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違う手のひらと演技と告白3



「蓮ちゃん!花!!」

「あ、姫奈」

「姫奈ちゃん、おはよ」


 蓮さんが、姫奈をちゃん付けで呼んでる!!



「おはようございます!撮影楽しみですね」

「そうだな、3日間よろしく」


 姫奈が蓮さんを見上げて笑う。久しぶりに会えたのを私は知っている。車の中で蓮さんが言ってたから。

 

 ああ、この光景を3日間見るのか、胸が……ん?


 携帯が震えていることに気づく。取り出せば凜太郎くんからの着信。


「もしもし?」

『花!ついた?』

「うん、ついたよ!って、後ろ騒がしくない??」


 電話の奥が妙に騒がしい。なんかコウキくんたちの声が聞こえるような……


「なにしてんの?」

『ん?今から3人でロケ』

『凜!!あ!その電話、花ちゃんだろー!今は電話ダメって言ったでしょ』 

『りーん!メイク直すって!!』

『んもう!オレ後でいーの!!』


 私そっちのけで凜太郎くんがかなたさんたちと話し出す。

 もう、ばか。


「凜太郎くん、だめだよ。コウキくんとかなたさんに怒られるから行って?」

『え?!まだちょっとしか話してないじゃん!!』


 数時間前まで一緒にいたのに、そんな事言ってくれるなんて。


「はーなーちゃん!」

「え?うわ?!て、天さん?!」

 

 背中にいつも乗ってくる凜太郎くんとは別の重みを感じた瞬間、自分の推しの声だと気づくまで1秒。


「久しぶり!!」

「ひ、久しぶりです……近くてかっこいい!!」

「ふはっ!ほんま?うれしいわ!」

『花!!!』 

 

 は!電話持ってること忘れてた。


「ごめん、凜太郎くん、今天さ……」

「凜?なに?心配で電話してきたん?かわええな」


 私から電話を取り上げ天さんが凜太郎くんと話し始める。……凜太郎くんの「花に代わってください」って言葉が聞こえてくる。

 

 でも、ごめん凜太郎くん。推しからのバックハグされてて私動けない。近くで方言聞こえるし。顔近いし、もう幸せ。


「あ!天さん!花からはなれてくれませんかね」

「ちっ!蓮まできたんか。しゃあないなあ。ほな花ちゃん、また後でな?」


 私の髪を一掴みもってスルとなでたあと天さんは私に電話を返しスッと離れていった。

 

蓮さんがきたら天さんが離れた。虫よけスプレーみたい。


「ったく。あの人は。御前も呑気につかまってんじゃねえ!!」

「だって、凜太郎くんと話してたら突然……」

「あ?凜?」

「ん」


 いまだ電話越しでギャーギャーいってる凜太郎くんの声が漏れている。連さんが話し出すと落ち着いたのか凜太郎くんの声はもれなくなった。


「ああ。大丈夫だって。それより凜、仕事。ちゃんとしてこい。ん?花?大丈夫だって」


 蓮さんが私の横で話してるのを見上げる。

 ふと私と目が合うと、小さく微笑んでくれる。

 この顔が好き。いつまでも見れてしまう整った顔も。何度見ても私は……


「花。これ」

「あれ?切れてる」


 渡された電話はすでに通話が終了している。

 蓮さんが言うには、電話をしていた凜太郎くんに、ロケの時間が押してしまう、としびれを切らしたコウキくんに電話を取り上げ切ったらしい。


「凜太郎くんって、アホですよね?」

「今さらだろ。」


 2人で笑いあう。もう胸の苦しさはない。


 凜太郎くんのおかげなのか、天さんのおかげなのか。……蓮さんが私の元に来てくれたから……なんだろうか。


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