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MVとド緊張の初演技5

「花ちゃん、意外と演技うまい」

「ほんとですか?」

「うん」


 私とかなたさんはモニターチェック中。今は2人で手をつないで廊下を歩いてるシーン。 緊張しすぎて手汗がすごかったけど、なんか私、演技力あるらしい。……と調子に乗ってしまうほど褒められる。


「うん、これもうOKでいいよね?」


 監督さんも頷いてる。意外な才能!!!!


「んじゃ俺とのシーンは終わり。お疲れ。次は凜??」

「確かそうだったと。……いないけど。」


 凜太郎くんとは体育館での撮影ってのはわかってるけど、あたりを見回しても凜太郎くんはいない。

 

「コウー!!凜は?」

「えー??その辺いない―?いなかったら体育館!蓮くんとバスケするっていってたから!」


 髪をセットされながらコウキくんが教えてくれる。ちらりとかなたさんを見れば、行こうって感じ見つめ返してきてくれて歩き出し、私はそのあとを追う。

久しぶりに見る体育館はちょっとテンションが上がる。そして中からは部活、体育の授業を思い出させるようなボールの音。


「ここか」

「コウキくんの言うとおりでしたね」

「花ちゃん、俺撮影スタッフに2人がここにいる事話してくるから、凜と待ってて」

「はーい!」


 いい返事と笑いかなたさんはスタッフの元へ。

さて。私は靴を脱ぎ体育館の中へ。

 そこには蓮さんと凜太郎くんがバスケをしている姿。

 ファンにこの写真を売ればいくらになるんだろう……なんて馬鹿なことを考えていると


「花」

「来てたのか」


 2人が私に気が付いてくれバスケをやめてこちらに来てくれた。

 

「さっき来た。かなたさんとの撮影終わったから次凜太郎くんとのシーンの番だよ」

「あれ?結構巻いてるな、時間」

 

 確かに体育館の時計を見れば今の時間はまだかなたくんと撮っているスケジュールになっている。


「私の演技力舐めないでください!うまいっていわれたの!」

「はあ?御前俺と撮る前からハードルあげてどうするつもりだよ」


 バカとまた言われたけど蓮さんは笑ってる。


「ほんと笑ってると口が悪い事帳消しにするくらいの破壊力ありますよね。」

「御前最近生意気だな?」

「ごめんなさ……ん?凜太郎くん外どうかした?」


 ふと凜太郎くんに目をやると、ぶすっとしたような顔して外を見つめてる。

 

「別に」

「え、どうしたの?頭とか痛い?」

「痛くない。蓮くん、かなたくんとコウちゃんが」

「え?あ。」


 私も振り返り外を見ると遠くでかなたくんたちが「れーん」と呼んでいる。


「撮影かな。んじゃ、凜、花、後でな」


 蓮さんは私をみて笑うと凜太郎くんの頭をぐしゃと撫でる。


「ちょ、蓮くん!乱れる、やめて!!

「よくわかんねえけど、イライラしねえの!じゃ、後でな。花、演技期待してるぜ」


 ひらと手をふって蓮さんはかなたさんたちんの元へ。 

 ……凜太郎くん、イライラしてたのかな?先ほどの蓮さんの言葉を思いだす。凜太郎くんを見上げれば、「もー髪崩れた!!」と子供のようにかみを触っている。

 

 可愛い、ほんと大きな犬のよう。


「凜太郎くん直してあげる」

「え?」

 

 手を伸ばすと、ん。と頭を下げてくれた。

おお、ネコ毛!柔らかい!


「なにか怒ってたの?」

「え?んー……よくわかんない」

「そ?」

「うん。花の手気持ちいー」


 よくわかんないけど機嫌悪くなくてよかった。

 そこからは、凜太郎くんとの撮影に。


 2人でバスケをするってシーン。私は凜太郎くんが好きな女子高生。


『ダンクしてみたい』


 MVだから声は入らないけど一応話しているように撮るため決められた会話は話す。


『いいよ。ほら』


 凜太郎くんに後ろから両脇に手を入れられ持ち上げられる。ちょっと怖い。


「花、体強張りすぎ!」

「笑わないでよ!怖いの」


 後ろは見えないけど手から凜太郎くんが笑ってるのが伝わる。


「ほら、撮ってんだからそのままダンクして」


 もう凜太郎くんは笑ってるから決められたセリフが出てこない。これがアドリブか!


「花」

「うん」


 ガコっとダンクを決める。初めて触ったよ、バスケットゴール!!

 カットと声が入り私は地面に降りる。な。なんか、ダンク楽しかった。 


「ねえ、見た!?凜太郎くん!見た!」

「見た見た!つうか見えるよ、オレが持ってんだもん」

「すっごいね、すごかったね!!いえーい!!」

「いえーい」


 笑顔のままの凜太郎くんとハイタッチ。


「楽しい!楽しかった!!」

「花テンションたかーい!」


 私の両頬を掴んで引っ張る。痛くはないんだけど……凜太郎くんがすごく笑ってる。

 凜太郎くんも楽しそう。 


「そんな楽しかったならまたしてあげんね!」

「うん!って、いい加減これ離してくんないかな?」


 ペチペチと私の顔を掴んでる手を叩く。


「いやー、花の頬めちゃくちゃ柔らかいなあ」

「お餅じゃないんだよ!!伸びる!!さらに不細工になる!!」

「え?別に花不細工じゃないじゃん?意外と可愛いよ」


 思わず固まってしまう。ね?と黙ってればかっこいい顔で見つめられる。

 こ、これは……照れる


「あれ?今は変な顔」


 きょとんとずっと見つめられる。ど、どうしよう、こんなかっこいい顔で可愛いとか言われると動機が激しく……


「あの。そろそろ次の撮影に行きたいのですが?」

「あ。」


 神永さんが私たちの横に立っている。

 いつカットって言われたんだろう……やっと私の頬から手が離れる。

 特に痛くもないけど頬を撫でる。

 凜太郎くんと神永さんは2人で次の撮影の話をしている。


「はあ……」


 なんかまだ撮影残ってるけどもう帰りたい。


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