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第92話 トラ転王子、過去の亡霊と出会う(2)

 そのあとは何事もなく、オレたちは執務室の前に着いた。

 扉の前の近衛に用件を告げる間も置かずに、中からギル兄さまが飛び出してきたのには驚いたけど、ね。


「ユリウス、それにみんなも! お帰り、待っていたよ」

「兄さま、ただいま戻りました。予定よりちょっと早くなりましたが」

「良いよ良いよ、遅いよりずっと良いよ! さあ入って、陛下もお待ちかねだから」

「はい」

 引きずられるようにして中に入ると、いつものように机の前に行く。


「陛下、ただいま戻りました」

「うむ、無事に戻ってきてくれて何よりだ。では、報告を」


「はい。昨日、『東の魔の森』中心部にて、『瘴気』の煮凝りを目視、排除を行いました。ただ、煮凝り周辺に魔獣が多数存在したため、そちらも併せて排除を敢行しました結果、その近くにて1泊し、十分に回復したうえで戻ることを選択いたしました。

 その時間も含めて、煮凝り排除による影響を確認いたしましたが、問題がないと判断しましたので、ここに帰還いたしました」


 俺の説明に言葉をはさむことなく聞き入っていた陛下は、軽くうなずいた。


「うむ、ご苦労であった。護衛の二人、そして近衛騎士たち。難しい仕事であったが、見事に勤めあげてくれた。余からも礼を言おう」


「恐縮にございます」

「陛下からのお言葉、誠にありがたく、頂戴いたします」


「近衛の皆には休暇を与える。今日より3日間、通常勤務を免除する。しっかりと休むが良い」

「「「御意」」」

「そのほかの褒賞については、あとで騎士団長から伝えよう。さがるがよい」

「「「はっ」」」


 元冒険者の近衛騎士たちはそのまま一言もなく退室していった。まあ、空気を読んでさっさと出ていったんだろうな。ここから先の話は機密事項でもあるし。


「ユリウス、改めて礼を言う。よくやってくれた」

「父さま・・・ありがとうございます!」


 うん、自分のやったことが認められて褒められるってうれしいもんだよ!


「詳しい話を聞かせてくれるか?」

「はい、もちろんです」


『転移の間』から始まって中心部に至るまでを時系列に話していった。その中で元冒険者たちの知識によって大いに助かった事、それが彼らにとって大切なものだったことを伝えると、


「そうか、それほど重要なものを提示してくれたのだな」

「父上、彼らへの褒賞を引き上げねばいけませんね」

「そうだな」

 などと、話そっちのけに悩みだしたので、


「あ、中心部で出会った魔獣がすごくいい素材なので、そちらを使ってほしいんですが」

 そうそう、これを言っておかないとな。


「ほう、そうなのか」

「そういえば周りに居た魔獣も排除した、って言ってたよね。それのことかい?」

「はい。キラープラントとザクトロンティラスとダイラスワッドです!」


 元気よく告げたら、父さまと兄さまの表情が一瞬で抜け落ちた。

 え? 何か間違ってたっけ?


「えっと、ユリウス? 確認するけど、その魔獣たちが居た、のかな?」

「はい、そうです。あ、でも、最初からいたのはキラープラントが5本でした」

「キラープラントが・・・5本・・・」

「それだけでもかなりなものだが・・・」


 何だか二人とも顔色が良くないけど、大丈夫かな?


「はい。そこへザクトロンティラスとダイラスワッドが乱入してきて混戦状態になったため、そのすきをついて排除しました」

「いや、隙をついて、ってもね・・・」

「つけるのか、それは・・・?」


 ん? これじゃ説明不足だな。


「え~っとですね、最初はキラープラントが『瘴気』の煮凝りの周りにありまして、そこへザクトロンティラスとダイラスワッドがやって来てキラープラントと戦い始めたんです。

 しばらく様子を窺っているうちに何とか乱入できそうに思えたんで、カインとミャウ、近衛の皆さんに魔獣の方をお願いして、ボクは煮凝りに対処しました」


 うん、これで完璧だな!





読んでいただき、ありがとうございます!

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