アイドルはテレビ越しがいい4
「え、態度悪っ」
「は?」
思わず口をついて出た言葉にハッとして目をそらし下を向く。
……やばい。第一印象は肝心なのに。
だって態度悪いでしょ!社長もいるのに、ソファーに膝立てて座ってる男!しかも……たぶんあれ……飴?多分、チュッパチャプス的なのくわえてる。
ちらと顔を上げる。
……こわ。めっちゃ見られてる。
「凜、あの子の言うとおり。足。」
「はーい。ごめんねー?」
「取って食ったりしねえから、こっちくれば?」
「蓮くん、言い方。女の子なんだよ?ごめんね、こっちおいでよ。」
「神永、花ちゃん、座らせて」
「はい。ではこちらに」
促され神永さんと社長の横のソファーに座る。
私の前のソファーにはアイドル4人。
迫力あるな……オーラがあるっていうの?なんかよくわかんないけど……迫力ある。
「一応自己紹介しましょうか。かなた。」
「俺から?」
さっき注意してた人……てか、相道かなたでしょ。名前は知ってます。
「いーよ。相道かなた(アイミチカナタ)。21歳よろしく」
「よろしくお願いします」
あ、やっぱり。茶色のストレートな前髪から除く優しい笑顔。これは…ファン増えるわ。
「んじゃ、次。蓮いく?」
「へいへい。北川蓮。って。歳まで言わなきゃいけねぇの?……20。よろしく」
あ、取って食ったりって言ってたのはやはり、北川蓮だったか。テレビで見るよりさらに口悪い。
でもなんだろ…パーマで、全体的に長い髪。切れ長の目。男前!って感じなのにたまに話して笑ってる顔はかわいい。これが、ギャップか。
「次、おれね!谷村コウキ!19歳だよ!よろしく!」
あ、同じ歳?なのか?しかしテレビ通り、かわいい系だわ。金に近い髪で、前髪あげてる。よくこれでテレビにもでてたな。この子。
「佐久間凜太郎。18歳、もうすぐ19。さっきはガラ悪くてごめんね。お詫びにこれあげる」
あ。同じ歳だ。
差し出してきたのはチュッパチャプス。……大きい犬みたい!!くせ毛のある長めの髪から耳でも生えてそう。
これは年上ファン多いわけだわ。
「花さん。自己紹介を。」
「え、あ、はい!雨光 花です……よ、よろしくお願いします。」
「言ってた通り。この子、RAINBOWに入れるから。」
社長がコーヒーを飲みながらさらっと言う。
「簡単に言いますけど、俺ら歌も歌って、踊るんですよ?こいつ、歌と踊りどうなんすか?」
こわ、こいつこわ!!
「蓮、さっきコウも言ってたろ。女の子に対して言い方があるでしょ」
「でも、かなたも気になるだろ?」
「そりゃまあね。どうかな、そのへん」
ん?と優しく聞いてくれる、かなたさん。優しい、この人、優しい!!
「私は……」
「歌は俺が保証する。まあ、デビューまでにレッスンはしっかりとさせる。もちろん、踊りも。」
「社長が歌認めてるなら、俺はいいよ。ね、蓮。」
「まあ。」
それだけ言うと、蓮さんはソファーに背中を預け私から目をそらす。
……嫌な人だ。こいつ嫌な人。
「んで、花だっけ。RAINBOWほんとにはいんの??」
凜太郎……くんでいいか。凜太郎くんが首を傾げる。