【第7の謎】失踪した生徒の事件
私の精神は、限界を迎えていた。
睡眠不足で目の下には隈ができ、食欲も完全に失せている。
常に蓮の優しい声が耳元にこびりつき、逃げ出したいという衝動と、警察に突き出される恐怖の間で、心が千切れそうだった。
夕暮れ時の教室。
クラスメイトたちが帰り支度を終え、誰もいなくなった空間で、私は一人机に突っ伏していた。
「お疲れ様、白石さん」
不意に、あの優しい声が降り注いだ。
顔を上げると、夕日に照らされた蓮が、私の前の席に座って微笑んでいた。
「もう……嫌です」
私は、消え入りそうな声で呟いた。
自暴自棄な言葉だった。
しかし、蓮は怒ることも、冷酷な目で私を睨みつけることもなかった。
彼はただ悲しそうに眉を下げ、優しく私を見つめ返した。
「そっか。君がそこまで苦しんでいたなんて、気づけなくてごめんね」
蓮の言葉は、あまりにも真っ直ぐで、温かかった。
「君を警察に行かせるなんて、僕にはできないよ。だから……次の事件で終わりにしようか、最後の事件は、失踪事件だよ」
彼は立ち上がり、私の横に立つと、窓の外を指差した。
その先にあるのは、旧校舎の裏手に広がる雑木林だ。
「さあ、白石さん。君があの夜埋めた『中身』の答え合わせをしようよ。君自身の手で掘り起こして、真実を確かめるんだ」
蓮の言葉に、私の心臓が大きく跳ねた。
凶器を掘り起こす。
それは、私の罪が確定する瞬間だ。
「僕がずっとそばについているから。大丈夫、何も怖くないよ」
彼は優しく微笑み、決して私に触れることなく、ただ進むべき道を示していた。
私は涙をこぼしながら、その優しさに抗うことができず、重い足を引きずって旧校舎へと向かった。
スコップを握る手が震える。暗闇の底で私を待っていたのは、想像を絶するおぞましい真実だった。




