表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/73

トップアイドル争奪戦とアイドル達4  


「さ、これが食べたかったんでしょー?たくさんお肉買ってもらったから食べなさいね」

「はーい!」


 むかついてたのもすっ飛ぶほど机に置かれたお肉達。

 帰ると焼肉の用意がされていて、私たちは子供のようにソファー前に3人並んで机の前に座ってる。 


 蓮さんは凜くんから話を聞き、はあ?なんてキレてたけど、今はかなたさんと共にお肉を 焼いてくれている。


「しっかし、ほんとフラフラに嫌われてんな、御前ら」

「そうだな、って、なんで神ちゃんまでいんの?」


 いつもいない神永さんも今日は一緒にご飯。

 ちなみにフラフラの話をしたら爆笑した。


「え?この肉俺と社長の金だけど?」

「凜!神ちゃんにビール!コウキ、神ちゃんにご飯を注いで!」

「イエッサー!!」


 蓮さんの言葉に2人がすぐさま動く。俊敏である。


「どうぞ!」

「おお、気がきくなあ!」


 あなたマネージャーでしょうが。と言うツッコミは飲み込み、みんなで手を合わせ焼肉を食べ始める。


「しかし、花、御前はよそのグループにモテるな」

「嬉しくないんです、ほんとに。バラ連濃いし、フラフラ性格悪すぎて」

「神ちゃん、絶対花を移籍とかさせないでよ」


 凜くんがそれだけ言うとご飯をかき込む。

 

 社長の前だと“花さん”と言うのに、最近“花”とRAINBOWだけの時はよばれる。

 意外と半年以上たって打ち解けたのだと思っている。


「移籍する、しない、は花の気持ちが1番でなんとも言えないが今の聞いてする気がないとわかったから、んな事は社長共々させるきはねえよ。しっかし今日の収録にかなたと蓮がいなかったことが救いだったと俺は思ってる。」

「あー、俺らいたらコウと凜より文句いいそうだし、ねー蓮」

「ああ。つうかなんでフラフラは最近俺ら目の敵にしてんだろうな。花が入る1年くらい前までは仲良いほうだったんだけどな」

「え?!そうなんですか?!」


 ああ、と大きなお肉を口に頬張る蓮さん。


 衝撃の事実。


「花ちゃん、DOT以外の芸能人に疎いよね」

「まあ、基本推ししか見てないよね。推し事大事!」


 ぐっと拳を握る。


「オレらとフラフラデビューほぼ一緒なんだよー」

「まじ?!」

「うん。あ、花。肉焼けてる」

「ああ、食べる」


 凜くんにお肉を入れてもらい続きの話を聞こうと耳を傾ける。


「まあ、あっちの方がかなたくんよりみんな年上だし、ガキだったおれたちの面倒よく見てくれてたんだよ。」

「そうそう、ちょっとだけあいつらの方が先輩だし」


 コウキくんの言葉に蓮さんが続く。


「へえ、そうだったんだ。けどなんでこんな嫌われてるんです?」

「さあ、よくわかんないんだよ、実際のところ。神ちゃんなんか知ってる?」


 かなたさんの言葉にビールをぐいっと飲み、私たちをじっと見つめる。


 な、なんか知ってる予感。


「しらん」


 その一言にみんなの箸が止まる。

 知ってる雰囲気醸し出しといて、知らんの一言!!

 

 凜くんたちもギャーギャーと文句を言う。


「えー知らねえもんは知らねえ。けど多分……御前らの方が売れてるから、ただそれだけだろ」

「えー、逆恨み的な?!」

「まあ、俺らのが売れてるのは確かだしねー」


 かなたさんが爽やかに言い切る。


「ちょっとしか違わねえけど御前らの方が売れてて、自分の番組とかはないけどドラマやCM、ゲストやらことごとく出ている。かたや、子供番組のレギュラー番組は持っているもののゲスト出演だの話が掛かるのは御前らの都合が合わない時とか、たくさん出るアイドルの一組、として。そりゃ生意気な後輩だし、ムカつく後輩だろうよ」


 グラスのビールをぐいっと飲み干し、注げと言わんばかりにかなたさんにグラスを向ける。


「逆恨みじゃないですか」

「そういうもんよ、結構ね」


 ビールを並々にまで注いだかなたさんが眉を下げて笑う。


「んで、蓮の彼女が姫奈ちゃん、って事もひとつの理由だろうよ」

「え、んなとこでも反感勝ってんの?俺」


 ゲ、っとカエルでも踏んだかのような声を出す蓮さん。


「あいつらのクソマネージャーが言ってたぜ?“うちのメンバーの1人が目をつけてた子、掻っ攫わないでください”てな」


 クソマネージャーって。ほんと素の時は口悪いな、この人。


 しっかし。


「姫奈、もてるねえ」

「姫奈ちゃん、可愛いしね!


 うんうん、とかなたさんも私とコウキくんの言葉に頷く。


「オレにとっての1番は花だからね?花可愛い!」

「え、凜くん、このお肉あげちゃう!!」


 嬉しいことをいってくれた凜くんに自分が焼いて温めていたお肉を差し出す。


「まあ、ようするに、だ。御前らが特に自分から何にもしてないのに、ことごとくあいつらの地雷を踏んでるっつー事だ!あー、ビールうま。」


 すでに何杯目かわからないビールを飲みほし告げる。


「まあ、ほんとの原因がそれにしろ、他にあるにしろ……俺達の可愛い弟と妹の借りは返さないとね。ねー蓮」

「そうだな。俺らがいねえだのなんだの言ってたんだ、マジでやり返してやる」


 かなたさんは微笑んだままお肉を食べ、蓮さんは神永さんに注ぐはずのビールを飲む。


この人たち、怒ったら怖い。


「あ!蓮、飲むなよ!俺の」

「いいじゃんか!」

「明日も仕事だろ!」


 まったく、と蓮さんの手からビールを取り上げる。


 あなたも私たちの送り迎えあるでしょう、との言葉が出そうになったが、グッと堪えた。


「ねー!もうフラフラの話なんてやめて美味しくご飯食べようよー」

「それもそうだね!そうしましょう、皆さん!」

「末っ子ズに言われちゃったねー。んじゃ、もっと焼こうね」

「牛、牛焼いて!!」


 鉄板に新たなお肉が並べられる。


 私たちはフラフラのことを忘れるようにお肉に夢中になる。



アイドル争奪戦に向けて、私達の士気は上がり続けていた。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