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「いいニュースと、悪いニュースがある。どちらから聞きたい?」


誰もが嫌いな月曜日の朝、重苦しい雰囲気でゲンドウポーズを取っている深井先生がそんなことを言って来た。


どっちでもいいから、早く終わらせてくれ。


「土曜日に、合コンに行ったらさ、いい男がいてな。会話も弾むし、物腰も柔らかい。大企業に勤めているらしいし、ようやく私にもツキが回ってきたんだよ」


これはいいニュースの方か。深井先生も101連敗はしなかったようで良かった。


「これはいける!そう思った私は酒で酔わせてからの既成事実を作る作戦を立てた」


雲行きが怪しくなってきたな。


「酔わせてホテルに連れ込むところまでは完璧だった。このまま、ベッドtoチルドレンと洒落込もうと思った、その矢先。男が寝言でなんて言ったと思う?」


ゲンドウポーズの下に水溜まりができていた。


「『よしえ……』って呟いたんだ……」


うわ……まさかの既婚者or彼女持ちだったわけか。そして、深井先生は不倫相手にされたというわけだ。可愛そうにもほどがある。誰か貰ってやってほしい。


「しか~し!世界は私を見捨てていなかった!」


なんと。ここから大逆転ホームランがあるというのか。


「昨日、千寿パークでヤケ買いしに行ったらな。居たんだよ。『永世左王子』が」


俺のことだな……


男子たちは何がなんだかわかっていないが、『永世左王子』が俺だという話はどっかの元スーパーアイドルから聞いていた。


「だ、誰と一緒にいたんだろう」

「『直方通行』じゃないの?」

「いや、その日、『直方通行』はサッカーの試合だったはずだよ」

「え?じゃあ誰なの?」

「解釈違い……!」


俺って空気だと思っていたけど、女子が騒ぎ出すほど、人気者だったんだなぁ。嬉しいなぁ。


『直方通行』が誰やねんとか色々、気になったがこれ以上考えないようにしておく。


灰銀『『直方通行』は進条春樹くんのことやで?』


俺『ありがとう。マジで知りたくなかった』


LINEでスーパーアイドルが親切に教えてくれた。俺の『永世左王子』よりはいいかもしれない。


「ええい、静まれ!皆の気持ちはよくわかるが話が進まん」


じゃあ、こんなクソみたいな話はやめてくれ。100%不必要な話で帰りたくなってきた。


「一緒にいた相手、それは━━━『黄金卿』だ」


「『黄金卿』と!?」

「新たな可能性」

「解釈違い!左×直が最高のカップリング。左×黄は駄目!」

「で、でも3Pの可能性も……」

「だから、『直方通行』は部活だったんだって」


女子の皆さんが楽しそうで何よりです。俺もそっち側に行きたいよ。


灰銀『『黄金卿』とナニをしてたのさ!?』


俺『そもそも黄金卿って誰だよ』


灰銀『金城君のことだよ』


俺『聞いといてなんだけど、知りたくはなかったな』


灰銀『私ね、金城君の好きな人が瑪瑙君なら諦めるよ。そんなの勝てるわけないじゃん』


俺『そこは寝取りにこいよ』


俺だと諦めて、夢宮だと諦めないのは解せぬ。


「おっと、HRも終わりだ。名残惜しいが、続きは帰りのHRで、だ」


髪を靡かせながら、クールに退出する深井先生。最後に、一瞬だけ腐る瞳で俺を見てきた。


朝から無駄な時間を過ごしたよ。


『重要なお願い』

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クラスのみんな頭の回転早すぎない…? ボケとツッコミのテンポが良すぎる
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