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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

異世界男の娘

作者: 物部

「公爵令嬢!貴様との婚約を破棄する!」


魔法学園の卒業パーティで第二王子が婚約者を断罪するかのように告げる。

その様子を見て周りは見世物が始まったかのように興味津々と、場はざわついている。


「王子、本気でおっしゃっているのですか?」

「本気だとも。君がこちらの男爵令嬢にした数々の悪行の証拠は掴んでいるぞ!」


「そう、ですか…」

「ふん、認めるか。だが、貴様の罪は重い。令嬢への非道、私は許すわけにはいかない!」


「そして、私はこちらの男爵令嬢との婚約を宣言する!」


王子がその場で婚約宣言をする。周囲の貴族たちは騒然とする。

悲し気に顔を伏せている男爵令嬢は勝ち誇った顔で公爵令嬢を見下ろす。


「何か申し開きはあるか?まあ、どんなにすがってもみじめなだけだがな!」

「王子様ぁ、わたしはぁあの人のことを憎んでなんかいませんぅ。

 ただ、謝罪していただければそれでいいんですぅ」

「おぉ、男爵令嬢!君はなんて優しいんだ!この優しさの欠片が少しでもお前にあればよかったのだろうが・・・」


「…かしい」

「ん?何か言ったか?」


「馬鹿馬鹿しいとおっしゃったのです。そのようなお花畑の言葉に惑わされるなど、王子として恥ずかしくはありませんの?」

「んなっ!?」


「証拠の数々?そのようなものこちらも掴んでおります。」

「そんな馬鹿な!そんなものあるはずがない!?」

「何故ないと言い切れるのです?あぁ、そちらの娘がでっちあげた証拠もこちらで回収させてもらっています」

「なんだと!?証拠隠滅でも謀る気か!」


「そもそも証拠と言い張るものも、証言も、こちらで精査させてもらい、全くの方便だということがわかっておりますのよ?」

「そんな馬鹿な?!」

「きちんとした証人もおりますのよ?」

「(やれやれ、ようやく出番か。さっさとこの茶番を終わらせて、家に帰りたい…)」


公爵令嬢はこの馬鹿な王子に現実を突きつけるために、ダメ押しとばかりに証人を呼ぶことにした。



☆---☆


Side 主人公


「さあ、来てくださいませ、証人のお方。」


もったいぶるような呼びかけをして、公爵令嬢が私を呼ぶ。

会場の檀上の上からゆっくりと降りる私。周囲がまぶしそうに私のドレスを見つめる中、第二王子だけは不愉快そうにこちらを睨む。


(ああ、弟よ。そんなに【兄さん】が嫌いかい?まあ、こんな格好していたら嫌いにもなるか・・・)


「おお、今宵も麗しいお姿だ」

「はあ、どうしたらあのようにドレスを着こなせるのでしょうか?」


会場の視線を一身に受け、公爵令嬢の隣に立つ。


「兄上…」

「どうかしましたの?弟よ」

「その気味の悪い言葉遣いを即刻やめていただきたい」

「あらあら。まったく吠えるばかりの駄犬に成り下がってしまってからに」

「いくら兄上でも許される言動ではないぞ…!」


腰に付けた儀礼用の剣を強く握りだす弟を見て、私はため息ひとつこぼす。

あんな性悪な男爵令嬢ごときに振り回されてるようでは、父上も母上も悲しむだろうに…。


まずは馬鹿な弟の目を覚ますために、性悪な男爵令嬢から切り崩しにいきますか。

ああ、ホントにめんどくさい…。


扇子を開いて口元を隠してから男爵令嬢に向き直る私。


「さて、自己紹介は必要ありませんね?男爵令嬢。」

「第一王子さまぁ…」


妙に甘ったるい声を出すが、この女の性格は調査の上で知っているので可愛くともなんとも思わない。


「今回の件に関して、申し開きはありますか?」

「わたしはぁ、なんにも悪くありませんぅ!あの女が私をいじめたのですぅ!!」


(あの女、ね…)


あまりの言い草に口元が引きつるが、扇子で隠してるのでセーフセーフ。

ただ、公爵令嬢からの怒りのオーラを背中にビシビシと感じるけども。怒るな怒るな、冷気のオーラが出てるぞ!


「どのようなことをされたのですか?」

「私の筆記具を学園の池に捨てられましたぁ!それだけじゃないんですよ!」

「ほお?」


「わたしが作ったお菓子を汚らわしいと捨てたのです!まだあるんですよぉ!」

「へえ?」


「わたしと第二王子の仲を引き裂こうと、お茶会に飛び込んできたのです!」

「はあ…」



(いかん、あまりに馬鹿馬鹿しすぎて相槌もうまく打てなくなってきた)


とりあえず、このアホの子に現実を突きつけるか。弟もなんでこんなアホの子に篭絡されたのやら…。


「まず、筆記具を捨てられたとおっしゃってますが、自作自演ですよね?」

「なっ!?」

「そんなわけないですぅ、証言してくれる人もいるんですよぉ?」

「あぁ、あの弟と同じように手籠めにされた男子生徒たちね…。

こちらがちょっと詰め寄ったら、素直に証言してくれましたよ。貴女にそう言うように広めてと言われたと」


「そんなっ!?」


悪いがこのちんちくりんな男爵令嬢よりも私の方が美貌は上である。

男子生徒には、ちょっとお話があると言っただけでイチコロであった。

公爵令嬢は納得がいかないというような顔をしてたが…


「それと、お菓子を捨てた件でしたか?あれも明らかにヤバいのが入ってましたよね。

 こちらで回収済みです。なんならお食べになります?保存の魔法はかけておりますよ?」

「ひぃっ!」


あらあら、青い顔だこと。まったく、何を入れたんだか…


「さて、最後のお茶会の件ですが…」


ここで私は第二王子に視線を向ける。王子はびくっと震えるが、わかってるのであればびくつくんじゃねえ!


「第二王子に予定が入ってると言うのに、お茶会しようなど言い募り、

予定をずらしにずらしたところを公爵令嬢が注意しに来ただけだと思いますが?」

「うっ…」

「でも!」


弟はバツが悪いのか視線を逸らし、このちんちくりんはまだ反論しようとする。

さっさとお部屋に帰りたい私は告げる。この茶番を終わらせるために。



「第二王子は謹慎処分、男爵令嬢も同じくだ。

 だが、男爵令嬢。君には隣国との繋がりが見え隠れしてるね?

 詳らかにするまでは、こちらで君の処遇は管理させてもらうよ」


男爵令嬢は青い顔をしながら俯き、第二王子は拳を握りしめ悔しそうにしてる。


まったくこんな女のどこがいいのか…

私を参考にしろ、私を。こんなちんちくりんよりも絶世の美女であろうに。


ん?公爵令嬢。どうした?そんな残念なものを見るような眼はやめないか。

男の私でも美しいのはホントだからしょうがないじゃないか?

なんなら君よりも…っと、冷気オーラを出さないでくれたまえ。ドレスは結構寒いんだから、風邪ひくじゃないか。


とりあえず、一件落着。さっさと部屋に戻りますかねえ。

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