夢と女優と最大の推し4
心地よく歌った後は……楽屋にて
「ああ、カッコいい!!!!!」
DOTを目に焼き付ける番。
楽屋のテレビには今回の番組のトリを務めるDOTの姿。
「花ちゃん、そんなにDOT好きなの?」
「だってファンクラブ入ってますもん!!」
ストレッチをしているかなたさんが、私の言葉を聞いて笑ってるけど、私の目は常にテレビ。
「天さんだっけ、好きなの」
「そー!!」
「えー、天くん、ただの女好きじゃん。オレらもかっこいいし!!」
「凜太郎くんちょっとうるさい、歌聞こえない。それに次女好きって言ったら、凜太郎くんの部屋にある飴全部捨てるから」
もう、うるさいなあ。私は天さんを見てんの!!
ぶつぶつ文句をコウキくんに話している凜太郎くんの声は聞き流し、じっとテレビを見る。いいなあ、カッコいいのにかわいいとか天使かな。
ほんとは女好きとかじゃないといいなあ。
さすがは大型歌番組のオオトリ。DOTは2曲歌うらしい。ファンとしてはしあわせ。
「天さんも銀さんもかっこいいと思うけど、俺らも負けてねえだろ」
「え、」
ふと隣にいた蓮さんを見る。
なあ?と私の隣で机に肘をつき手に顎を乗せてこちらを見る。
どうしよう、先ほどから蓮さんがいつも以上に……か、かっこいい。
「か、カッコいいと思います……」
蓮さんが、とは言えず、みんなもかっこいいとひとまとめにする。
「だろ?よかったな、凜、俺らもかっこいいってよ!!」
「花!なんで蓮くんだったら顔見てしゃべるの?!贔屓だ!!」
「ほんと凜ってかわいいよねえ!」
「うんうん、かわいい!!!」
「コウちゃんもかなたくんもかっこいいって言って!!」
話し出す4人はうるさいし、DOTの曲はもうすでに終わってるし、いつもなら、見れなかったって落ち込むのに、私はじゃれている蓮さんからなぜか目をそらせない。
「ん?なんだ、花」
突然ばちっと蓮さんと目が合う。あ。あれ?その不思議そうに私を見る蓮さんがかっこいいと思ってしまって……あれ?なんか、心臓が……
「えっと、あ!DOTが終わりましたね、かっこよかったです!みなさん、テレビ見させてくれてありがとうございました!」
平常心だ、花。平常心。
「んじゃ、DOTもみたし、家帰ろうか」
「んじゃ、おれ、神ちゃん呼んでくんね」
コウキくんが立ち上がる。私も家に帰りたいんだけど……山名姫奈さんが。
「あのさ、私、なんか話がしたいってさっき山名姫奈さんにいわれてね、楽屋くるって言われたから、まだ帰れないの」
「え?そうなの??ならしかたないね」
コウキくんがまた座る。
みんなまってくれるんだ、優しい。
「姫奈ちゃんくんの??」
「え?凜太郎くんってドラマとかで共演してたっけ??お友達??」
「お友達っていうか……ねえ、かなたくん」
「んー?ああ、そうね、RAINBOWは姫奈ちゃんとは普通に話す仲だよ」
「なんで?」
かなたくん、コウキくん、凜太郎くんが同じ方を見ていたので私もそちらを向く。
その先には電話してる蓮さん。
「花、姫奈すぐ来るって」
電話を切った蓮さんがそう伝えてくれる。え?呼び捨て?そんなに仲良いの??どういうこと??
頭の中に?が浮かぶ、けど、なんか動機が激しくなり、体がNGを出しているのがわかる。
なんでこんなに私は嫌がっているんだろう?聞いちゃだめだとわかってるのに気になる。
「蓮さん、仲良いんですか?」
「え?仲良いっつうか、彼女」
「蓮さん、彼女いたんですか?!」
淡々と話す蓮さんと、叫ぶ私。……思わず叫んじゃったよ。。
「え?そりゃ、一応いるけど……なんだよ」
「え?いえ、何でもないですが」
「は?変な奴」
不思議そうな顔の蓮さんに顔を覗きこまれたと思ったら、ピシと額を弾かれ急な痛みに額を抑える。
「まーた、蓮くんは花デコピンしてんのー??花の額へこむよ?」
「いや、こいつの額がデコピン待ってんの!しかたねえよ」
額が痛いと俯いてそこ撫で続けてるんだけど、、あれ?なんかショック受けてる??ん?なぜ??
俯いたまま、考える。いやいや、ショックとかないって。
なんて考えていたら、楽屋にノックが響いた。