57 氷の大地 魔動脈 ③
「じゃあ歩いていくわ」
「はい、貴方様の仰せのままに」
周りの兵や民が神官を名乗る男に対して引いている。周りから聞こえるのは「あの人やっぱり変よね」や「あいつ殺されても知らんからな」などだ。フブキは人族事には興味が無いが喋るくらいはするので、神官と色々と話していた。
「ねぇ、貴方。さっきからひどい言われようだけど、なにかいつもしてるかしら?」
「さてはて、私には分かりかねますね。毎日朝起きて寝るまで祈り続けているだけなのですが」
「貴方よくそれで今も生きてるわね」
「ちゃんとご飯はしっかりと朝食べているので問題なく生きていられます!生きて貴方様に会えているのは神様のおかげです、ありがとうございます!」
と途中からは馬に乗っているにもかかわらず轡を離し指を組んで祈る姿勢になりずっと祈り続けていた。
「(はぁ、早くつかないかしら。この人族頑張っているのは分かるけど、こういうのあまり好きじゃないのよね)」
十分後、フブキは大きな門の前にいた。
「神龍様、ここが王城でございます。私はこれ以上は行けませんゆえ、ここで退かせていただきます」
「ええ、さよなら」
そうフブキが言うと馬をくるっと反転させて走り去っていった。
「(開かないって事は門ぶち破ってもいいのかしら?)」
そう思っていると扉がギギギギギと気持ちの良くない音と共に開きそこには一人の人族が立っていた。
「ようこそおいで下さいました、神龍様。私はこの国の王をさせて頂いております"ソファヌス"と申します。さて、今回はどのようなご要件でしょうか?」
「あら、手間が省けていいわ。この国を覆っている結界の事について、少し話がしたくてね」
「おぉ、この結界ですか!つい先日十年にも渡り研究し続けた物が「なりゆきはどうでもいいわ」完成、、」
「と、もうされますと?」
「ここの結界の維持に使われている魔力はどこからとってきているか、当然わかっているわよね?」
フブキはさっさと面倒事は終わらせたいと思い少し威圧的に話した結果、ソファヌスはさっきまでの話し方とはかけ離れた話し方で答えた。
「は、はい。ここから一番近く大きい魔動脈からでございます」
「貴方はその危険性を理解して使っているのよね?」
「は、はい」
「じゃあ、最悪な事になった場合どうなるか言ってご覧なさい」
ソファヌスは長年の政治で培った勘がこの質問で大きく国が変わることに気づき、頭をフル回転させて答えた。
「最悪な事ですか、、、この辺り一帯がダンジョンになる、、、でしょうか(頼むこれで合っててくれ最近解った事実だこれで間違えたら私はしらん)」
数秒の後フブキが口を開いた。
「正解よ、まぁ、焦っていたけど答えられたし良しよするわ。私が来た理由は魔動脈の利用を見極めるためよ。最低条件はさきの質問に答えられるかどうかよ。」
「!!で、では!」
「いいえ、私からはあと二つ条件があるわ」
ゴクリと生唾を飲む王。
「一つ目は、この結界以外に魔動脈を利用しないこと、させないこと」
「二つ目は上記を守る私との契約に同意する事よ」
「け、契約ですか、もし破ればど、どうなるのでしょうか。。」
「魔動脈を元に戻しこの国を無かったことにするわ。神龍の契約は種族にしたらそれほど重いという事よ」
王は冷や汗をダラダラとだし慎重に言葉を出していた。
「わ、わかりました。その二つの条件了承致します」
「ええ、それができるなら、私の権限で利用を認めましょう。腕を出しなさい」
そう言われて服を捲り腕を出した。
そこにフブキの大きな爪の先が当たり言った。
"ここに契約は成った、契約の証を汝に授ける"
言い終わるとソファヌスの腕には綺麗な雪の結晶が描かれていた。
「はい、終わりよ。守らないと知らないからね。じゃあね」
そう言うとフブキは結界をするりと抜けて高く飛び立ち巣へと帰って行った。そう、内側からならすり抜けられる事を最初に魔力を辿った時にわかっていたのだ。
「はぁ、ほんとに大丈夫かしら。悪用しないなら全然使ってくれてもいいのだけどねぇ」
「はぁ」と息を吐き巣へ戻り眠りに着いた。
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side ソファヌス
「守らなければなるまい、民のために、国のために」
そう心に深く刻みこんだのだった。
来週更新できません。申し訳ない。。正月も投稿出来るかどうか分かりません。なので来週以降の年末年始はあげれる時に上げようかと思います。
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本日もお読みいただきありがとうございました!




