アイドルはテレビ越しがいい
「お名前は?」
「雨光 花です。」
スーツで長い髪を1つに結び、背筋を伸ばし目の前の貫録のある男性たちを見つめる。
今日はテレビ局の受付の面接。
「では志望動機をお願いします。」
「はい。御社を希望したのは……」
……よし、自分でもちゃんと答えられてると思う。
何分か面接してもらい、「ありがとうございました」と自分なりに精いっぱい伝えお辞儀をして部屋を出る。
つ、疲れた……これで何社目だろう。
高校卒業してまだ半年。いまだ就職は決まらない。
在学中、一番大事な面接1日前……予防接種のかいむなしくインフルエンザになり、高熱をだした私は気絶したかのように眠り続け……起きてみればとっくに面接時間を大幅に過ぎていた。
そこからのやる気なんてあるわけなく。今までバイトに励んでいたが、一人暮らしでは少しきつい。固定給の大事さに改めて気づいた私は一念発起し、最近就職活動を開始したのだ。
「今回はいけそうな気がする」
小さく頷き、先ほどの面接を思い出しながら出口へと向かう……ところだったんだけど……
「君!!」
突然片肩をつかまれた。
「え?!何?!」
とっさに振り替える。
男の人はじっと私のかをを見ている。
……何?このおじさん。新手のナンパ?変質者?
「社長!!なににしてるんですか」
社長?どこの?!え?私を雇用してくれ……るわけないか。
淡い期待は自分でかき消し、帰ろうと歩き出そうとしたけど。社長さん?は私の腕をつかんだまま話してくれない。
なんなの!!
「この子!この子にしよう!俺の勘がこの子って言ってる!」
「……はあ」
じっとあとから来たお兄さんが私を見つめる。




