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第六歩!

横柄な貴族の家を半壊させてから騒ぎになり始めた貴族の屋敷を後にして、宿屋に戻る。

傷だらけの俺らを見て、すぐに医者が呼ばれ、宿の自身の部屋で処置・休養をした。 処置は比較的鞭や槍の柄やナイフ、棒で殴られたりしているだけだったり、切られている程度の2人に対し、俺は魔法を使って、銃や手榴弾を召喚したり、擲弾筒を出したことで必要以上に魔力を損耗していたらしく、その為に二人より多くの時間を回復に努めなければ、いけなくなった。


「うっ、身体が・・・。」


「主様?!意識が戻られましたか?!」


「その声はエレンか・・・?俺はどうして寝ている?」


「はい。 それは・・・。」


俺はあの後の事の粗回しを聞かせて貰った。

貴族の別邸で爆発音がしたことで、騎士団が捜査に乗り出した。 だが、出てくるのは貴族の令息のした悪行の証拠や書類の数々と加担した郎党の悶絶している姿だった。 さらに警備隊や領兵隊まで到着し、彼の悪行が次々と裏取され、彼に協力していた商人や貴族もやり玉に挙げられ、検挙された。

俺らはそのどさくさで逃走したために捜査の手は来ていないようだ。 


「そうか・・・。 あの後で俺も倒れたか・・・。」


「はい・・・。 マリアは・・・特に・・・。 片時も離れようとしないので・・・。 女将さんにも協力してもらって、買い出しに行ってもらっています。」


「そうか・・・。 心配をかけてしまったな・・・。」


「そうです!奴隷の我らが・・・「エレン!それ以上言うなっ!俺は君らを奴隷と思っていない!仲間なんだ!身分はそうであっても、その言葉で自身を切り捨てるな!この言葉と考えはしてはいけない!」・・・分かりました・・・。 ですが、マリアは・・・マリアは慰めて上げて下さい・・・。 これは先達としての意見です・・・。」


「・・・。 分かった・・・。 助言有難う。」


「いえ、主様・・・。」


そうしていると、扉を開け放たれた・・・。

そこには目を見開いたマリアが・・・。


「主様が・・・起きてる・・・。」


「マリア・・・その・・・心配かけたな・・・。」


「うっ、わああああああっっっ!!!」


マリアの小さいが、大きな体が飛び込んできた。 なんとか受け止められた俺だが、彼女は俺の胸で泣いていた。 本当に心配してくれていたようだ。 俺は彼女の頭を優しく撫でて上げるしかない。

暫く泣くと、落ち着いたらしく、涙でグチャグチャになった顔を上げた。


「主ざまぁぁぁ・・・わだじ、じんぱいじで・・・だんでずぅぅ・・・。」


「すまないね。 俺も今回は自分がコントロールができなかったんだよ・・・。 仲間が取られたから。」


「仲間?わだじだちでずが・・・?」


「そうだよ。 当然だ。」


「うううっ!!ありがどうございまずぅぅぅぅ!!!」


「わあっ!」


再び泣き出すマリアを宥めながら、その後を聞いた。

マリアが持ってきたギルマスから持たされた続報だ。 結果は関わった貴族は財産没収の上で、奴隷落ちで売られた。 勿論、国の秘密は話せないように術式を掛け、隣国に売られた。

他の貴族の関係者・親類や身内も同様の処分も受けた。


「やはりそうなったか・・・。 まあ、被疑者本人は妾共々吹き飛んでいるからそこは残念だったかな?」


「たとえ捕まっても、幽閉か地下です。 ほとぼりが冷めれば、出てきます。 これで良かったんです。」


「まあ、マリアが預かってきた手紙にも、余罪があり過ぎて裏を取る事に苦労しているそうだ。 これでは実家も庇い切れない。 生きていても生殺しの飼い殺し確定だろうし、こうなると死ねて良かっただろう。 多分ね・・・。」


