あめ。
姉妹同然に育ってきた幼馴染を、私はあの日……殺した。
学校からの帰り道、河原へと降りる階段で、私は足を滑らせてしまった。
"雨"という悪天候の中私はなぜ河原へ行こうとしたのか、それはどうしても思い出す事ができない。でも、私をかばって私の下で赤く染まった彼女の姿は、まぶたの裏に刻みつけられている。
あなたは悪くないと言ってくれる優しさが、私を酷く傷つける。
言葉の裏に、あなたのせいだという言葉が隠されているみたいで、傷口をナイフでえぐられているみたいだよ。幼馴染のあのこの代わりに、私が死ぬべきだったと本気で思ってしまうくらいには。
実の親には腫れもの扱い、幼馴染の両親には憎まれ睨まれ、言ってることが違うんじゃないのと口を滑らせてしまうよ。
まるで目と口が別人のようなアンバランスな光景に吐き気を催しそうになる。
なんで、どうしてあの子なの。
聞こえる声で泣きながら言うんだもん。こっちが泣きたいよ。
私だって大切を、唯一をなくしたのに。私は泣くことも許されないというのに。あてつけみたいにさ、ずるいよね。
雨が私の代わりに泣いている。
いや、私の代わりに泣くなんてことこの世の誰にも、何物にもできないよ。
だからこの雨は所詮雨。悲しみを代弁してなんていない。
だって、もしそうならさ。
雨はあの子を、守ったはずでしょう?