29 雨の魔物 ②
ヒスイが説明したのは同じ属性の妖精族や精霊に念話で雨の事を伝えて魔物を見つけてもらうと言うものだった。普通、多人数に念話を使おうとすると魔力量が足りなく出来ないのだがヒスイは大精霊になり魔力が底上げされ、カグツチにも魔力をもらっているからこそできる芸当だ。
"私は炎の大精霊ヒスイです、火の妖精・精霊に伝えます。今雨が数日間強く降っており近くに最近来た魔物が居たならこの魔力伝い今日の日が落ちすぐに連絡してください"
流石に妖精や精霊の数から一気に送られて来たらヒスイであっても頭がパンクしてしまうので間を取ったのだった。
「カグツチ様連絡が終わりました。日が落ちたら連絡が来ると思いますのでそれまで少々お待ちください」
「おk〜、まあ日が落ちるまでそんなに長くないし、する事も無いから気長に待つよ」
そして数時間が経ち、日が落ちて数分一気にとは来なかったが三人から念話が届いた。ヒスイは一人一人対処していくと伝えた。
精霊「ヒスイ様でよろしいのでしょうか?」
「ええ、それでいいですよ」
一人目の精霊は大精霊様かヒスイ様どちらで呼ぶかを考えたすえ、名前であるヒスイ様で呼ぶこととしたが心配だったので聞いたのだ。
「では、そちらの状況を話してください」
「はい、この土地に住んでから五年経ちましたがこのような強く長い雨は初めてです。そして雨が降り始める一週間程の前にこの土地に大きい狼のような姿をした魔物が来ました、体は濡れておりましたが毛はとても硬そうでした、それでもしかしたらと思い連絡致しました」
「なるほど、ありがとう」
「いえいえ、大精霊様とお話出来ただけで私は満足です」
それだけ言って念話を切った。なぜヒスイが住んでいる方向を聞かなかったのかは念話で繋がると場所がわかるからだ、もちろん各神龍の場所もわかっている。
ヒスイはすぐに二人目へ連絡した。
「遅くなったわね」
精霊「いいえ〜、会話できることを思うとすぐでした〜」
二人目は精霊だった、産まれて間もないのか少し幼稚な喋り方だがしっかりと知性は人族の大人位ある。
「それで?そちらの状況は?」
「はい〜、ここで産まれて約一年なのですが、この所雨がふってて、近くに魔物の群れが来たので連絡しましたぁ〜」
「雨強く降って何日くらい?」
「昨日からなので、今日を入れて二日です〜」
「ありがとう、魔物に気をつけてね」
「はい〜」
念話を切ったヒスイはこれは違うと判断した。そして続けざまに三人目へと移った。
「おまたせ、状況言って貰える?」
精霊「あ、はい」
三人目は精霊だった。
「僕がここに住んで六年位になるんですけど、この所雨が降ってるんですよね。弱くなったり、強くなったりしてて魔物もつい先日から近くに住み着くようになったんですよね」
「強く降り続けていなんですか?」
「え?あ、はい。今は少し落ち着いてますね」
「わかりました、情報ありがとう。魔物気をつけてね」
相手の返事も聞かず切った。こちらが聞いた条件と合わず、なおかつ場所が違いすぎた為だ。そして情報と合っていてしかも可能性がある一人目の精霊の事をまとめてカグツチに言った。
「カグツチ様、今念話が終わりました。最初に話した精霊が言っている魔物かどうか確証はないですが条件似合った魔物はいます、どう致しましょうか?」
「せっかく掴んだ有益な情報だし違っても行く価値はあるね、じゃあ明日その念話をした精霊のもとへ行こうか」
「わかりました、明日行くと伝えておきます」
「よろしく〜」
ヒスイは連絡を取り入った。
「明日そちらに炎の神龍カグツチ様とそちらに行きます、失礼のないようにしてください」
「は、はい。承知致しました。村の者にも伝えてもよろしいでしょうか」
「ええ、もちろん。伝えねば失態が起こるかもしれないですしね」
そう言って思い出していたのはエルフの里の事だった。"カグツチ様は許しても私はいいとは思わない"そう思っていたヒスイだった。
「は、はい。すぐに知らせます」
「では、また明日会いましょう」
念話を切り、夜だったのでカグツチヒスイも眠ったのだった。
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