「貴族家の方はそうではないでしょうが・・・。」


「それは身から出た錆。 甘受して貰うしかないな。」


「まずは主様はお身体を回復に努めて下さい。」


「念のため、依頼も受けないでおこう。」


「畏まりました。」


こうして俺が回復するまでは、依頼を受けないことになった。

だが、武器の更新はした。


「はい。 武器を更新したことで、簡単な討伐依頼は受けております。」


「そうか・・・。 後でお礼を言わないとだね・・・。」


「はい。 まずは体を治しましょう!」


「ああ。」


俺は一月はリハビリの様な治療に励んだ。

身体の魔法回路が壊れかけていたとのことで、それの修復に時間がかかると、エレンから教えられた。

休みが2月目に入り、半ばになった頃にギルドの職員が、宿屋に来た。


「お久しぶりです。 どうなさいました?」


「療養中に来てしまいまして・・・。」


「そこは構いませんよ?それで?まさかそれが目的というわけではないでしょう?」


「・・・。 はい・・・。 実は・・・。」


彼女が来た理由は・・・。

件の貴族の当主と騎士が来ているらしい・・・。

俺に面会を求めているという。 断っても良いそうだが、出来ればあって欲しいそうだ。


「お願い出来ませんでしょうか・・・?」


「・・・。 それは・・・復讐も含まれますか?相手は?」


「ギルド内での刀傷沙汰は、禁忌です。 それをすれば、彼らも罰則を受ける身になります。 最悪、お家断絶の上に私財の没収・連座で一族に罰が下ります。」


「・・・。 分かりました。 伺いましょう。 ただし、私は怪我人です。 介助に数名の付き人を許可して頂きたい。」


「それは構いません。 会って頂けますか?!」


「ええ、参りましょう。」


俺が立ち上がると、エレンとマリアが立ち上がった。

ギルド職員と共に馬車に乗り込む。


「出発!」


「すごい統率ですね・・・。」


「ええ、有難い限りです。」


馬車は、ギルド前に向けて進んでいく。

途中襲われるようなことはなく、無事にギルドに着く。 両脇を2人の彼女らに支えられながら。


到着した部屋にはすでに貴族様は到着されている。

俺らが入室すると、立ち上がってこちらに近づいてきた。


「この度は・・・うちの愚息が迷惑をかけた。 すまん・・・。」


「貴方様はあの男の?」


「ああ、父親だ。」


「用向きは?」


「謝罪・・・いや、どうしたら貴殿の怒りを収めてくれるか聞かせて貰いたい・・・。」


「旦那様?!このような者に?!」


「黙れっ!悪い事をしたことの謝意を伝え、どうすればよいかを聞くのは当たり前だ!それにこちらが加害者だ!被害者になんという口を聞くんだ!!」


「!!」


付いて来た使用人らしい人や騎士は、口々に俺らに見下し発言をした。

俺はやはりこんなものかと、思いながら口を開く。


「もう二度と現れないで下さい。 今後は例外すらなく、貴族家の依頼は断ります。 その際は貴家が原因である事もお伝えします。 私からは以上です。」


「待てっ!話がっ!」


バタン!


実のところ、貴族家は10数家と貴族の紐付き商人とも繋がりがあったが、これを断つことにした。

それは依頼を受けないどころか、貴族家や王家は勿論、その繋がりのある商人にも。

この影響は、かなり大きなものだったらしく、件の貴族家は、各貴族家だけではなく、商人も交友関係から完全にシャットアウトした。

その結果、彼の貴族は派閥の貴族どころか、家族からも離縁されてしまい、完全に孤立してしまう。

彼は様々な貴族家に睨まれ、家は断絶となってしまう・・・。

彼は踏んではならない虎の尾を踏んでしまった・・・。  


<とある貴族家>


いつもなら家族の団欒がある食堂に夫婦がいた。 だが、空気は良くない・・・。

なぜなら夫婦喧嘩中だからだ。


「なっ?!離縁?!どうして・・・14年も連れあいながら突然なぜ?!」


「なぜ?分かりませんか?私の愛用している美容製品をはじめ、石鹸が買えなくなり、どうなりました?私はお茶会に出掛けるたびに恥をかく羽目になっているんです!それを何度も改善するようにお願いしても、して頂けていないではないですか!!」


「それは・・・先方がこちらが赴いても、門前払いを受けてだな・・・。」


「なれば、ギルドに仲立ちをしてもらえば、宜しいでしょう?!なぜしないのです?」


「それはしている!だが、彼らでも良い返事が貰えんのだ!」


「もう我慢なりません!離縁でなければ、別居です!実家へ帰らせて頂きます!」


「おっ、おい!待ちなさい!!」


貴族の奥方は、幼い兄弟と共に自身と共に来たメイドと付いて来たいといった使用人を連れて、実家である領地へと、帰ってしまった。

彼の不幸はこれだけでは終わらない・・・。

彼の領地内にいる商人たちの退去だ。 いままでは流通が上手くいっていたことで、主力商品があり、何とかなっていたが、それがなくなると、どうしても売り上げが落ちる。 それを仕入れようにも対価に対しての成果が少ない事もあり、高い費用が掛かり、売値が高くなる。 品物が仕入れられない事態もあり、より彼らが居ずらくなり、領地を去った。

 商人がいなければ、物の流通は悪くなり、経済は低迷する。 影響は市民に直撃し、親類縁者や新天地へと旅立つ者が増え、税収が減る。 減った収入を何とかするべく、様々な経済政策を打つが、結局はこの貴族家は中央に領地の返還と返還による中央での職探しに邁進する羽目になった・・・・。


「あの愚息めが・・・!父の足を引っ張りおって!」


彼は僅かに残った供回りと共に馬に乗り、自身の長年使っていた屋敷を後にするのだった・・・。


<貴族家・終>

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