第十一歩
その後、護衛の依頼の報酬を受け取った俺らは、挨拶もそこそこに辺境伯様の用意した家へと向かう。
だが、やはりそこは辺境らしく・・・。
「これは・・・。」
「うむ・・・・。」
「半分、いや・・・山小屋・・・いや監視所?」
案内された家はログハウス風の3階建てだが、下は入り口のみでその横には馬房のような作りになっており、2階から住居だが、2階からさらに煙突とともに鐘楼があり、そこから監視所のような櫓が。 それどころか、2回の居住スペースの扉の反対のつり橋を渡ると、隣の樹に設けられたツリーハウスに繋がっていた・・・。
「さすが辺境というべきでしょうか・・・?」
「いや、俺らの『スキル』は人目に付く訳にもいかないから有り難いが・・・。」
「話によれば、魔物の巣が未確認だが、あるそうじゃ。」
「マジか・・・。 まあ、それは辺境だからない話ではないか・・・。 まさか・・・嵌められた?」
「討伐は冒険者の仕事とはいえ・・・まさか・・・?」
俺らは多分というよりそうであろうと、思いながらも新居を喜ぶことにした・・・。
ひとまずは3人での生活になるが、ツリーハウスは監視所にもなるので、生活しながら様子を見る。
「どう?」
「予想通りじゃの。 オークが近くを通っておる。 我らの拠点は、結界があるから来ぬが、近くは通るのう。 やはり巣はオークじゃ。」
「明日からオーク討伐をしますか?」
「うむ・・・だが、そうもいっていらないな・・・。 討伐はするべきだな・・・。」
「まずは情報からか・・・。」
「それなら仕入れて来たよ!うんとねぇ・・・。」
2人のギルドと街で集めてきた情報によると、最近になって町周辺の村や街道でオークによる被害や襲撃が増え始めたらしく、護衛の依頼が増えたそうだ。 ただ、村も街道も巣からは遠いらしく、大きな被害にはなっておらず、人攫いもまだ報告にないらしい。 徐々に重視すべき案件になりつつある事をつかんで来たそうだ。 ひとまずは調査依頼が上がっていたので、受けてきたと報告された。
「そうか・・・。 まあ、調査は必要だな。 明日、行ってみよう。」
「「はい!」」
2人からも承諾の返事を貰い、明日の朝に巣を捜索すべく、出かける事にした。
攻撃力が低いと拙いので、突撃銃を装備して彼らの後を追う。
「彼らの巣はやはりまだ距離があるか・・・。」
「まだ会敵してませんし。 ですが、まだ先に進む必要はありますね・・・。」
「うむ!まだ魔物の匂いはせん!まだ先じゃっ!」
「分かった。 先に進もう。」
徐々に奥に進んでいくと、やはりオークの巣はあるらしく、複数のオークの集団がチラホラと、出始めた。 報告されることもあるので、収納のスキルで回収し、前に進む。
「徐々に低いが、上位種が出始めたのう・・・。」
「ああ、巣が近いか・・・警戒線に乗ったみたいだな。」
「はい。 ハイオークやオークソルジャーが主ですが、それ以外の種も出てきてます。 そんなに外れていないと思うわ。」
自分の気配探知に多くの敵性反応が引っかかる・・・。
どうやら小部隊が幾つも潰れた事で、部隊を繰り出したようだ。 だが、こっちの持ち味は火力なので、現状は火力が足りない。
少し召喚する。
パンツァーファウストの追加、M24手榴弾や擲弾筒、機関銃の追加などをして、来るであろう場所に手製爆弾(破裂タイプ)を設置して、機銃や擲弾筒を構え、待ち伏せる。
「来た・・・。」
「うむ。」「はい。」
総数10数頭のオークと上位種の部隊が、徐々にキルゾーンに侵入する。
少ししょぼい爆発と共に数頭が巻き込まれ、手傷を負う。
「手製爆弾じゃあ、オークじゃ無理か・・・。 射撃開始っ!」
「待っておったのじゃ!」
「擲弾筒、弾込めっ!・・・発射っ!」
機械的な給弾を響かせながら、2丁の機銃が交叉射撃を開始し、止めを刺さんとばかりに擲弾筒から発射した擲弾が混乱する彼らの真中へ落ち、地面ごと吹き飛ばす。 僅か20秒ほどで10数頭が地面に倒れ、動かなくなる。
「射撃やめっ!」
一斉に静かになり、機銃と擲弾から吹き上がる僅かな白煙が、敵を仕留めた事を知らせた。
だが、その音に多くのオークが接近している足音や声が聞こえる。
どうやら一定の距離を置いて、等間隔で捜索していたようだ。
だが、それも召喚した兵器で一つずつ潰していき、最後の一体であるオークジェネラルをパンツァーファウストで上半身を吹き飛ばすと、辺りにはオークの血と匂いが硝煙と爆薬の匂いと混ざり、辺りを白くした。 流石に2時間は余裕で戦った俺らも疲労困憊であったが、勝利した・・・。
だが、巣の特定は出来ずのままで、未達成のままでの撤退となった。




