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「それじゃあ、夢宮ちゃん改造プロジェクトを始めたいと思います!」


「お、お願いします」


夢宮と灰銀が向かい合って座っている。


「といってもまずは夢宮ちゃんのステータス確認だね。どれだけの能力があるかを知ることで、必要なこともやれることも変わってくるからね。例のモノは持ってきてくれたかい?」


「あ、はい」


机の上に数枚の紙が置かれた。冬歩がそれを受け取って、灰銀がそれを真横からみている。俺も後ろから、それを確認する。


「中間期末試験の結果に、これは体力測定かしら?」


それだけじゃない。身体測定や自己紹介シートもあった。自分で書いてきたのだろう。


「はい。ただ、私、本当に勉強も運動もできないので結果は惨憺たるものですが……」


長距離の1000M走に関しては二桁タイムだし、50Mも測定不能。


「測定不能ってどういうこと?」


測定に数字以外があることに驚いて、興味本位で思わず聞いてしまった。


「こけて足を捻ってしまって、棄権させていただきました……」


「な、なるほどな」


短距離で棄権をしてしまうほど、運動ができないのか。一応数字が付いているのものを確認すると、どれも惨憺たるものだった。


あ、長座体前屈だけは結構良い。


「小学生の頃は運動も苦手というほどでもなかったのですが、中学で引き籠ったツケがこんなところに来てしまいまして……」


「ごめん、それは俺が悪かった」


「い、いえ、引き籠ったのは私の責任なので……」


夢宮の過去に配慮ができなかったのは俺のせいだ。


気まずくなった俺はテストの成績にも目を通したが、どれも赤点ギリギリだった。


「勉強はしっかりやろうぜ?模試ならともかく、定期テストは範囲が狭いんだからさ」


「は、はい」


「……」


灰銀が呆れながら夢宮を見た。誰だこいつ?


後、灰銀は気付いていないようだが、密かに冬歩もダメージを受けている。そりゃあ赤点ギリギリの夢宮に比べて、冬歩は赤点をしっかり取っているからな。


「灰銀さん。どっかで悪い物でも食べた?」


「どういう意味だコラ」


そのまんまの意味だ。灰銀が正論を吐くなんて、どこか身体の調子が悪いに違いない。もしくは別人だ。


「テスト期間になると、真君が私のために家庭教師をしてくれるんです。彼氏と一緒にいれる口実ができたと思って甘えていましたが、これも直さなければいけませんね」


「……そうだね」


夢宮も容赦がない。正論に対して、天然でカウンターを入れた。つくづく夢宮は灰銀キラーだと思うわ。


すると、灰銀は無心で俺を見てきた。


「私も勉強ができない方がいいのかな?」


「大丈夫だ。灰銀さんはそのままでも十分魅力的だって」


「だ、だよね!瑪瑙君は分かってるなぁ~」


「当たり前じゃん」


灰銀は天才とお馬鹿の相反する二つの性質を持っているのだから、そんな無駄なことをする必要はない。むしろ勉強ができなくなって、ただの馬鹿になったら余計に惨めだ。


「冬歩ちゃんも、そう思うでしょ?ってどうしたの?」


さっきから会話に入ってこない冬歩が夢宮のステータスを一心不乱に見つめていた。灰銀の言葉でダメージを受けているのかと思ったが、そういうわけではなさそうだった。


そして、夢宮を見ると、怪訝な顔をした。


「夢宮さん、ちょっと、姿勢を正してもらっていいかしら?」


「え?今すぐですか?」


「ええ」


「え、ええと」


夢宮は何か戸惑っている。姿勢を正すというのはそんなに難しいことなのだろうか。


「夢宮ちゃん、猫背過ぎだよ。ほら、お腹に力を入れて、背筋を伸ばそう」


「え、その、あの」


「立派な『お姉さん』を想像してみ。猫背の人はいるかい?」


「え、あ、その」


「姿勢の良さは『お姉さん』への第一歩だよ。Are you OK?」


「わ、わかりました。そ、それじゃあいきます!」


何か覚悟が決まったのか、夢宮は深呼吸をした。そして、背をピンと伸ばした。


そこで俺は冬歩が何をさせたかったかよくわかった。


「マ、マジかよ……?」


灰銀が声を震わせながら、驚愕で目を開いていた。そして、冬歩も灰銀ほどではないが、同様の表情をしていた。かくいう俺もとてつもなく驚いた。


何が、とは言わないが、デカすぎた……

『重要なお願い』

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