガマガエルだった。

召喚されたガマガエルに、一同、シーンと静まった。

が、一拍おいて爆笑の渦に包まれた。
「ぎゃははは、お前の嫁はカエルか!」
「いやいや、よく見るとかわい子ちゃんだぜ?」
「確かに浮気しても文句は言わないな。ワハハ、言えないの間違いだけどな」
「うははは、お前が羨ましい~!」
「本当に羨ましいなら、代わってやるぜ!」
「いやいや、召喚したのはお前の嫁だから、俺が代わるわけにはなあ、ハハハ」


酔っ払いのすること、魔方陣のいつもはまっすぐ引く線が歪んでいたり、精霊の御名の綴りを間違えたりしていたのだろう。
あれほど師匠に、飲んで召喚しちゃいけないと言われてたのに……
「召喚師、飲むなら呼ぶな、呼ぶなら飲むな」と言われてるのに。
飲酒召喚、だめ、ぜったい。

それから、我々はまた盛り上がり、散々飲んで家に帰った。


****


翌朝、俺は珈琲と美味しそうな朝ご飯の匂いで目を覚ました。

「おはよう!ダーリン。朝ご飯できてるよっ」かわいい女の子の声がする。
ん? うちは一人暮らしだ。

目を覚ますと、枕の横で目が大きくて潤んだ瞳のガマガエルが俺を覗き込んでいた。
まだ昨日の酒が残ってるらしい。俺はもう一度寝直すことにした。

「もうダーリン、また寝ないでっ! お寝坊さん♡」
ガマガエルがピンとおでこをはじいた……orz
「帰れ!」
「帰れって、ダーリンが呼んだんでしょ? それにアタシどうやって帰って良いか分からないよ」
確かに俺が呼んだ……。俺は、ガマ誘拐犯になったらしい。

詳しく話を聞くと、ガマガエルが寝てると「嫁に来てくれ!」という呼びかけが有り、それに返事をしたらここにいたということだ。
「なんで、承諾したんだ?」
「だってアタシ、嫁に来てくれなんて言われたの初めてで嬉しかったんだもん!」
「『もん』じゃねえ!!」
俺は頭を抱えた。

「とりあえず、朝ご飯にしよう! ダーリン」
ベーコン、豆と野菜のスープは食卓でふんわりと湯気を立てている。
ふんわりとバターが香るスクランブルエッグに、焼きたてのパンが添えられている。
ひと匙口に含むと、濃厚な味わいが口いっぱいに広がった。
「一緒に食べると美味しいね」ガマはニコッと笑った。

とりあえず、帰る方法が分かるまでうちに居てもらうことにした。
男の責任というヤツだ。朝食が美味しかったからではない。朝食が美味しかったからではない。

朝食を食べると、俺はこの事態を解決するべく師匠のところへ向かった。
師匠は白髪の元気の良い老人だ。
「バッカもん!」
話を聞くなり、師匠は杖で俺の頭を強打した。
「ええ、その通りです」
確かにその通りだ。俺はぐうの音も出ない。

「あれだけ、飲んだら呼ぶなと、言っておいたであろう。で、召喚したときの魔方陣は有るのか?」
「酔った勢いで、飲み屋の前の地面に書いたので有りません」
師匠は、もう一度杖で俺の頭を強打した。しかもひねりを加えやがった。
俺の頭、太鼓じゃ無いんだけどな。

ともかく召喚した奥方を見せろと、師匠が言うので、一緒に帰宅した。
「初めまして、妻のエリザですっ」
ガマが師匠にペコリと頭を下げて挨拶する。

「これはこれは、可愛い方が嫁に来たのじゃな。ほうほう、魔法が掛っておるがどうされた?」
「うちの父がうっかり魔女の領地に入ってしまい、呪いをかけられてガマガエルの姿になってしまったのですっ」
「え? 元々ガマガエルじゃ無いの?」
「ガマガエルが話すか~!」、師匠の杖が俺の頭に振り下ろされた。

じゃあ、魔法が解けたら、ぼんきゅぼん!の可愛い子ちゃんになるってこと?
魔法が解けるというと、アレしかないよな。俺はムフフと笑った。

「笑顔が気持ち悪い」師匠の杖がもう一度入った。



**



師匠が帰った後、俺はアレを試すことにした。
『ちゅう』だ。悪い魔女に呪いをかけられたお姫様は大概、王子様の『ちゅう』で魔法が解けるのだ。
ムフフ、試さない訳には行くまい。

俺は彼女を目の前に座らせ、顔を近づけた。
ブツブツとした背中、茶色のヌラヌラした皮膚、大きく裂けた口、無理だ!
ガマの口まであと少しというところで、俺は勇気ある撤退をした。
「なに? キスしたかったの? ダーリンたら恥ずかしがり屋さん!」
というと、ガマのヤツが俺に飛びついてキスをした。
唇に、むにゅうという嫌な感触が走り俺は気を失った。

目を覚ました俺が見たのは、うるうると潤んだ瞳のガマガエルだった。
「ダーリン、いきなり倒れるから、心配したんだよっ」

結論から言うと、俺のファーストキス損だった……。
キスで魔法が解けるのは王子様限定仕様のようだ。
一般ピーポーはお試ししないことを強くオススメする。

しょうが無いので俺とガマガエルは仲良く暮らした。
見た目はアレだが、料理はうまいし気立てもよい。
俺が風邪で熱を出したときは、一晩中寝ずに看病してくれた。
見た目はアレだが、エリザは優しい。

風邪が治った次の日、エリザが風邪が治ったばかりで心配だからダンジョンについてくるという。
「ダーリンが心配だから、一緒に行くのっ!」
エリザは頑固なところが有って、言い出したら聞かない。
しょうが無いので、肩に乗せてダンジョンに入った。

出てくるスライムなどをサクサク倒し、ダンジョンの地下に入ったところで、ゴブリンが襲ってきた。
いつものように、魔犬オルトロスを召喚したとしたところに、ゴブリンの矢が飛んできた。
いつもは、ヒョイと避けるのにやはり風邪が治ったばかりで動きが鈍かったのだろう。
矢が首筋めがけて飛んできた。
「危ないっ!!」
エリザが俺をかばって、矢を受けた。

ゴブリンはオルストスが皆、引き裂いた。

「ダーリンが無事でよかったっ……」エリザはそのまま動かなくなった。
俺が勝手に呼び出して帰れなくなった女の子なのに。
俺をかばって動かなくなった。

エリザの上にポタポタと俺の涙が落ちる。

その時、エリザの身体がピカッと光りに包まれた。
ガマガエルの身体が……




もやもやと形が変わり、


緑色の


カエルになった……orz



エリザはパチリと目を開けると、
「あ、魔法とけたっ!」とほざいた。

「お前、殿様カエルだったのか!?」
「ええと、女の子だから、姫さまカエル?」
エリザは、かわいく首をかしげた。


エリザの話によると、エリザはカエルの妖精らしい。
エリザの父ちゃんがうっかり魔女の沼を泳ぎ、呪いをかけられて、ガマガエルにされたらしい。

「ガマガエルも、殿様カエルもどっちも一緒じゃ!!」
俺はこぶしを握りしめた。エリザを殴らなかった自分を褒めたい。

「いや、緑でガマよりかわいいよねっ?」
くりくりした目でエリザが言う。


俺は今、エリザを沼に放つか、それとも、変化の魔法をマスターして人間の女の子にするか、猛烈に悩んでいる。


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