悪魔の声
ー魔術「ブレイドダンス」剣を創生し自在にあやつる魔法。禁断魔術の一つー
剣の先端はすべてこちらに向いている。なのに殴りかかる勢いが止まらない。このままだと剣がすべて刺さって死んでしまう。どうにかしないといけないのに勢いがとまらなくてどうにもできない。俺はそのまま走って剣はだんだん狙いを定める。そしてついに男のすぐ近くまできた。まだここで殴ればどうにかなるかもしれない。そう思って腕をおもいッきりふりかぶる。
「・・・死ね。」
そう男がつぶやいた瞬間剣はすべて飛んできて腹を突き刺す。
死んだ。俺はここで死んだんだ。ただ一生を貧民街ですごして、あの魔導書を失って。
・・・と思っていたその瞬間、痛みがみるみる消えていく。視界も徐々に直ってきた。まさか生き返っているわけはないだろう。だって俺は死んだはずなんだから。
(・・・い・・・ろ)
脳裏に声が聞こえた。こんな感覚は初めてだ。
(・・・いきろ)
生きろ?だけど俺はいま生き返ったとしてもまたこいつに殺される。
(力が欲しいか?)
欲しい。力が。今生きる力が。こいつを殺す力が!
(いいぞ、ならお前に力を与える。だからお前は俺の契約に誓え)
誰だかわからないしどこから聞こえるかもわからない。何を言っているかもわからない。契約というのもなんのことだかわからない。だが俺は力が欲しい。
「ああ、誓うさ。」
(よし、なら立ち上がれ。やつを殺せ。そしてお前の書とあいつの書を奪え。)
「なんだお前、あの攻撃を受けても立ち上がれるのか。大したもんだ、だけど無駄だ。何発でも撃ってやろう!」
俺はいつのまにか立ち上がっていた。なけど何すればいいのかわからない。
(お前は俺と契約した。お前に力を与える。異能力「血の叫び」お前の異能具は血だ。血を使え。)
異能力!?・・・血を使え?どう使えばいいんだ?
(お前はさっき剣でさされ血を大量にだした。その血を使うんだ。イメージしろ。お前にとっての最強の武器を。最強の力を。)
最強の武器・・・。力・・・。俺にとっての最強は・・・。
「おいおい、こないのか?お前がこないなら俺がいくぜ?」
男の周りにはさっきと同じように剣が5本生成される。
早くしないと今度こそ死ぬかもしれない!早く!・・・速く!
「・・・なっ!?」
次の瞬間俺は加速した。自分でもその時は一瞬で移動したことが理解できなかった。これが俺の最強の力ということか。目の前には男がいる。今だ。最強の武器をイメージしろ。
俺の最強の武器は・・・。
「なんだその力は!まて!俺が悪かった!」
俺の最強の武器は!
「刀だ!抜刀術!剛烈雷鳴斬!」
俺は男を本気で斬った。異能具「血」を使い加速し、血の力を使って武器を生成し、攻撃する。
「ぅぐ!?」
男は5本の剣で守ろうとしたが軽々吹き飛ばされる。そしてその衝撃に耐えきれず倒れる。俺は異能を手に入れたんだ。ずっとなかった力を手に入れた。ただ、血を武器に変えるため、注意しないといけない。男から書を回収した。・・・そういえばあの不思議な声がこいつの本も回収しろと言ってたしこの本も拾っていこう。けど普通は適正者にしか魔導書は読めないし、異能も使えない。なのになぜ回収を?
(少年よ。よくやった。)
まただ。なんだこの声は。
「お前は誰だ。どこにいる。」
(俺はお前の中に住む悪魔だ。名をサタンと言う。)
「サタン・・・?」
(俺はこの世界の禁断魔術や呪いの異能具を回収するためにやってきた。お前の先祖から続くその書も禁断魔術の一つだ。)
「俺のこの書も!?というかなぜ書を回収するんだ?」
(俺の目的はその時が来たら言おう。もし回収をしない場合お前の力をすべて消して、植物人間にしてもいい。あとその書、なぜおまえは読まない。お前は適正者なのだろう?その書からは強い力を感じる。読めばいいじゃないか。)
「植物人間人間にはなりたくないな・・・。俺にはこの書は読めないんだ。字が分からないし、面倒だし。」
そう、俺はこの書がよめない。先祖からはずっと適正者が現れるまでは引き継げと言われているが、正直引き継ぐ意味がわからない。この書は一体何なんだ?
(その書、横に傾けて下から上に読んでみろ。)
よくわからないが、言われたままにやってみる。すると読める。この書は・・・。大昔の神話時代の大海賊の書らしい。なんで読みかたが分かったのかはさっぱりだが、まあいい。そしてこの魔術書の効果は・・・。
ー禁断魔術「魔法の強奪」すべての魔導書を読めるようになり、魔法を奪える。ー
そうしてルインは世界でたった一人の魔法と異能の持ち主となった。