87 個人契約
遅くなりました!
魔王城の帰りフブキは宣言通り結界の王国"バリス"へと立ち寄ろうとしていた。
「ねぇ、バリ」
「はい」
「私ここに来るの二回目よね?」
「はい、私もきた、、そう言う事ですか」
バリは周りをみて気づき言おうとしていたことを遮った。
「人族もこりませんねぇ、神龍様がもし攻撃しようものなら気づかずに消えるのに、、あの魔族の様に、、」
そう、また王国の玄関口にわらわらと兵隊が出てきたのだ。もちろんあの神官と一緒に。
「人族と言うのは疑り深く信用という物はそうそう生まれないのよ。貴方たち妖精族みたいに契約をする訳じゃ無いからね」
「なるほど、、だから同盟を結んでいても状況が悪くなれば直ぐに裏切るのですね」
「、、、貴方がどの国の事を行っているか分からないけれど、簡単に悪い例を言うとそう言う事ね」
フブキは兵士の前に物音を立てずに着地した。そして直ぐにあの神官が前に出てきた。今回は兵士も承知のようだ。
「おお!我が神よ!またいらして下さったのですね!私は嬉しゅうごいます!」
「様子を見に来ただけよ。それにしても何故二回目なのにこんなにわらわらと武装兵がいるのかしら?」
フブキは兵士達が目を細め睨みつけながら言った。
兵士はビクッとしながら耐えていた。
「いやはや、申し訳ありません。ここ二日前にこの国の王が病で倒れご隠居され、新しい王が治め出したからでしょうか?」
「あら、私が来た時そんな重い病なんて患って無かったけど。ちょっと見に行こうかしら」
「な、なんと!神龍様自らが見舞に行かれるといいですか!」
バリも「ええ!ダメですよ!人族一人の為に行くなんて!」と大声で言っているが、フブキは「いいのよ」と返し鎮めた。
「ええ、少し見せてちょうだい。どこにいるのかしら?」
「あの城の奥の森に館がございます。そこに前王はいらっしゃいます」
「じゃあ行くわ」
そう言うと門は空いていたので前進し兵も気にせず推し通った。そして翼を広げて城の奥へと向かっていった。
「(それにしても病ねぇ、おかしいわね)」
数秒後館にフブキは着き今度は知らしめるかのように音を出して着地した。
「王、貴方が出てきなさい。出来ないなら誰かに引きずって貰いながらでも来なさい」
数分後王は一人で苦しそうに杖を着いて出てきた。
「貴方私と会ってからまだ一年位しか経ってないじゃない。それなのに病は早すぎるわ」
それに対し前王はゼイゼイ言いながら返した。
「いやはや、、、、申し訳ない、、、」
そう言っている間にフブキは"鑑定"を行った。
<名前:ルスペラ・バリス 名付け:フォルシア・バリス>
種族:人族(60)/状態 毒(中)
属性:水
Lv:26
体力:200/560
力:450
防御:230
スタミナ:160
素早さ:310
魔法耐性:150
魔力:189/220
運:60
魔法
下位:ウォーター、ウォーターランス、ドリップ、ウォーターハンマー
上位:適性有り 無し
固有魔法:無し
称号
人の王、秀才、善人者、ラッキーボーイ、神龍との契約者(永続)
「(ふぅん、毒ねぇ。しかし、ここでこいつが死んだらあの契約即刻破られる気がするわ)」
「貴方、契約内容はしっかりと今の王に伝えたのよね?」
「ええ、、、伝えは、、(ゴホゴホ)、しました」
「私に兵士を向けたこと知ってる?」
前王は驚いた顔をしている。
「いいわ、あなたを直した方が早いわ」
そう言うとフブキは指の先を自分で噛み血を出した。
その一連の動きを見ていたバリは出て来て必死に止めた。
「フ、フブキ様!おやめ下さい!流石にそれはやりすぎかと思います!」
「いいのよバリ、魔動脈に関しては一任して貰えてるわ、それにこいつだけよ、受け継がれはしないわ」
「、、、、、、、、、分かりました、、、」
バリは不満そうな顔をして戻った。
「さぁ、ルスペラよ。この血を飲みなさい。この血を飲めば私との個人間の契約を結べるわ。しかし結んだからと言って私がどうこうするものではないわ。貴方の寿命が少し伸び、健康になるだけよ。何かあっても武力は一切手を貸さないし貴方を殺さなければならない時躊躇せずに殺すわ。しかしここであの契約が破棄される事は面倒よ。貴方が死ぬまでに後継を見つけしっかりと教えこみなさい」
王は黙り込み少し考えた後膝をつき行った
「、、、、仰せのままに、、、」
そう言って血を一滴飲んだ。
「ここに契約は成った。さっき言ったこと絶対に守りなさい。貴方が死ぬ時また来るわ」
そう言うと巣へと帰っていった。
「本当に良かったのですか?」
「いいのよ寿命たって20年くらい若返るだけよ」
「そうですか」
今後50年間フブキはバリスに現れることは無かったがルスペラが老衰で死ぬ際、フブキに祝福され亡くなった事は歴史に残ったが今はまだ誰も知らない歴史。
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