犬とアイドルと友達と5
家につき私たちはリビングに。そして……
「このバカ!あそこで好きとか言っちゃダメでしょ!!」
「はい」
コウキくんは凜太郎くんを怒り
「蓮くん!花ちゃんの唇しっかり拭いて!!」
「へいへい」
私は蓮さんにずっと唇を拭かれている。痛いよう。
「神ちゃん、それで、どうなった??」
かなたさんは神永さんと電話中。
「あの蓮さん、痛いです、口」
「だとよ、コウキもういいか?」
「あと3分」
「だって」
「もう充分です!!」
思わず口を拭いてる腕を掴む。
明日歌番組なのに、口腫れる!!
「でもあと3分ってコウキがいってっしなあ」
「いつもあまり言うこと聞かないじゃないですか!!」
「聞いてるわ!いつもも!!でもまああれだ」
「なんですか」
「みんなお前が天さんとキスすんのは嫌なんだよ。」
「みんなって、蓮さんも……嫌とか?」
「あ?あーまあ、そうね。俺も御前が天さんとキスすんの嫌かも」
ふっとわらってまた拭き始める。その顔と言葉はずるい、カッコいい。
「蓮くん!!花口説かないで!!」
「はあ?口説いて……あ。そうか、花口説くと凜が切れるのか」
「蓮くん!!」
しねえよ、と笑い、終わりなーと私の口を拭くのをやめる。痛かった。
「大丈夫?花ちゃん。って、口少し腫れてる?」
「え?!もー……あ、神永さんとの電話は終わったんですか?」
「うん。皆。結局どうなったかいうから話すよ。凜は正座のまま」
「……はい」
足をくずそうとする凜太郎くんを制止、かなたさんが話し出す。
話を聞いて、まとめると……
DOTのおかげで、大事にはならないらしい。なんか色々DOT、DOTのマネージャーが手を回したらしい。さすが、トップアイドル。
まあ、あそこのカフェが一般人が入れない所だったって言うのも鎮火が早まった理由としてはあるらしい。よかった、よかった!!
「よかった、本当に」
コウキくんが小さく呟く。よかった……確かによかった、大事にならなくて。けどさあ。
あの。ファーストキスだったんです。まさか、推しにファーストキスもっていか……いいのか。推しだから。
私、基本少女マンガのような「ファーストキスって、こんなのがいい!!」……みたいな理想ないし。知らないやつとか、嫌いな奴、好きでもない奴にされるより、推しアイドルにされる方がよっぽどいい。
まあ、彼氏って言えないのは悲しいけど。
「んで、凜!」
「は、い」
はっ。私が天さんのキスを思い出していたら話が進んでた。
かなたさんが凜太郎くんの前に座りなおす。
「天さんと花ちゃんのキスで、凜の告白はみんなの頭から消えてるっぽいけど、外ではダメ。」
「うん」
「おれら別に凜が花ちゃんの事好きなのがダメって言ってるわけじゃないからね?ただそとでは言わない!!」
「はい」
かなたくんとコウキくんに怒られている凜太郎くんは尻尾と耳を下げた大型犬の様。
「蓮くんもオレの事怒る?」
「あ?怒ってほしいのか?」
蓮さんは立てた片足を抱き、眉間に皺を寄せて首をかしげている。
言葉を聞いて凜太郎くんはブンブンと首を横に振る。
「怒んねえけど、ほんと時と場合を考えろ。わかったか」
「はい。」
蓮さんの言葉に一度頭を垂れ小さく返事をすると、思いきり深呼吸して顔を上げ私を見つめる。
「なに?凜太郎くん」
「ごめんね花。オレ気づいたらすぐ言いたくなって」
「あ、うん。びっくりした……」
思い出すと恥ずかしいし、返事とかどうすれば。
「花がオレに惚れてないことは知ってる。だからちゃんと口説くから覚悟してろよ!」
「え」
「凜まずは反省しろ」
「はい。わかってます」
再び蓮さんたちと話し出す。
な、んか今、私すごい事言われたような……顔、熱い。