じゅう
オニギリマンは町の人たちを攫ったやつらの行方を追いました。
山向こうということは、大方山の頂上にアジトがあるのだろうとある程度あたりをつけていきます。
変な格好をしたやつらは、予想通りの場所にいました。
焚き火でひどく目立っています。隠れ忍ぶということを知らないのでしょうか。
オニギリマンは少し迷った後に、彼ら囲っている焚き火の正面に降り立ちました。
「何だお前は!」
変な格好をしたやつらは突然の訪問者にパニックになります。
「オニギリマンだ」
「であえー! であえー!」
どこから現れたのか、あっという間に人数が増しました。
ぐるっと四方を囲まれてしまいます。
「喧嘩しに来たわけじゃないよ」
「嘘をつけ! さてはそうやって油断したところを一網打尽にするつもりだろう!」
「ううん」
「捕虜はもういないぞ! 全員殺した!」
「ううん。いらない」
オニギリマンは変な格好をしたやつらに微笑みかけます。
「ねぇ。お願いがあるんだ」
「黙れ黙れ! ヒーローの口車なんぞには乗らないぞ!」
しかし、先程から叫んでいる変な格好をしたやつを「まあ待て」と止める者がいました。
今朝、オニギリマンと空の上で鉢合わせになった男です。
「何が目的だ」慇懃に問います。
オニギリマンは正直に答えました。
「きみたちの仲間にしてほしい」
「ほう」
「ちゃんと上の許可をもらってきてるよ」
自然に嘘をつきました。
真っ黒いやつは眉をひそめます。
「それを証明する物は?」
「ないよ。急に決まったからね」
「信じられないな」そう言って腕を組みます。
他の者は皆、黙って彼の表情を窺がっています。
どうやら彼がリーダーのようです。
「閉じ込めておけ」
それが、オニギリマンの当面の処遇でした。彼は抵抗することなくそれを受け入れました。
つづく