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第6話 人生計画破綻の兆し

「んー、わかったぁ。じゃあ、着替えさして?」


「..............................んへぇ?」



変な声がでた。


いや、それも仕方ないよね!?


朝から何回俺の心臓を狙い撃ちしてくるつもりなんだ。

そんなに俺を殺したいのか!?



いや、それよりも。

これ以上この部屋に居ては、本当に昨日の先輩と同じ、病院送りの結末を迎えることになってしまう。


だって癒乃(ゆの)ねぇを着替えさせている自分を想像しただけで鼻血出てきたし。



「ほんとバカなこと言ってないで、俺は先に下に降りてるんで、さっさと着替えて下りてきてくださいね!それじゃあ、また後で!」


だからここは三十六計逃げるに如かず。

ぶーぶーと呟く癒乃ねぇを放置して、そそくさと部屋を出る。


それから(いざな)家のダイニングで癒乃ねぇが下りてきて顔を洗ってくるまで暇を潰した。



*****



「おまたせ、(かがり)〜。どう〜?今日もかわいいかなー?」


癒乃ねぇは制服に着替えてくるりと一回転して、似合っているかを俺に尋ねているようだ。


もう今日の俺は目を開けるつもりはない。

だから、その姿を直接目に焼き付けることはないけど、風の流れだとか、匂い、音の感覚から状況はよくわかる。


さらに今俺がいるのは通い慣れた(いざな)家のダイニング。


そうなればいろんなことが手にとるようにわかるというもの。


しかもしかも、癒乃ねぇは何もしてなくても可愛い。


なんならなんも着てなくても可愛いまである。

あ、しまった。つい願望入ったわ。



ともかくそういうわけなので、目を開けなくても癒乃ねぇが可愛いことは自明の理だ。


「うんうん、今日も癒乃ねぇは素敵ですよ」


「うふふっ、ありがとっ」



ふぅ。目をつぶってても可愛いってホント地雷みたいな人だなぁ。



「あらあら、(かがり)くんってば、今日も癒乃のことしっかり褒めてくれちゃって〜。速くこの子をお嫁にもらってくれないかしら♫」


ぼーっとしていたところに冶綸(やいと)さんからの突然の軽口(死刑宣告)を食らってしまった。



「なっ、なにをいってるんですか!?お嫁になんてもらいませんよ!?俺を殺す気ですか!?」


「えーっ?私のことお嫁にもらってくれないのぉ〜?」


「ゆ、癒乃ねぇまで!?」


好きだという気持ちはずっと持ってるけど、じゃあ生涯を共にしたいかと言われると、そんなことができる気はしていない。


俺の中の人生計画では、いつか現れる癒乃ねぇにお似合いの男性に癒乃ねぇを奪われるところまで決まってる。

それでちょっと、いや、かなり心を痛めるんだけど、しばらくして心の痛みが消えた頃に新しい女性と出会うって。

癒乃ねぇのことは古い記憶として頭の片隅に置いて、そうして普通の幸せを手に入れるっていうシナリオがあるんだ。


だから今のちょっとした幸せを享受するところまでで十分なんですよ。


「まったくもー。癒乃ねぇも冶綸さんも、ほんといつまでも適当なこと言って俺をからかうのはやめてくださいよ!?」


「「うーん、本気なんだけどなぁ〜」」



この話の流れはまずいっ。

切り上げるためにもそろそろ学校に行こう!



「そっ、そんなことより!そろそろ学校にいきましょう!」


「えー!?私まだ朝ごはん食べてないよー」


「しょっ、食パンを食べながらいきましょう、そうしましょう!」



ここは多少強引でもこの場から退却するしかない!


「えー!?まだ間に合うし、ゆっくり朝ごはん食べさせてよ〜」


「だめです!癒乃ねぇがゆっくり食べてるなら俺先にいきますよ!?」


「むぅ〜。わかったよぉ〜。それじゃあ〜、篝の言う事聞いてあげる代わりにぃ〜..............................

















いってきますのチュー、して?」











俺が次に目を覚ましたのは、その日の夕方、病院のベッドの上だった。

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