番外編 日常
「クエストに行きましょう‼︎」
「嫌だ‼︎」
アイナが出した提案に俺は即答する。
どうやら、この世界にも梅雨というものがあるらしく今がちょうどその時期だ。
「お前、外見てみろよ。雨降ってるだろ?雨が降ってる時は引きこもっているに限る。こうやってギルドの酒場に座ってこのジュース1杯でできるだけ長くここにいたいんだよ。」
「また、そうやってクズ発言してサボるんですか?」
アイナが仲間になってから1週間が経った。最初はただのストーカーっ子だと思っていたが上級魔導師という肩書きは、なかなかなものらしく俺が手も足も出なかったゴブリンは、もちろんのことある程度の中級モンスターまでなら1人で倒せるらしい。しかもチームを組むとクエストの報酬は、基本的には山分けだから俺は、ひもライフを充実していた。
「アスカ、魔王を倒すって宣言したじゃないですか。そんなことでは、魔王なんて倒せませんよ。」
そう、俺はこいつが仲間になった次の日ぐらいに魔王を倒すつもりだ。と言ったらチームを組むのを止めてくれると思って言ったら、妙に乗り気になってしまい全くの逆効果だったのだ。
「そんなこと、言ってもよ。俺は本当に足手まといの役立たずだぞ‼︎」
「そんなこと、ドヤ顔で言われても何て言えば良いのか分かりませんよ、、」
呆れ顔でそんなことを言われると俺も何か心にくるものがあるが、俺の引きこもり根性はこんなものでは曲がらない。
「雨の日に出かけると俺の一張羅が汚れてしまうだろ‼︎ほつれたとことか、ゴブリンに切断されたところとか、裁縫道具を借りて俺が縫ってるんだぞ‼︎」
そう、俺はまだ生前着ていた学生服のままである。下着などはさすがに何着か買ったのだがまともな服はこれだけである。
「アスカのその変な服がどうなっても知りませんよ。ていうか良い加減別の服を購入して下さいよ。」
「俺は、一応これ気に入ってるんだけど。それ以前に金が無いんだよ。」
「だから強いモンスターを倒してお金を稼ぐんじゃ無いですか!」
ど正論を言われグゥの音も出ない。そろそろ俺は、本気を出すときが来たのだろうか。しかしそこであることに気ずく。
「今思ったんだけど、すげ〜今更っちゃ今更だが今、人間と魔王軍はいわゆる戦争状態なんだよな。それにしては、この街平和すぎね?」
「ごめん、ごめん。僕が説明し忘れていたよ。」
突然何も無いところから、煙と共にカイが出てくる。
「この街は、まぁ見るからにど田舎なんだけどね。ど田舎すぎて魔王軍にも相手にされ無い言わば超安全地帯だよ。」
「何、その理由なんか腑に落ちねぇ〜。じゃぁこの周辺のモンスターは、基本的に弱いのか?」
「そうだね。この辺のモンスターは、結構弱いよ。」
「よーし、じゃあ、弱くて報酬の良いモンスターを狩って金を稼ぐぞー!!!!」
俺の決意とは裏腹にアイナが呆れ顔全開だったのだ。