トップアイドル争奪戦とアイドル達3
日々仕事をこなしていく中で他アイドルとの共演も増えた。
多分誰もがみなトップアイドル争奪戦が頭にあるのだろう。
予選出場が決まっている、ときいたのは私たちと青バラ連合。
そして、
「お前らとかよ」
「相変わらず性格悪いねー!なんで売れてんの、まじで」
本日、私と凜くん、コウキくんの年下ぐみがゲストで出るクイズ番組で一緒になった、フラワーフライヤー事、通称フラフラ。
この人達も予選にでるのが決定している。
「うるせえよ、別にテレビの中以外の俺らは見られねえんだからキャラ作る事ねえんだよ」
「子供に人気のグループが聞いてあきれるね」
フラフラ。アクロバットを得意とし、テレビの中では可愛い男の子、なんだけど、実はまじで性格が悪い。
「バラ連は濃くてなんか怖いけど、よっぽどいい。」
「そうそう、紅玉くんお菓子くれるし」
「いつかバレるといいですね、その性格の悪さ」
この人たちほんっっとアイドルか、と思うほど性格がひね曲がってる。
今私たちの前にいるのは、東堂さん。髪の毛この前まで緑だったのに今はピンク。
フラフラは私たちと違って髪の色がとてもカラフル。
セット外のスタジオ内にに用意してある椅子に座っている他メンバーの髪も実に鮮やかだ。
「なに?嫌味言いにきたわけ?いい子のRAINBOWは」
「かなたと蓮いねーの?おもしろくねーな」
「つーか煩いんだけど。寝たい」
……椅子に座ったまま、ふんぞりかえり私たちを見る他のフラフラメンバー。
「そのいい子ってのやめてよ、坂牧さん」
「あー何?傷ついた?なら、ガキにしといてやるよ」
コウキくんの可愛い顔がイラついてるのか眉間に皺がより崩れる。
坂牧さんは髪の毛、青か。
心から思う。表の顔で「お花達」って言ってんのも寒いけど、この裏の顔はほんと嫌い!
高校の頃友達にフラフラのファンがいたから話聞いてたけど裏の顔を知ってしまった以上その友達にファンをやめな?と言いたくなるほど。
「あれ?フラフラとRAINBOWが一緒にいるんだ、仲良いの?」
クイズ番組の司会者の方がやってきて私たちに声をかけた。
私たちは振り返り「本日はよろしくお願いします」と告げる。
かなたさん達に挨拶するんだよ、と玄関を出るときにいわれたから。まあ、言われなくてもきちんとするのが常識ってものだし。
「仲いいんですよ、僕ら!な、凜太郎」
「え?」
凜くんの隣にきた東堂さんが肩に手を置いて凜くんを見つめる。
口調も顔も全然違う。
「僕らより若いアイドルですけどほんと弟みたいで!」
凜くんの横にいたコウキくんの頭を開いてる手で撫でる。
「そうなんだ!よかったな、いい先輩、いやお兄ちゃんがいて!」
「は、い」
2人の顔が引き攣っているのがわかる。
まあ、この顔は普段一緒にいるからわかる事で、ほかの人には一切わからないだろう。
「花の事も妹みたいに思ってるんで!」
「あ、りがとうございます」
無理やり笑顔を作る。
フラフラは上の人や大御所の前では一切性格の悪さを見せない。
子供にも人気、と言うこともあり子供番組にもよく呼ばれている。
「今日はアイドルが2組もでるんだ、楽しみにしているよ」
それだけ言うと笑顔で司会者は去っていった。
その姿をみおくっていると
「痛いんだけど、東堂さん」
「お前、俺よりでかいとかほんとむかつくな、縮め」
「は?!つうか、離して」
凜くんが肩に乗せられた手を振り解くように飛び退き、それに続いてコウキくんの少し距離をとる。
「まあ、むさ苦しい男ばかりの中に女がいるのはいいもんだな」
「それはどうも。」
東堂さんが私の目の前にたちおもわず後ずさる。
「お前、俺の女にでもなる?」
「やめてくれる?花ちゃんにそんなこと言うの。」
「花はやらねえし」
「おお、こわ」
わざとらしく肩をすくめて見せた東堂さんの横にさっきまで椅子に座ってた中条さんがくる。
この人は金髪か。
ピンクに青に、今度は黄色。信号機か!!もう1人椅子で爆睡しているのは、紫か。目がチカチカするわ!!
