お正月と2人でお出かけ2
「ありがとうございましたー!」
「よいお年をー!」
なんて言い、私たちの今年の全仕事は終了した。
あと、残っているのはDOT の歌を見る推し事のみ! なんて、アホな事を言ってると、はいはいと皆に話を流され、家へと連れて帰られた。
「お正月はゆっくりとなさってください。来年もよろしくお願いします」
「来年もよろしくお願いします。」
神永さんと私たち5人で深々と頭をさげ、連休は始まりを告げた。
家に帰るともうすぐ24時。年明けのカウントダウン。
みんなでリビングに降りて DOT が出てるテレビを見る。
かなたさんと、珍しく蓮さんが私たちの為に年越しうどんを作ってくれている。
私がそばが食べられないのでうどんでとお願いしたらみんなもうどんを食べると言ってくれた。ほんと私に甘いな、RAINBOW!!
「蓮くん、かなたくん、まだー?」
凛太郎くんが机に突っ伏し台所に声をかける。
「うるせえな、もうちょい待て」
「腹減った、腹減った、腹減った」
「うっせえ、凜!!」
家は対面キッチンなもんだから蓮さんのイラついてる顔が丸見え。その後ろでかなたさんが笑ってて、私とコウキくんは肩を揺らして笑う。
「蓮の今年最後の切れ芸を見せたところで、できたから、食べようか!」
「誰が切れ芸してんだよ!」
「それだよ、それ。ほらお腹すいてるなら、運んで!」
「はーい!!」
お腹を空かした凛太郎くんは率先してお手伝いに励む。
机にはおいしそうなうどん。お肉入り!!
かなたさんは料理がほんとにうまい。お兄ちゃん最高です。
みんなで食べ始めるとテレビではDOT がカウントダウンを始める。
「来年はあの DOT の席、俺たちがいいな」
かなたさんの言葉にみんなのうどんをすする手がぴたりと止まった。
「なに?」
「かなたがそんなこと言うなんて初めて聞いた」
蓮さんの事がにみんなの首が縦に振られる。
かなたさんっていつもニコニコして、きちんと仕事をこなして……だからそんな野心的なものはないのかと思ってた。
「俺だって言うけど?でも思うでしょ。蓮も、カウントダウンやりたくない?」
「やりたい、楽しそうだし!」
「おれもしたいな」
話ながら再びうどんをすする。DOTのカウントダウンはもう20秒を切っている。
「オレはね、みんなと一緒に年こせたらいい!!」
「凜が成長したね!そんな事言うなんてお兄ちゃん嬉しい!」
「コウちゃん大袈裟!!」
コウキくんが頭を撫でると口ではそう言いながらもまんざらでもない顔。
犬なら顔をそむけたまま、盛大に尻尾を振っている所だろう。
「あ、みなさん!あと少しで年が明けますよ」
もうカウントダウンは5秒を切っている。 4、3、2、1....
「あけおめ!!」
「はいはい、凜は新年早々元気だね!」
「凜くんの取り柄ですね!」
残りのうどんを食べきり凛太郎くんを見つめる。
「いーの!オレ元気っこだもん!ほら、あけおめ!」
つられてみんなで挨拶する。
RAINBOW となって年越しするなんて去年は思ってなかった。不思議。
みんなは今年の目標は一、なんて話している。
濃い1年がまた待っているんだろう。
これからこっそり初詣に行く??なんて話にもなったんだけど、さすがにバレたらまずいと本日はこのまま就寝することに。
なんだかんだしてたら、25時近くになっている。さすがに休みでも寝なきゃ。
各自部屋に戻り、私も布団に入る。が。
「目がさえている!!」
寝れない。布団の中で暗い部屋の天井をみつめる。どうしよう寝れない。とそんな時ノック音が部屋に響いた。
この時間に来るなんて凛太郎くんくらいな気がする。
「凜くん?入っていいよ?」
ベットの上で上体を起こす。寝られずに遊びに来たんだろうな。……って!!
「凜じゃねえけど?」
「蓮さん?!」
顔を出したのは蓮さん。
「御前夜中だぞ、静かにしろ」
中に入りベットの方を向いて座る。
部屋は暗いんだけど空気清浄器の光などで真っ暗なわけではないから一応顔は見える。
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「どうしたんです?」
「ん?ほら」
差し出された手の中には携帯電話。画面には“通話中 姫奈”と出ている。
「御前と話したいんだって」
「話します!!」
耳に当てれば姫奈の声。最近忙しくてメールでしかやり取りしていなかったからほんと久しぶりに声聞いた。
おかげで話しは盛り上がる。
蓮さんは何をするわけでもなく、机に肘をついて私を見ている。……顔に枕の痕でもついているのか?
急いで顔を触ると蓮さんが声をあげて笑う。
『蓮ちゃん、笑ってる?』
「あ、そうなの!」
あなたの彼氏意地悪、と言おうとしたんだけど。
『蓮ちゃんさ、花の……。……姫奈の事もう好きじゃないのかな」
そんな言葉が聞こえてきた。思わず受話音量を下げる
「姫奈、」
『なんて!今日はこれで電話切るね!蓮ちゃんにまた連絡するねって言っといて』
「姫奈!!」
「どうした?」
「切れました」
電話はすでに通話が終了し、耳から離すと携帯を差し出す。
姫奈と蓮さん、何かあったのだろうか。
私が突っ込んでいいものなのだろうか。
当の本人は部屋に帰るわけでもなく、その場で誰かに連絡を返してるっぽい。……言ってしまえ!!
「蓮さん!」
私はベットから降りて前へと座る。
「なんだよ」
暗い部屋に2人。前の私なら蓮さんを前にしてまともに顔が見れなかっただろう。けど、うん。今は平気だ。
「姫奈になにかしました?なんか元気なかったんですけど」
新年早々言うことじゃないな、なんて思ったけど仕方ない。
「なにか、って何もしてねえよ。」
携帯を机に置いて、何言ってんだこいつ、みたいな顔される。
「あ。でも」
「なんです?!」
正座をしてずいっと前のめりになる。
「最近な」
「はい」
「多分、俺、御前の事気になってる気がする」
「……はい?」
「いや、多分、だけど」
じっと見つめられる。いや、え?今なんと?私が気になる?多分……?!
「多分ってなんですか!多分って!」
「しかたねえだろ、俺だってよくわかってねえんだよ。つうか御前、凜どうすんだよ」
「え、どうって……」
まだ返事はしてないし、よくわかんないし……同じメンバーだからちゃんと答え出さなきゃって思うし。
「ま、いいわ」
私の頭にいつものように手を置く。
「俺が御前の事どう思ってるかわかんねえうちは凜のものにはなるなよ」
そのままぐしゃぐしゃと撫でられ立ち上がる。
口端を上げて笑う蓮さんと、口が開いたままの私。
……なにかっこいいこと言ってんの、この人!!今の気持ちの私じゃなかったら、蓮さんの胸に飛び込むところだ!!
って、そうじゃない、こんなこと言われて私は姫奈にどんな顔して会えば……
「御前、顔面白い」
百面相になっていたようで蓮さんが笑しだす。
「ま、一応覚えといて。んじゃ、おやすみ花」
「お、やすみなさい」
ひらりと手を振り蓮さんは部屋を後にする。
……こんなの、寝られるわけないでしょう!!




