違う手のひらと演技と告白7
「けど、花ちゃん。凜が好きなのかと思ってた」
「はい??」
思わず大きな声が出て、とっさに口を抑える。
「なんで凜太郎くんなんですか?!」
「え?だって、凜、花ちゃんの事好きやろ」
「え??」
「天さん」
「あ。」
天さんがゆっくりと振り返るとそこには蓮さんと、何事―?とついてきた姫奈の姿。
ん?まてまて、凜太郎くんがなんだって??
「なーに言ってくれてんすか?」
「わー、蓮のそのすごい笑顔こわーい」
「花、天さんの言うこと真に受けんなよ?」
「あ、はい」
それだけ言うと蓮さんは座ってる天さんを見下ろす。
「先輩にそんな怖い目できるん蓮くらいやろなあ……」
「いやいや、先輩としては尊敬してますよ?一応」
「花ちゃん、蓮怖い。姫奈ちゃん!彼女やろ!!蓮とめて」
「むりでーす!」
姫奈、蓮さん、天さん、3人が話しているのを見る。
……なんだ、さっきのは天さんの冗談か。蓮さんも真に受けんなって言ってたし。
なんだ、びっくりして損した!ドキドキしちゃったじゃん、これバカ凜太郎のせいだ!!帰ったら叩く!!
「大事なうちのメンバーなんで、かき乱すのやめてもらっていいっすか?かなた達にも花守れって言われてるんで」
「別に取って食おうなんてしてへんやん?」
「天さん、放っておいたら食いそうじゃないですか」
「でもまあ、オレ花ちゃん狙ってるんはほんまやで?」
「え?」
「は?」
蓮さんと私は同時に声を発した。
「可愛いやん、笑った顔!」
「花、あのDOTの天さんに告白されてるんだよ、わかってる??」
姫奈が座ったまま天さんを見ている私の肩をつかんで揺らす。
「じょ、うだんですよね?」
「いや?花ちゃんが付き合ってくれるんやったら女遊びせえへんよ?」
天さんは私の好きな笑顔でこちらを向いている。
「ど、どうしよう、ドキドキする!!」
「え、花ちゃん可愛い!」
「天さん!ったく、本気か冗談かわかんねえな!」
バタバタと暴れる天さんを蓮さんが抑えるが、すっと暴れるのをやめ咳払いをした後私を見つめてくる。
くっ推しの顔が今日もカッコいいです。
「花ちゃん、オレの事もこれからはファンとしてじゃなくて男として見てな?」
笑みを浮かべて首を傾げる天さん。
……鼻血でそう。
「あーもう。姫奈、花、御前らもう部屋戻れ。」
「ええ?!ええやん、まだ時間早いし、姫奈も蓮とおりたいやろ?な?」
「残念っすね。あとで俺は姫奈とあうので大丈夫です。それより俺とごはん食いましょ、天さん。本気か冗談かまじでわかんねえっすから!」
「ちょ、蓮!!花ちゃん、また明日!!」
がっしりと腕を掴まれたままの天さんが力なく手を振る。
私は姫奈とそこを後にする。
なんだろ、冗談でも天さんに言われた言葉はうれしかったしドキドキもした。推しだし、ほんとに鼻血でそうだった。
けど。蓮さんから、「あとで姫奈と会うので」って言葉聞いて、ドキドキがズキズキに変わってしまった。
「花?どした?大丈夫?」
「あ、うん!」
姫奈に笑顔を向けれているのだろうか。
「ごめんね、後でちょっと部屋抜けるけどすぐ帰ってくるから!」
「だいじょうぶ!蓮さんとゆっくりしておいでよ」
姫奈が嬉しそうにほほ笑む。
私と姫奈はこの3日間同じ部屋に泊まることになっている。
部屋へと戻りベットへと腰掛ける。
「姫奈もう、行くの?蓮さんとこ」
「まだ。蓮ちゃんから連絡来たら行くよ」
「そっか!あ、先お風呂いい??」
姫奈が頷いてくれたからお風呂にいって服を脱ぐ前にシャワーを出す。
「なんで、こんなズキズキすんの……」
しゃがみこむ。天さんに言われたこと嬉しかったのに、そんなのが一瞬で消えるほど、私蓮さん好きなの?諦めるって決めたのに。
泣きそうなのをこらえると、鼻水垂れそうになる。
「……ああ。今無性にみんなに会いたい。」
ずびっと鼻をすする。
『花何かあったらすぐ電話しろ』
凜太郎くんの言葉、必死な顔が浮かぶ。
「へへ」
なんでだろう……凜太郎くんにあえたら私笑える気がするよ。