「つうか、東堂、こんな田舎くさい女のどこがいいわけ」
はい、カチンときた。田舎くさいってなんだ!!
「えー田舎くさいのもたまにはいいかと思って!」
「やめとけ、格が下がる」
言いたい放題いいやがってー!!
「RAINBOWさん、フラワーフライヤーさん、収録始めます!」
スタッフさんの声にみんながそちらを向く。
「はーい、じゃあ、行こうか、凜太郎、コウキ、花!よろしくね。ほらいくよ、高野!」
「ん?はいはい」
紫の頭の高野さんが背伸びをして立ち上がりセットにむかって歩き出す。
「じゃあ、お前らバラすなよ、俺らのこと。」
中条さんがそれを言って東堂さん達とともにスタジオの中に入る。
「……むかつくわ」
「ほんっと同感」
「トップアイドル争奪戦でも叩き潰すけど、この番組でも叩き潰してやる。おれの頭に手を置いたこと後悔させてやる」
コウキくんがぱきっと指を鳴らしフラフラを睨む。
「番組で目立てないようにしてやる」
「オレもノッた!」
3人で顔を見合わせ、頷くとクイズ番組の席へとついた。
それからの私たち、いや、コウキくんがすごかった。
難問と言われる問題を可愛い顔してすらっと解く。
頭、よかったのか、コウキくん!!
問題を答えるたびに、カメラはこちらを写す。ちら、とフラフラを見れば画面に映ってないところですごい顔してる。
面白い!!これは蓮さんとかなたさんも褒めてくれるだろう。
「コウちゃんかっこいい!」
「すごい!!」
「おれやればできる子!!」
番組に出ている大御所芸能人も「すごいな」なんて一目置いている。
はっはっは!みたか、フラフラめ!!これがRAINBOWの凄さだ!!
「優勝は東軍!RAINBOWは今日はMVPだ!」
「ありがとうございます!」
「蓮さん、かなたさん、やりましたよー!!」
「今日は美味しいもの食うぞー!!」
花びらが舞う中私たちは手を振りそのままエンディングを迎えた。
共演者に頭を下げ楽屋に戻る道にを歩いていた私たちの前にフラフラメンバーが立っていた。
「何?」
「もう帰るからどいてくんない?」
凜くんとコウキくんが一歩前に出て話す。
「今日はやられたわ。トップアイドル争奪戦では必ずお前らに吠え面かかせてやるよ」
「かなたと蓮にも言っとけ。叩き潰す」
それだけ言うと私たちの横を素通りして去って行った。
私たちは何も言わずそのまま楽屋にダッシュ。
そして楽屋に入りドアが閉まった瞬間。
「あー!!ムカつく!!」
「絶対あいつらには負けない」
「ある意味よかった、蓮くんとかなたくんがいなくて」
3人で背中を合わせて畳に座る。
「今日の晩御飯、焼肉食べたい。」
「あ、凜、いいこと言う。おれかなたくんに連絡する」
「焼肉、今焼肉食べれたら機嫌治るー!」
コウキくんがメールを打つ横で、凜くんが私を見る。
「なーに?」
「天くんに花がちょっかい出されるよりもムカついた。オレが花守るからね」
きゅんとした。ほんと、今のはきゅんとした。
「おれも守ってあげるからね、花ちゃん!」
「嬉しいー!!ありがとー!!」
ああ、ほっとする。ほんとにこのグループでよかった!!
なんて思っているとコウキくんの携帯がなった。
「あ!かなたくんが焼肉にしてくれるって!!」
「まじ?!すぐ帰ろ、帰ろ!!神ちゃん呼ぶ!!」
「やっきにくー!!」
焼肉でイラついてた気持ちがどっかにいく。
私達はやっぱりまだ子供なのかな、なんて思いながら、お兄ちゃんたちの待つ家へと帰るのだった。