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第九十三話 悪夢の尖兵 / 融合魔喰怪獣ユーデアーラ登場

「フヒェヒェヒェヒェ!!ヒェーヒェヒェヒェヒェ!!」


 デアーラの三つ目の顔の額に手足が融合し一体化したユートが高笑いを上げる。その生物の下部では、手足よりも少し小さめ、だが人と同じくらいの大きさの触手が、大地を木の根のように埋め尽くし、ウニョウニョと這いずり回っていた。もはや巨大な四本足の触手生物といった様相である。その触手は完全に人・魔獣を喰らうためだけに存在しているようで、近くにいる生物目掛けて次々と襲いかかっていた。兵士が必死でそれを防いでくれているが、防備、鎧もその触手の前には紙に等しく、パクリと一口で呑まれていく。


「やめろ!!」

「やめなさいっ!!」


 俺とサリアが叫び駆け出し、


 [Awaken! Your Soul!! Rise up!! Your Bravery!! Gear of Hopeful Brave!!]

 [目覚めたる魔界の王!!ヘル・マス・ター!!][Featuring!!][ボーボーゴーゴー罪を燃やせ炎!!業火!!絢爛!!ドラグボルケーノ!!]

 [[降臨!!]][Rising!!]


 その触手を一太刀に断ち切る。触手に呑まれた人々がその途中から這い出てくる。


「たすか…。」


 だが更にその横から別の触手がそれを喰らおうとする。俺はブレイドモードでそれを防ぐ。


「一気に片付けろ!!」


「OK!!」


 [Assault!!]


 サリアがトリガーを引き、ユートの…あるいはデアーラの…体を一閃する。だがそのダメージはすぐに修復され、奴はたじろぐ事なく大木のように立っていた。


「フヒェヒェヒェヒェ!!効かぬ効かぬ効かぬ効かぬ!!偽りの勇者の力など、この真の勇者の前にはもはや紙屑に等しい!!」


「偽りの勇者ってよくもアンタが言えたもんね!!」


「全くだ、このクズ野郎。」


「フヒェヒェヒェヒェ、ヒェーヒェヒェヒェヒェ!!負け惜しみの耳障りはかくも気持ち良いものか!!」


 何を言っても全く応えていないようであった。


「そもそも…なんだお前その姿!!」


 俺の問いかけにしたり顔でそれは答える。


「フヒェヒェ…。よくぞ聞いてくれた。私はアリチャードの記憶から…宇宙より来る魔獣の事を知った。その力も。」


 アリチャードから…。そうか、奴は宇宙で生存するための魔法を研究していた。その記憶からデアーラの存在を知ったのか。


「そして魔力の滝から自然界へ脱出した。水の魔力に満ちた領域に眠っていた魔獣を呼び起こして。」


 ガオーラのことだろうか。俺達が水の聖域に行く方法の逆で自然界へと脱出したのか。ビアブルの魔法があればそこまで出来る。そしてビアブルの魔法を設計したのはアリチャードだ。奴の記憶を辿ったとすればそれが使えてもおかしくない。だが…こいつはそこまで出来るのか。想像以上に厄介で、想定以上に邪悪だった。


「そしてこの魔獣と出会い…私は奴らの母と同化した。」


 そう言って奴は手を振り上げた。


「そうして手に入れたのだ、この姿を!!この力を!!見よ!!あの愚かなる魔獣共の力を私が有効活用してやるのだ!!奴らはただただ魔力を喰らうためだけの生物!!そのために進化した生物であった。だが私の知恵と力、そして勇気があれば!!このように魔力を生体から喰らうために更なる進化をすることが出来たのだ!!」


 そうして奴は高笑いを上げた。


「フヒェ、ヒェヒェ、ヒェーヒェヒェヒェヒェ!!ああ気分がいい!!わざわざ早足でここまで来た甲斐があったというものだ!!生物の暖かな肉感触、そしてその体内にある魔力のなんと美味たることか!!真の私にも早くこれを味合わせてやりたいというものだ…。」


 真の私、尖兵。つまりこれは奴の分身体という事だろうか。これが。これがもっといるのか。


「さて…もっと魔力を頂くとしようか…!!」


 そして触手は魔王城へと絡まっていく。まるで魔王城を取り込まんとするかのように。まずい、城の中にはまだ人がいる。


「全員に退避命令を!!」


 俺はジュゼとトンスケに叫んだ後、炎を触手へと放った。触手は燃え盛り焼け落ちていくが、それを補うように別の触手が伸びて魔王城を包み込む。


「ダメだ!!奴の侵食速度の方が速い!!」


「泣き言は後にしなさい!!」


 サリアが叫び、剣を振るう。


「そうだな、すまん!!」


 俺もそれに合わせて三銃連バスターモードで薙ぎ払う。だがそれでも侵食は完全には止まらず、やがて地下の魔界システムへとそれは到達した。


「フヒェヒェヒェヒェ!!これだ!!これを喰らえば!!」


 そうして奴はその両手両足を魔界システムのバリアへと向け、その両手両足に備えた口からレーザーを放ち、バリアを打ち破った。触手は魔界システムの機械を捉え、少しずつ喰らっていく。


「まずい…!!」


 狙いはそちらか。あのバリアでも持ち堪えられないのか。このままでは魔界の秩序が崩れる。俺は光のバロットレットを取り出した。


 [キラキラスパスパ悪切り裂く光!!光芒!!一閃!!マンティスレイ!!][降臨!!]


 そして触手へ向けて幾つもの光の刃を放つ。スパスパと切断されていく触手。侵食の速度は落ちる。だが、残った触手だけでも、魔界システムを破壊するには十分であった。機械を喰らい、その大半が飲み込まれた時、


 [ERROR-ERROR-魔界統治システム-破損-制御-不可-能-機能-停-----止------]


 そう音を立てて魔界システムはダウンした。それは魔界の秩序を正していた唯一の規範が無くなったことを示していた。


「美味い!!美味い!!これは美味い!!年代物の魔力の味だ!!」


 ユートは心からの喜びの雄叫びを上げた。もはやどこまでがユートの思考なのかデアーラの思考なのかが分からない。もはや完全に一体化しているのか。勇者としての思考が全く無くなっている。ただ魔界を蹂躙する、そのためだけに活動しているようであった。


「む…?」


 奴は突然妙な声を上げた。よく見ると触手の一本が魔界城のある場所に到達していた。



 俺が最初に来た、儀式の間だった。



「ほう…。ほう!!このような!!魔法が!!あるのか!!」


 その言葉を聞いて嫌な予感がした。これ以上の嫌な予感がないくらいに。


 得てしてそういう予感は的中する。


「"心を入れ替えた"!!なるほど!!そういう意味だったか!!」


 ユートとデアーラが嫌みたらしく微笑みを浮かべながら言った。デアーラの笑みは牙が剥き出しで大変に気持ち悪かった。


「良いぞ!!そうならばこうしよう!!もう一度心を入れ替えて貰おう魔王よ!!正しい魔王と!!愚かで、思慮のない、まともな統治が出来そうにない魔王に転生して貰うとしよう!!」


 そう言って奴は俺に向けて何かの魔法を放った。


 ジュゼが叫んだ。


「避けてください!!それはーーー」


 言われるまでもなく避けたかった。


 だがその魔法の到達速度は早く、俺の全速力でも避けることは出来なかった。



 そして、俺はその魔法を浴びーーーーーーーーーー。

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