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初めてのクリスマスと女性アイドルの恐怖2


「天さん、銀さんかっこいいです!」

「ほんま?」

「似合う?」

「はいとっても!」


 先に着替え終わった私は、番組のリハーサル待ち合い室前でほかメンバーを待っていた。

 そこに今回同じ番組に出演するDOTの2人がやってきたんだけど、2人とも髪の毛切っててかっこいい。

 天さんは両サイドにブロック入れてるし、銀さんは短髪でツンツンと立っている。


「一緒に写真撮ってください!」

「いいよ、花ちゃんとなら喜んで」

「銀、花ちゃん口説かんといて!」

「はいはい」


 携帯のアルバムに入った写真を見つめる。家宝にします。


「DOTはトリでしたっけ」

「そうやで」

「さすがDOTですね」

 

 毎年DOTの出演する時の視聴率は遅い時間にもかかわらず高い。RAINBOWはまだまだトリなんてできないだろう。


「そうそう、後で僕らからの差し入れのケーキ楽屋に持っていくね」

「ケーキ!!って、来ていただくなんて申し訳ないです」

「ええって!オレがそのついでに花ちゃんにクリスマスプレゼント渡したいだけやから!」

「そういうこと。だからみんなでケーキ楽しみに待っててね」


 天さんからクリスマスプレゼントをもらえるのにDOTからケーキまで!!今この人生で上位に入るほどいい日だと確信した。

 

「あ、でも私、天さんと銀さんにプレゼント今何も持ってなくて……」

「ええって!オレが好きな子にあげたいだけやから気にせんといて!」

「どこでもかしこでも女の子口説いて。もうちょっと節度ってもん考えなさいよ天。」


 銀さんに怒られてる天さんが意外と可愛くて私は好きだ。


「あ、花ちゃん。メンバー来たよ」

「ほんとだ!」

「花ちゃーん!」


 コウキくんが私を見つけ手を振ってくれた。

 今日の衣装はクリスマスってことで赤白コーデ。皆王子様の様。黙ってれば。


「あれ?コウキくん、何もってんの?」

「ん?あーさっきもらった、ってかなんか押し付けられた。」


 ひらひらと名刺みたいなものを振る。


「何??」

「ん?女の子のケータイ番号」

「はい?そんなの押し付ける子なんているの?!」


 見てみれば?と私の手の上に置いてくれたからちょっと見てみる。そこに書いてある名前は、最近よくテレビに出るアイドルの中の一人。可愛いよりきれいな子。結構高校生に人気あるよね。え、この人コウキくんに気があるの?!


「いるいる。もうすぐリハはじまりますーって時に携帯持ってる子はすくないでしょ?だから名刺みたいなのに書いてくれたりするんだよ」


 銀さんがよくある、なんてしみじみ言いながら教えてくれる。

 

「楽屋で聞けばよくないですか?」

「わかってへんなあ、花ちゃん!アイドルの子とか大人数で挨拶来てすぐ帰るのに一人抜け駆けして渡すなんてでけへんのとちゃうかな?グループじゃない子もマネージャーとかと一緒に来るんやで?聞けへんやろ。」

「よくわかんないですけど、とりあえずあれですか?大勢いる時に、あれ誰だっけ?ってなるよりは名刺とか渡して、しっかり自分をアピールできたほうがいいと。そういうことですか?マネージャーの見えない所で!!的なあれですよね。」

「そういうことやな!なんだかんだ渡した人物の印象には残りたいもんやろ。可愛い乙女心や」


 ふーん。アイドルは男も女も大変なんだな。あれか、私が姫奈意外に友達ができないのはRAINBOWの中に居てむかつくとか、そういう……やめよ、考えるのよそう。


「オレもらってないよ!」

「ん?」


 凜太郎くんが私を見下ろす。


「オレ好きな子いるからって断ったよ」

「凜く、」

「蓮くんたちはもらってた!」

「凜、別にそこ言うことねえだろうが!!俺は無理やり渡されたんだよ!!」

「俺もだからね、勘違いしないでほしいなー、凜。」


 蓮さんとかなたさんによって凜太郎くんの両頬は引っ張られる。よく伸びる頬だなあ。なんてかんがえてるけど、本当は……ちょっとキュンとしてしまった。

 好きな子って私、だよね。くっ、ほんとにちょっと、ちょっとだけキュンとした。


「花」

「え、わっ、蓮さん、近っ」

「これもらったってこと姫奈には内緒な?」


 私の顔に近づいたとおもったらそのまま耳元で話し、名刺をぴらと振り私を見つめると小さく笑う。


「は、はい」

「いい子。褒めてやる」


 セットされた髪型を崩さないように器用に頭を撫でる。いい子って、私は子供か!!


「蓮くん、ほんと花口説くの読めて!!」

「口説いてねえもん」

「口説いてる!!」

「はいはい、蓮くん、凜いくよ?RAINBOWリハだって!!」


 コウキくんが慣れたように蓮さんと凜太郎くんを推して会場に向かう。


「いってらっしゃい」

「ほな、また後でな」

「行こうか、花ちゃん」

「はい!」


 私はかなたさんとDOTに手を振り、前を騒がしく歩く3人を見て笑いながらリハーサルへと向かった。

 



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