邪神殿の中にて
その女性は、肩まで届く赤い髪を一つにまとめ
髪と同じ赤い瞳が千斗を見据えている。
その面差しは、大人の美しさと幼子の可愛らしさ
を感じさせた。
身長は百六十センチぐらいだろうか
赤色を貴重とした服装は、派手な装飾品などは付いていなく、とてもシンプルで動きやすそうだ。
「あなたこの神殿に何をしにきたの? 普段は、誰も近寄らないのに。」
「神殿?ここは神殿なの?」
「そうよ。 邪神フォートの神殿 まぁみんなは、
邪神殿とか言ってるけど。」
邪神フォート? 聞いた事無いな。
「それで もう一度聞くわよ。 あなたここに何をしにきたの。」
「いや 何をしに来たというかいつの間にかここにいたんです。」
「はぁ? いつの間にかいた? あなたもしかして異世界から来たの?」
その質問は予想外だった。まさか、異世界から来たと当てられるなんて。もしかして、この世界では異世界召喚は珍しくないのか?
「はい。 そうです。なんで分かったんですか?
もしかして、この世界では異世界から人が来る事は珍しくないんですか?」
「そんなわけないじゃない。異世界から人や物を召喚するにはとんでもない魔力が必要なのよ。
だけど、大変なのは魔力だけそれさえあれば
誰でも召喚できるのよ。まぁでも異世界人を召喚するなんてそれこそ邪神フォートぐらいだろうけどね。」
魔力 その言葉に僕は心を躍らせた。
この世界には、魔力や魔法と言った物があるのか
「それにしても。異世界から人は初めて見たわ
ねぇ?あなたの世界のことをしえてよ。」
そう言いながら彼女は、グイグイと近づいて来た
「ええ。もちろん良いですけど。
その前に、あなたはここに何をしに来たんですか?」
「わたし?私は、神殿の調査をしに来たのよ。」
「調査?」
「そうよ。私は考古学者をしている。
クレア・フォールゼンと言うの。気軽にクレアでいいわ。」
「考古学者ですか。」
「あなたは?」
「ああ!すみません。申し遅れました。石川千斗
と言います。元の世界で学生をしていました。」
そう言いながら僕はクレアに対して小さく会釈をした。
「いしかわせんと?変わった名前ね。」
「あはは 。 クレア達にとってはそうかもしれません。 ちなみに石川が苗字で千斗が名前です。」
「わたし達とは、逆なんだ。」
「うん。そうみたいです。」
「さてと、お互い自己紹介は終わったみたいだし
ひとまずここから出ようか」
「はい!そうですね。」
僕の軽快な返事が神殿内に響いた。