表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/73

お正月と2人でお出かけ6



「な、んでしょうか?」


 どもった、恥ずかしい!!!


「私たち花さんのファンです!」

「え?」

「いろんなこと言う人たちいるかもしれないけど、応援してます!」


 え?……一瞬世界が固まった。どうしよう、泣きそうなんだけど。


「あ、りがとございます」


 心からのお礼をする。泣きそうなのをぐっとこらえ何度も頭を下げる。っこでないたらだめでしょう。

 その人たちは私を見て「泣かないでください」なんていって笑ってくれている。

 アンチしかいないと思ってた、RAINBOWの中でファンなんてできないと思っていた。


「どうした、花」

「蓮さ……」


 甘酒片手に横に立った蓮さんだったが泣きそうな私を見て眉間に皺が寄る。


「なに?なんかあったのか。なんか、言われた、とか」

「わ、たしのファンって言ってくれたんです」

「は?あー、なるほど」


 私のファンって言ってくれてた人たちは蓮さんが来たことに軽く頬を染めている。


「こいつのファンって言ってくれてありがとな」

「いえ……」


 男前な蓮さんの間近での微笑みにその人たち以外にもそばにいた女の人も見惚れてるのがわかった。

 あ、なんか涙引っ込んだ。


「んで嬉しくて泣きそうだったのか」

「そうです」


 こんなことで泣きそうなんて笑われるだろうと思っていたんだけど、蓮さんの空いてる手が私の頭に乗る。

 そしてぐしゃぐしゃと撫で始める。


「よかったな!御前頑張ってたもんな」

「蓮さんまで、泣かせにくる……」


 涙が引っ込んだと思ってたのに蓮さんにもそんな事を言われ涙腺が崩壊した私は正月早々泣いてしまって恥ずかしさから顔を覆う。


 ファンだと言ってくれた子達が慰めてくれてて、それに気づいたコウキくんが凜くんとかなたさんを連れてきて参拝待ちの列で、「バカ」とRAINBOWには優しく笑われ、いろんな人に慰められた。


「泣きやみました?」

「うん」

「正月早々泣くとか。」

「ごめんなさい」

「花よかったなー!ファンついて!!」

「凜くん、また泣くから言わないで」

「はいはい、ほら、みんなで参拝するよ。」


 参拝列も進み私たちは並び的には次参拝する番。かなたさん、凜くん、私、コウキくん、蓮さんと並びみお賽銭を持ち順番を待つ。


 並んでる時先ほど泣いてしまったのをからかわれてるけど。


「何お願いする?」

「ん?海で言った事!」


 凜くんと顔を見合わす。


 海で……武道館ライブ、か。うん、私もそれを願おう。ファンですって言ってもらえたんだもん、今以上に頑張らなきゃ!!


「花ちゃん、何願うの?」

「コウキくんは?」

「おれ?武道館」

「俺も」


 コウキくんの肩にガシっと腕を置き蓮さんが身をのり出し私たちの方を見て言い切る。


「花ちゃん、俺たちは毎年武道館、願ってるんだよ。いつかできますようにって」


 かなたさんも凜くんの後ろからひょっこりと顔をだして教えてくれる。


「だから、花も願い事、武道館の事も言っといてね!」

「うん!!」


 前の参拝客がいなくなり、私たちは5人で並ぶ。お賽銭を投げて目をつむる。


 “今以上に頑張りますのでどうか5人で武道館ライブができますように”そして“RAINBOWみんなが笑っていられますように”心から願い目を開ける。


 顔を上げ左右に首を動かすと4人がこちらを見ていた。


「な、なに?」

「花すっげー真剣だった!」

「んじゃ、みんなで御神籤引こう」

「行こうか、花ちゃん」

「花、大吉引いたら豚汁おごってやる」


 ほらほらとコウキくんに背中を押され私たちは御神籤を引きに。

 御神籤はほんと引きが強いと言いますか私以外のメンバーは大吉。私は吉。皆にまじか、と笑われたけど別にいいもん、吉で。


「どうする?帰る??」


 結局、御神籤は吉だったけど蓮さんが私にトン汁を奢ってくれたので、みんなそれを食べる私を待ちながら話し出す。


「寒いしな。蓮、ゲームしたいんだろ?」

「ああ、この前コウキと買ったやつ。な、コウキ」

「そうそう、テレビでできる人生ゲーム!みんなでやろ!!」

「え、面白そう!!」


 凜くんが横に座り、話し終わると「花、トン汁」と口を開ける。

 私は凜くんの口にホクホクのジャガイモを突っ込みながら話を聞く。


「んじゃ、花ちゃん、と、凜がそれ食べ終わったら帰ってそれしようか」


 私のトン汁を食べる凜くんに苦笑しながらかなたさんが凜くんの頭を撫でる。


「花ちゃん、おれにもトン汁!」


 コウキくんが、あ、と口を開ける。私は凜くんが持っているトン汁から暖かい人参を掴み口の中に入れる。


「なに?花ちゃんが食べさせてくれるの?じゃあ、早くなくすためにも俺ももらおうかな」

「かなたさんまで?珍しいですね!」


 私の方に体を倒し口を開けるかなたさんに笑いながら口に入れる。こんなかなたさん珍しい。


「花、俺にも」

「みんなが食べたから蓮さんも食べたくなったんです?意外と可愛いですね」

「うっせえから早く」


 私の腕を掴むと食べようと思って箸でつかんでいたお肉を勝手にたべた。

 後はあげる、と凛くんに渡すとコウキくんと2人で食べ始める。

 その光景をじっと見つつ、ちらと周りを見てみる。


 ……あ、やっぱり私を見る目が怖い人たちもいるな。


 はあ。ファンですって言ってもらえて嬉しかった。けどあたしの事が嫌な人も多いのは事実。

 凜くんやみんなのこれは私にとっていつもの光景なんだけど、嫌な人は、嫌か。

 

 ……って!!こんなことで落ち込んではいけない。いつか、私の事好きって人もっと増やさないと!!

 ここは神社。元旦に誓う。私、頑張る!!!


「おい、花。かえんぞ」

「え、あ、」


 はっとして顔を上げればみんなが立ち上がって不思議そうに私を見ていた。


「花ちゃん、帰ってゲームしよ!」

「行くよ、花!」

「さ、神ちゃんが挨拶ついでに迎えに来てくてるらしいから家にかえろ」

「はい」


 私はみんなに笑顔を向け立ち上がる。 

 歩き出す私たちに、仲良くなったそこにいた人たちは手を振ってくれたり、子供たちもコウキくんたちに近寄ってばいばーい、なんて言ってくれてる。

 

「花さん、応援してますね!」

「あ」


 私のファンと言ってくれた人が思いきり手を振ってくれる。


「ありがとうございます!!」


 私は嬉しさから思いっきり手を振り、蓮さんたちに笑われながらその神社を後にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