風の言葉
飛んでいくのだろうか
今日の最中を
明日の終わりを
昨日の朝を
飛んでいくのだろうか
じっと見つめていたのだ
乾いた葉の筋を
掃いた雲の先を
私の項を掠める風を
昨日とは違う眼差しで
今日とは違う姿を
明日に見つけようと
見つめていたのだ
私が
風を口にのせる度
言葉は少し濡れている
その僅かな重量に
耐えきれず
墜落する一片
私の風の途絶えゆく響き
それでも
見つめ続ければ
それを
あらわし続ければ
光の中で水を切り
触れた先に 鼓動を持ち
過ぎ去れば
熱の名残を置いて
そうして
空にとけていく
そんな姿で
いつか
飛んで行けるのだろうか