30 雨の魔物 ③
今回で魔物の特徴を書く予定だったのですが、結果こんなふうになったので前回に付け足す事にしました。すいません
分厚い雲に覆われてはいるが外はうっすらと明るくなり朝を迎えた。相変わらず雨も強く降り続けていた。ヒスイはいち早く目覚めて恒例行事をするのだった。
「カグツチ様、朝でございます。本日は精霊の元へ行く予定でしょう?」
そう向かって言っているのは洞窟の中で丸まって寝ているカグツチだ。用事がない日はヒスイに起こされてもすっと起きないカグツチだがこうして予定がある日は渋々すぐに起きることが出来るようになったカグツチだった。
「あ、、あ〜、そうだったね。起きなきゃダメだね、、、ふあぁ〜」
外では雨が降っているため、大きな体を洞窟の高さギリギリまで伸ばし、大きな口をあけてあくびをして起きたのだった。
「水浴び行きたいけど、雨強く降ってるし、外出るだけでいいや」
そう言ってのっしのっしと洞窟の外へ出ていき雨に打たれついでに眠気まで取ったのだった。
そのあとは洞窟の中に入るのだがその前に、自分の体に付いている水分を体温で蒸発させてから入ったのだった。
「ふぅ、やっぱり雨強いね。早くなんとかしないと危ないね。なんのために雨を降らしているのかは分からないけどやめさせないと被害がでる一方だ」
「そうですね、ここまで長引くと色々と被害が出てきてもおかしくはないですね」
この世界は魔法である程度の自然災害はなんとかなるのだが、今回のように長く続くと魔法を使う側の魔力が無くなってしまい被害が出てしまう。
「時間もありません、出発致しませんか?」
「そうしよう、精霊には悪いが場所を聞いたらすぐにその場所に行き解決しよう」
「承知致しました」
ヒスイは精霊紋に入っていった、その事をカグツチは確認すると洞窟の外に出て一気に飛び上がり雲を突き抜けて雲の上を飛んだのだった。
「ヒスイ、どっち?」
「南の方向へ本気で行くと約三十分の所です」
「わかった」
ヒスイは世界樹へ行った時のスピードを本気と言っているのだが、カグツチは一割程度しかスピードを出していない、あの速度以上出してしまうと色々と被害が出てしまうからだ。カグツチはあの時のスピードで向かうのだった。
〜三十分後〜
「カグツチ様この辺りです、雲に覆われておりますが場所はこの近くでございます」
「わかった、、?!」
「どうかなされましたか?」
カグツチは降りる前に魔力探知をして驚いた、雲には魔力があったのだがここは異常に多く中心であることがわかった。そして雲の下に大きな魔力があったのだった。
「魔力探知をすればわかると思うけど、当たりだね。この魔力量は普通の魔物じゃないね、聞くあたりダンジョンボス位あるね」
カグツチはルタロス聞いていた魔力量と同じくらいだったのでダンジョンボスに近い魔物だと判断した。
「まだこっちには気づいていないみたいだし、見られたら逃げられてしまうかもしれない。だからもうここから魔法で魔物を消したいと思う。ヒスイは燃え広がらないようにしてくれる?」
「わかりました、火でしたら私が対処致します。そしていいことにまだ里とは距離があるので被害は森だけかと思います」
カグツチは期待していた返事よりもいいものだったので少し驚いたが問題ないので決行する事にした。
「わかった、ありがとう。じゃあ行くよ」
下位魔法"フレイムバースト"
カグツチは逃げられないよう広範囲の魔法を放った。その威力は下魔法とは思えない位に凄まじく森に引火するよりも前に地面に着き地面を下に数メートルえぐって止まったのだった。カグツチ達は確認のため地上に降りた、もちろん魔物は灰になり消えたのだった。
「うん、魔物の反応も消えたし、雨も弱くなって来たこれで大丈夫でしょ」
「は、はい」
ヒスイは魔法を見ていたがカグツチが下位魔法であれほど威力が出せるのに対して自分は上位魔法で同じいくら位だと思い改めて主人との差を垣間見たのだった。
「じゃあ、一応里の方まで行こうか、、ヒスイ?」
「あ、はい!行きましょう」
いつもと違うヒスイに首を傾げたカグツチだったがすぐに切り替えて里に向かうのだった。
今回もありがとうございました!




