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夢と女優と最大の推し

 ほ、本物がいる。生きててよかった!!!!

 

 今私の前には、私の最大の推し『DOT』の2人がいる。


 今日の私はどうだろうか?ちゃんと2人に会える顔になっているだろうか。興奮を無理やり抑え込んでる。抑えられてると思う、多分!


 『DOT』

 天と銀の2人組みアイドル。


「君が花ちゃん?」

「はい!!」

「声、裏がえっとってかわええな」

「は、はい」


 笑った顔もとてもかわいい!!可愛いよ、天!!


 『DOT』というアイドルは、読み方はそのままアルファベット読み。

 天という関西出身のイケメンと、銀という頭のいい東京出身のイケメンの23歳、2人組み。

 RAINBOWと同じく歌、ダンス、ドラマ、バラエティー、そしてニュース番組といろいろな番組に出ている。

 RAINBOWよりも早くから活躍し人気もトップクラスのアイドル。

 そして、私がファンクラブまで入っているアイドルで、私の最推しは天さん。

 ソロ活動もしててCDは全部持っている。東京生まれな私にとって、方言はプラス要素。


「天さんと銀さん、なんか久しぶりですね?」

「そうだね、RAINBOWが出るっていうのは知ってたよ、僕らは。会いに行こうと思ったのに来てくれてよかったよ」


 かなたさんが銀さんと話している。

 本物が目の前にいて私はすでに泣きそうです。


 今日は秋の歌番組特番。大御所、若手、アイドル、たくさんの歌手の方、そしてゲストが集まる。

 RAINBOWは挨拶回り中。いろいろ回った後に、先ほど楽屋にいなかったDOTの所に挨拶に来たのだ。


「花、花。」

「はっ!!な、なんでしょう!」

「……目、充血すんぞ、御前。」


 蓮さんに言われて自分が瞬きを忘れていたことに気づく。あぶない、推しを目に焼き付けようと必死だった。


「花ちゃん、DOTの2人のファンだったんだ?」

「うん!!!!」

「え?そうなん?」


 わ、私の前に天がいる。

 コウキくんと私の会話に天さんが近づいてきたと思ったら。私を見つめて首を傾げる。

 か、かっこいい……。


「どっちのファンとかあるん?」

「え、あ、天さんです」

「ほんま?めっちゃうれしいわ!ありがとう!」

「は、はい……」


 目が離せない。と、じっと天さんを見ていたら急に背中に重みが。


「花、天くんのファンなの?」

「ちょ、凜太郎くん、お、重い……」


 凜太郎くんが乗ってる、と思った瞬間、ぬっと私の両肩から手が出てくる。またチュッパチャプス持ってるし。


「なんや凜、姉弟みたいやなあ?」

「べつに花と姉弟じゃないしー」

「凜太郎くん!天さんにその口のきき方やめて!つうか、重い!!」

「えー、別にいいじゃん」


 いっこうに私の上から降りてくれない凜太郎くんに天さんが笑う。こ、こんなに近くでこの笑顔を見れるなんて!!八重歯かわいい!


「ちょっとちょっとおれらの花ちゃんを腑抜けにするような笑顔やめてもらえます?」


 コウキくんが私の前に立つ。


「別に取って食おうなんて思ってへんよ?今は」

「今はってのやめてもらえます?天さんがいうとシャレになんねえんで」


 蓮さんの言葉にはちょっとトゲがある気がするけど……でも天さんを前になんかめっちゃ笑顔なんだけど。


「なんや、からかいがいがあるんは変わってへんなあ、RAINBOWは!」

「天!いい加減からかうのやめなさいよ?RAINBOWに嫌われたらどーすんの!」


 パシンと後ろから銀さんが天さんの頭を叩いた。


「あ、銀さんやってくれてありがとうございました、先輩だけど天さん殴るところでした」


 ああ、かなたさんもなぜか怖い。


「RAINBOW、こわーい」

「あんたが女好きじゃなかったら、俺らもこんなこと言ってねえんです!!」

「女の子かわええやん!!蓮もほんまはおもってんねやろ?かわいいもんな、女の子!」

「天、そういうとこだよ、ほんと。日頃の行い。」


 お、女好き?!……あ、あの天が!!!聞きたくなかった新事実。

 6人は話しているが私のこのショックは計り知れない。

 いろんな子と遊んでるって、雑誌が適当に書いているだけの嘘だと思ってた。


 ちらと笑ってる天さんを見る。……ああ、カッコいい!!かっこいいし、可愛い!!けどけど……


「お、女好き……」

「あ!!ほら、天くん!花がショックうけちゃったじゃん!!」


 私の呟きが聞こえたのか、凜太郎くんが私の背中の上で叫ぶ。


「え?あー……花ちゃんほなお詫びにデートする??」

「え?!」

「天!!」

「天さん!!!」


 みんなの声がハモる。天さんも「ハモってまで注意せんでもいいやろ!!」なんて言っている。そんな、ハモらなくたって……あ、だめ、なんか面白くなってきた。


「ふふ、おかし!そんなみんなして天さん怒らなくも!あはは!」


 一回笑いだすと止まんない。笑い始めた私に蓮さんは、ばーかといって笑いだしみんなもつられる。


「笑った顔かわええからほんまにデートしよか?」

「ダメ!!」


凜太郎くんが背中から退き私の前に立つ。


「天!!」

「だからやめてくださいって!!ほんとに女の子好きっすね!!」

「え?うん、女の子と遊ぶのはオレの使命やから!!」

「……そんな使命、今すぐ断ち切ってください、おれ天さんに口説かれたっていいまくりますよ?」

「……コウキこわーい、コウキかわいいからシャレにならへん」


コウキくんがその辺のゴミでも見るかのように冷たい視線を向ける。


「ぶはっ!!だめ、笑いこらえらんない!!」


私はこの後10分ほどずっと笑いが止まらなかった。

あーもう、本番前に面白かった!!


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