MVとド緊張の初演技3
本日MV撮影日。
たくさんのスタッフさんに囲まれている私。今いる場所は、学校。
私の格好は制服。短めのスカートに紺のソックス。制服にリボン。そして上着。いわゆる普通の女子高生の格好。制服なんて着るのは卒業以来だ。
長い髪は今はポニーテールにしてもらっている。
「髪終わったらメイクすぐ入るよ」
「髪もう少し上げ気味にして、しっかりストレートにのばして!」
私の頭上、後ろ、いろんなとこで言葉が飛び交う。
この前の会見とは雰囲気が違う。き、緊張してきた。
「あ、あの、そこの台本取ってもらえますでしょうか?」
「はい」
そばにいたスタッフさんが笑いながら渡してくれて、それをめくる。
これには今回のMV撮影の内容が書かれている。
「メイク入りますね」
「これ読んでても大丈夫ですか?」
「もちろん」
顔を触られながら、内容を読み返す。
今回の曲は撮影は青春って感じの恋をする女の子応援ソング。ダンスもみんなで踊れそうな振りだし、曲も明るい。
そんな曲のMVは私がRAINBOW4人が扮する生徒に恋をしてて……って、恥ずかしいわ!!!
人と付き合ったこともない私がそんな演技をするなんて!!そりゃ好きな人はいたけど、今考えれば「好きでしょ?」「すきだよねー?」なんていわれて、好きだと勘違いしてたような気もしないこともない。
「はーなちゃん、終わった―?」
「あ、コウキくん!」
ひょっこり顔出したのはコウキくん。メイクさんを見れば「終わりましたよ」といってくれたので、コウキくんの元へ。
「花ちゃん、かわいいじゃん!」
「え?そう?」
「うん、可愛い!」
コウキくんに褒められて嫌な気になるわけはない。でも
「でもコウキくんの方が可愛いね?」
「知ってる!おれ、可愛いポイントはわかってるからね」
知ってるって、この野郎。どう?と格好を見せてくれる。いつものように前髪は上げてピンでとめており白い長そで、Vネックのセーターは萌袖丈。
……かわいいですね、ほんと!!!
「あ!いたいた、コウちゃん!花はー??」
チュッパチャプスを舐めながら現れた凜太郎くん。こちらは黒いセーターに長めにたらしたベルト。ブレザーは羽織ってはいるもののボタンはあいたまま。
「凜太郎くん、かっこいいね」
「そー?コウちゃんも制服違和感ないけど、花もないね、違和感。」
「まだ、一応卒業して半年ぐらいだから着れてるはず!」
「コウちゃんも花も可愛い!」
凜太郎くんホントに大きな犬みたい。
「花ちゃんさあ、凜でかっこいいて言ってたら、蓮くんとかなたくん見て驚くよ?」
「え?うそ?」
「そりゃ凜も黙ってればかっこいいけど、かなたくんと、蓮くんは別格。」
真剣な顔つきに、思わずごくりと唾を飲む。
「そ、そうなの?」
凜太郎くんも和足の声に真面目な顔して頷く。
「……って、なんでこんな真面目トーンではなしてんのよ」
「花ちゃんってほんと扱いやすい!」
「うるさいよ!」
「でもかっこいいのはほんとだから」
楽しみにしてて?とウインクするコウキくん。まじであざとい。
「そういえば、花って、オレらの事知ってた??」
「え?」
「だから、RAINBOWに入る前、ちゃんとオレらの事知ってた??」
ん?とチュッパチャプスをマイクのように向けてくる。
「えー?知ってたよ?そりゃ」
よくテレビでてるし、CMもしてる。ドラマにもでるしバラエティーにも。雑誌にも載ってるし。マルチに出てるから、興味なくても顔見たことないって人は少ないんじゃない??
「ふーん!じゃあ、誰が好きだった??」
「は??それ聞く?!」
「あ、気になる!!ほら座って!」
コウキくんに懐かしい学校特有の木の椅子を差し出され思わず座ってしまった。
「別に気になんないでしょ?!」
「一応、RAINBOW唯一の女の子だからね、気になる。」
「そ、コウちゃんの言うとおり!!」
私の前の席、その隣の席に2人は腰掛け、こちらを向く。
なーんか、学校にこの人たち居たら、めっちゃくちゃモテそう。
「花、誰??」
「誰?あ、おれ??」
モテそうだけど、ちょっとうるさいな。なあなあ、と机を挟んで2人が見つめてくる。
「あのさ、正直に言うと、私、RAINBOWの事は知ってたけど、推しは他にいて……」
「かなたさんと蓮さん、用意終わりました」
私の声はスタッフさんに遮られる。
「おー!かっこいい、蓮くんとかなたくん!」
「ほら言ったじゃん、かこいいって!どう?2人は!」
ドアから現れた2人。確かに
「かっこいい」
「やっぱり!」
凜太郎くんとコウキくんは2人の元へ。
これは……本当にカッコイイ。蓮さんは凜太郎くんの格好に似てるけど、セーターではなくパーカーを着て、制服のボタンは開いている。
かなたさんは、きちんと制服を着ているがまたそれが似合う。なんならメガネというおオプション付き。
こんなの学校にいたら、ファンクラブできるわ!!




