50 美味しい果実 ②
どしどしとアリグナと共に神龍がそろって地上へ向かって歩き出した。
「ねぇ、アリグナ。地下に住んでて感覚狂わない?」
「狂わないよ〜、それに僕って明るいと寝れないんだよねぇ〜」
「僕は絶対狂うよ、ずっと寝てそうだもの」
「まぁ、僕も仕事以外はずっと寝てるから〜。それでいいと思うよ〜」
アリグナは普段仕事の時以外は外には出ずに巣の最深部でずっと寝ている。
「まぁ、仕事が出来てるならそれでもいいか。逆に僕が忙しいだけなのかもね」
「カグツチが仕事熱心なだけだよぉ〜、まぁ、そのおかげで僕はずっと寝ていられるのだけどねぇ〜」
「勘弁してよぉ〜」
ははは、と笑いながら話会っているカグツチとアリグナの後ろで大精霊二人もまた話あっていた。
「最近アリグナ様は仕事以外は外に出ようとせずにずっとお眠りになっているのですが、どうしたらお役にたてるでしょうか」
「カグツチ様は役に立つ立たない以前に適材適所があるからそこで頑張れば良いとおっしゃっていましたのでそちらもそんなに気負わなくてもいいのでは無いのですか?」
「カグツチ様がそんなふうに、、、、そうですね。輝ける場所を見つけてアリグナ様のお役に立てるように頑張ります。教えてくださってありがとうございます」
「いえいえ、同じ大精霊同士仲良くやっていきましょう」
こんな会話をお互いにしていると地上についた。
「こっちだよ〜、歩いて行けるからそのままついてきて〜」
そういうと獣の道がアリグナの大きさに出来ている所を進んで行った。
カグツチはそのあとをついて行った。一分後、開けた場所に出て大きな木の前でアリグナが止まり話した。
「これだよぉ〜、多分これ、今の季節でしか取れないものだから美味しんだよぉ〜」
これ、と指した先には大きな木に出来そうな大きく赤く熟しており、見た目の如く美味しそうな木の実だった。
「おぉ〜、これが言ってたあの木の実だね。しかも、僕が一つ食べてもしっかりと味わえるぐらいの大きさまで育つなんて珍しいね」
「そうだよ〜、でも数も少なくてあと少ししかないんだよぉ〜」
木に成っているのは三つでありその内のひとつはカグツチが貰うので二つになる。
「まぁ〜また来年楽しみに待つよぉ〜。ひとつだし、味わって食べてね〜」
「わかってるよ。じゃあもぎっていただくよ」
カグツチは大きな実を傷つけないようにそっともぎり口へと運んだ。
「(パク)」
カグツチは目を閉じてその果実の味を舌全体で味わって飲み込んだ。
「んーーーー、美味しい!とても甘いけどもそれを中和させるかのように酸味も入っていて尚且つみずみずしくてとっても美味しいよ!」
「美味しいよね〜、僕も最初食べた時驚いたよ〜」
「これ、多分、多少魔力が入ってるね、少しだけ魔力の味もしたから間違いないと思うよ」
「あ、やっぱり?どうりで近くの魔物のレベルが少し高いんだね〜」
「それ、大丈夫なの?」
「大丈夫だよぉ〜、僕がここに来る前からあったから生態系はちゃんとしているよ〜」
「そっか、ならいいや。今日はありがとう、また遊びに来るよ。それまでに寝たら機嫌悪くなるの治しておいてね」
「あー、うん。またねぇ〜」
ヒスイが精霊紋へと入りカグツチは翼を広げて自分の巣へと帰って行った。
「グラ〜、ごめんねぇ〜。治す努力するからもうちょっと付き合ってね〜」
「はい!」
仲が悪かった訳ではないがグラの心の悩みは少しだけ改善された。
ありがとうございました!




