第九歩!
ゴールデンウィーク期間が終わり、がっくりしておられる方も多いでしょう。
私もそうですが、お互いに頑張りましょう!
ギルド職員が来ている事を聞いた俺らは、少し不機嫌気味になりながらも、出来るだけ出さないように面会をした。
だが、やはり隠し切れない所はあったらしく、職員さんに指摘された。
「あの・・・少し機嫌・・・悪くないですか?」
「いえ・・・別に・・・。 それで・・・要件は?」
「あっ、はい!こちらを・・・。」
そう言って差し出された紙には、救出した人の背後関係が書かれていた。
やはり貴族家の、それも高位貴族家。
その上、護衛の女性騎士も武門貴族家の娘で、メイドも文官貴族の娘らしく、幼い兄妹はやはりその貴族の子供との事。 当然だが、俺らの事は貴族の前ではギルド員であることはすぐに判明し、登録しているこの街に面会の依頼が来たという事だ。
「はぁ・・・。 確かに高貴な子供だったが、まさかメイドと騎士もとは・・・。 分かりました。 ひとまずギルマスに会います。 そうしなければ、話が進まないでしょうし・・・。」
「ありがとうございます!では、ギルドでお待ちしております!」
俺から言質を取った職員さんは、そのままギルドへと、戻っていった。
これから頭が痛くなりそうだと思いながらも、説明をするために宿屋の娘ちゃんにお駄賃を渡して、2人を呼んで来てもらう事にした。
15分後・・・。
「お待たせ。」「待たせたのう。」
「いや、構わないさ。 ちょっと込み入った事になったんでな・・・。 2人にも知って置いて貰いたいのと、ついて来て貰いたい。 良いかな?」
「? それは構いません。」「我も。」
「有難うな。 まずは説明な・・・。」
俺はギルド職員から聞いた説明と依頼書を使って、2人に説明した・・・。
説明が進むにつれ、2人の顔がどんどん変わっていくのが分かる・・・。
そう。 俺もそんな感じだったよ・・・。 バレないようにしたけどさ・・・。
説明が終わると、2人が思案顔になり、口を開いた。
その顔はいつになく真剣だった。
「それでどうなさる気ですか?」
「どうとは・・・?」
「この依頼じゃ!」
「それ以前にこの依頼が来たという事は、目立つのは必至です。 今までの様には行かなくなります。」
「それはそうだが・・・。 どちらにしてもギルマスと話をせねば・・・。」
「「・・・。」」
2人も状況の進展は、ここでは望めない事は分かっているらしく、ひとまず出してもらったお茶を飲み干すと、ギルドへ向かう。 その旨を伝えて貰うように娘ちゃんにお茶の代金込みで支払うと、笑顔で送り出してくれた。 談笑しながら緊張を誤魔化して、ギルドへ。
ギルドに入ると、受付の職員に引っ張られるように別室へ。
別室に入るとすぐにギルマスが現れた。
「お前ら・・・。 とうとうやったな?!おい!」
「なれば、放置しろと?そのまま伝えても?」
「おい!やめろよっ?!マジで!!」
「さっきの言葉を取れば、そうなりますが?」
「・・・。」
「それと、いつまでそちらで隠れているおつもりで?」
「!!」
奥の扉から何かが動く音がしたのち、件の扉が開く。
開いた扉から30代くらいの男性が現れた。
「失礼ですが・・・。」
「盗み聞き済まぬ。 今回は貴殿らが貴族が苦手だと来たのでな・・・。 少し隠れさせて貰って、様子を見ていたのだ・・・。」
「別に普通に応対して頂ければ、話を聞きますよ?」
「そうなのか?!なれば、こんな手間は・・・!?」
「それで・・・御用時は?」
「貴殿の助けた者たちは、我が家中の者なのだ。 助けてくれた上に治癒もして頂き、感謝する。」
「いえ、私も女性のパートナーがいます・・・。 女性にしかわからぬ物もありましょうが、少なくできる傷は少ない方がよい・・・そう、思っただけです。」
「・・・。 お陰で2人共が、その事は暴力を振るわれた事しか覚えておらんようだ。 勿論、我からも真実は話さん。 墓場まで持っていく。」
「同感です。 ですが、今回はその報告だけではないと、愚考します。 何用でしょうか?」
「ああ、それはだな・・・。」
話の内容は3つ。
一つは今回の救出の報酬と口止めをする事。 2つ目はうちらの後ろ盾になるという証を渡すことと、協力体制の構築についてだった。
やはり真実を知る者を自身の見える近くに置きたいのは、仕方がない。
俺が口を開き、悪い貴族の耳に入れば、娘さんの将来は真っ暗だし、女騎士やメイドの婚期も無くなる事は目に見えている。
こちらが断る理由はないので、承服する。
すると3枚のメダルとナイフを渡された。 貴族家を示すものらしく、ギルマスに聞くと、ここいらを諒する辺境伯家の紋章らしい。 どうやらギルドのある街を統治する貴族様という事になる。 とはいえ、俺らの街も幾つも統治している街の一つだが・・・。
「改めて家人を助けてくれてとても有難かったよ。 恩に着る。」
「いえ、お礼を言われるほどではございません。」
「どちらにしても、執政官として、父として当主として街の印象を良くするには都合がいい事には変わりはないのさ・・・。」
その後は、談笑となり、互いの人となりを確認しあった。
そうして、辺境伯様は報酬として白金貨20枚を渡して、俺はマリアとエレンに使っている整髪料を奥様と娘様にと、渡した。 辺境伯様は嬉しそうに受け取って、帰路に就いた。
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