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MVとド緊張の初演技


「最近良い気候だねえ!」

「え?9月だよ?まだ暑い……って!あ、花ちゃんだ」

「ほんとだ、まだ花の事テレビでいってんだねー?」

「もーー!せっかく自分が出たからほかの話振ったのに!!いい加減このファンの声ってので、女が入るの嫌!!って言葉聞き飽きた」


 私は今家のリビングで凜太郎くん、コウキくんと3人でソファーに座りワイドショーを見ている。

 あの発表から1週間。よほど印象に残るニュースがないのか、いまだにRAINBOWに女性加入について!!と話題にされている。

 

 当の本人は、もうなんだろ。その気持ちわかる、いやだよねーと思いながらも、なんか罵詈雑言に耐性がついたのかほぼスルー。もうなんか、別人格を見ている感覚にまでなった。


「コウキくん、飴食べる?」

「おれ、そこのチョコがいい。花ちゃんとってー??」

「はいはい。なんなんです?そのあざとさ!!」

「かわいいでしょ?」

「むかつく」

「花!オレも!コウちゃんといっしょの食べる!!」

「はいはい」


 3人でわいわいとお菓子を食べる。

 テレビでは女の子にインタビュー中。


『コウキと一緒に部屋にいるとかうらやましい!!』

「へー。おれと居るのうらやましいって!花ちゃん」

『蓮と凜ちゃんとかもう毎日やばい!!』 

「花も毎日やばい??」


 テレビでファンの子が話すたびに、聞いてくる2人。

 ちょっとめんどくさいけど!?


「ファンの子からしたら、うらやましいし、やばいんじゃない??」

「花って、オレら最初に見たときも、キャーキャーいわなかったよねー?」

「確かに!」


 ぼうっとテレビに目を向けたままの私の方を2人が見る。


「え?そんなの言う前にあなたたちに会うっていうので緊張しかなかったし、凜太郎くんのソファーの座り方にびっくりしたからね。騒ぐ以前の問題」


座り方こうだっけ?とからかい半分で、あの姿を再現して見せる。


「凜ってその体制よくやってるよね?」

「ん?あーこれ?……やってる!!意識してなかった!!」

「花ちゃん、凛がアホって気づいてた?」

「薄々気づいてた」

「ひどっ!!」


 ひどい、もうしらねーとチョコを口に放り込む姿にコウキくんと笑う。


 テレビでは、「アイドルと一緒に暮らすなんて緊張する!!」とかいってるけど……アイドルだって、こうして一緒にいればなんてことないただの男の人なのに。


 でも、私だってRAINBOWが推しの場合は違っただろう。発狂し挙動不審になる自信は、あるわ。


「ただいま、何見てんの?3人で」

 

 突然降ってきた声にそろって顔を上げる。

 そこにはソファーに寄りかかるように両手をついて私たちを見下ろす、かなたさんの姿。


「かなたくんおかえりー」

「花ちゃんの映像みてた」

「もう無の境地ですよ、私」


 かなたくんは「あー、また見てたの?ワイドショーも好きだね、この話題」と笑って、L字型に置かれたソファーの一人席に腰掛ける。


「いまだにおちつかないねー?俺今日も聞かれたよ。撮影してるのに、あの子どんな子なのー??って。」

「オレ、昨日会った友達にそれ言われたー」

「え?」

「おれ、バラエティー収録してた時に、芸人さんにすっごい聞かれた」

「……はあ」


 神永さんに言われた、男性のみのグループに女性が加入し一緒に暮らしている。この事は結構衝撃が走っていると。

 おかげで、私はあの日以来、まだテレビ収録、雑誌撮影など、仕事のオファーはきているが、なにもしていないいない。

 社長曰く「花ちゃんの一発目は、考え中!!しばらく修行!!」と、言うことで、日々、仕事の合間などにメンバーに歌、ダンスを習いまくっているのだ。



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