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今年初仕事と成人式と恋の病




 お正月も終わり徐々に日常が戻る。

 そんな私たちも新しい年を迎え、決意新たに仕事始め。

 

「あけましたー!!さー新年1発目の仕事!がんばろー!」

「寒い凜!!バカ、動くな!!」

「あー!!蓮くん、オレで風よけやめてよー!」

「やばい、やばい風邪ひく。おれ、か弱いのに!」

「さ、寒い、寒いよ……なんで蓮さんとコウキ君叫ぶ元気あるの?なぜ叫べる……」

「花ちゃん、カイロ!ほら!カイロもって!!」


 気合を入れて海でMV撮影撮り。1月の海は凜くんと来た時も思ったけど、ほんとに寒い。

 人もいないし賑わいもない。せめてもの救いが、本日晴れ!!


「寒い、今日も寒い」


 今は5人でかたまって厚着をしてカメラの調整を待っている。撮影始まる前なら車の中入れるけど、始まってしまえば、リハに本番、カメラ調整に海の満潮も大いに関係してくるため外待機。


 風邪ひきそう。


「花!あっためてあげる」

「あ!バカ動くなって!!」

「え?!わ、温い」


 先ほどまで蓮さんの風よけとなっていた凜太朗くんが急に私の両頬を両手で包み込む。冷たいかも、と身構えたのは一瞬でその手の温かさに思わず、ほぅと目を細めて力がぬけてしまった。


「手あったかい」

「だろー!花のためにカイロ握ってた!!オレ花専用カイロ!!」


 額がくっつきそうな位置で凜くんがほほ笑む。まだまだ寒いのに頬の温かさと間近の笑顔になんだかあったかくなってきた、と錯覚してしまいそう。

 かわいいな!子供みたい!


「凜、ちけえよ」

「ぐっ、ちょ、蓮くん?!重い」


 声が聞こえた瞬間、蓮さんが肩を組むようにして凜くんに乗りかかっている。

 凜くんはそれにびっくりたようで、私の頬から両手が離れてしまった。温まった分余計寒い。


「花、さみぃならこれ巻いてろ」


 蓮さんがいつも巻いているマフラーが器用に片手で私の首に巻かれていく。


「え、これいいんですか?!暖かいから誰にも貸さねぇって言ってましたよね?」

「そうだっけ?まあそれだったら凜の手より温いから包まれてろ」

「ちょっと蓮くん、オレが花温めれば早いじゃん!!」

「バカか。そしたら御前うごけねえだろうがが!」


 目の前で2人がじゃれている。そんな光景を見詰めながら、本当に温かいマフラーに少し顔をうずめてみる。


 ……蓮さんの香水のにおいがする。いい匂い……


「そんなに匂ってるなんてその匂い好きなの?」

「めちゃくちゃいい匂いするの!」

「まじ?匂わせて」


不思議がってたコウキくんが私の前に立ちそのマフラーにぼすと、顔を埋める。


「あー!!コウちゃんまで何してんの!!花に近いってば!!」

「待て待て凜。めっちゃいい匂いする、これ」


凜くんに引っ張られながらもコウキくんはそのマフラーから顔をはなそうとしない。

うん、まじでこれいい匂いする。


「蓮の香水いい匂いするよね、甘いのに嫌じゃない匂い」


かなたさんも、どれ、と顔を近づけ匂いを嗅ぐ。


「だーかーらー!!みんね花に近いんだってばー!!!」

「うるせぇなぁ、良いじゃねぇか!御前1人のものかよ」

「まだだけど、やだ!!」

「素直か!!」

 

  私の回りで笑いがおきる、コウキくんも顔を上げて、まだ匂い残ってる、と目を瞑ってその匂いを堪能している。


ふとマフラーに目をやり手で触る。そうするとまたふわりと漂う甘い匂い。

蓮さん、見た目とかからこんな甘いような香水つけるように見えないんだけどなぁ。


あ。


「蓮さん」

「んだよ?それ温いだろ、今日かしてやる」

「あ、ありがとうございます。じゃなくて、このマフラーに染み付いている匂いって姫奈のですか?」

「え?違うけど?だいたいこれ姫奈にも貸したことねぇけど?」


姫奈にも貸したことがないのに、私に貸してくれたの?


「なん……」

「ん?」

「いや、なんでもないです」

「変なやつ」

 

  私の頭を一撫でして蓮さんはスタッフに呼ばれてそちらに行ってしまった。


思わず言葉を止めた。「なんで?」の、言葉。


 「お前のことが気になる。」この言葉が頭の中によぎった。

  だから、私に貸してくれたの?


「花」

「ん?」


 私の前に立ち首を傾げて指差す。


「そんなにいい匂いするの?それ」

「うん。凜くんの匂う?」


 ん。と私の肩、もとい蓮さんのマフラーに顔を埋めた。


「……まじでいい匂いがする。これ蓮くんの香水と、何?フェロモンとかなんかなの?」


 くんくんと匂われその度に髪が揺れ、顔に当たるのがくすぐったい。

 あれ?なんかいい匂い……


「凜くんも香水つけてる?」

「え?まっさかあ!!オレがつけるわけないじゃん!オレに匂いがあるとすればいつもの飴の匂いじゃねー??」


 顔を上げて笑い出す。


 でも今、すごいいい匂いしたのに。


「花ちゃん、凜!そろそろ始めるよ!」


 呼ばれた方を見れば3人共、スタッフのもとに集まっている。

 あ、リハかな?


「ほーい!ほらいこ、花!」


 私の手をとり砂浜を走りだす。


「走りにくーい!!」

「こけたら笑う!」


 砂が絡みつく、けど前を走る凜くんが楽しそうに笑ってるもんだから寒さも吹っ飛んで来た!


「早くおいでー」

「凜、花ちゃん転けるよ!!?」

「おい、末っ子ズ!本番前にけがすんぞ!」

「こけねーもん!なー花!」

「うん!」


 私はずっと前を走る凜くんを見ていた。

 しっかりと握られた手を掴んで。








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