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最果ての此方、至近の彼方  作者: ひさかたフラッシュ
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第2話③

「うーん」

ペチペチと頬を叩かれて重い瞼が開く。

目の前に枯れ木のような、今にも吹き飛んでしまいそうなほど痩身の男が目を疑うことに、重そうな箱を2、3個肩にやすやすと担いでいて、俺を心底邪魔そうにみている。

どうやら俺はレストランの裏手で横になっていたようだ。

頭をぺこりと下げて立ち上がろうとすると、何か金属の落ちる音がした。それは、俺の手から零れ落ちたものらしい。拾ってみると銅貨と銀貨、そして金貨が一枚ずつそこにはあった。

男が通り過ぎた後、俺はしばらくその3枚をまじまじと見つめていた。

どう見ても、異世界で使われている貨幣なんだろう。どれも500円玉より一回り大きく、形はどれも均一でしっかりとした型番で大量生産されていることが一目でわかる。まあ、この世界の街並みを見れば当たり前のことだと思うのだけども。片面にはそれぞれ違う文字が彫られてあって、相変わらず読めないけど、おそらくこの世界の数字なんだろう。もう片面は、誰かの顔が彫られていた。

この人がこの国の王様なんだろうか。というか、ここはどういう国なんだろう。

そもそも、なんで俺の手にこんな硬貨が握られていたんだろう。

なんてごちゃごちゃと考えているうちに再び空腹を覚えた。

「とりあえず、ここのレストランでご飯を食べよう」

俺は、3枚の硬貨を自分の手の熱が浸透するくらいぎゅっと握ってから、レストランに入っていった。

日は傾き始めていた。


内装は外から見たとおり、一見高級そうな壁掛けやタイルが敷き詰められているけど、親子連れや男女が気兼ねなくいる点で日本のファミリーレストランのようなものなんだと思う。

適当な窓際の席に座ってメニューを見る。

「写真がちゃんとあってよかった」

実際これが頼りだった。字が読めないなら写真を見て判断するしかない。そして値段。これには考えがあった。

俺は手に握った硬貨をを取り出して片面には書いてある数字とメニュー表の文字と見比べる。

「あった!」

銅貨とぴったり合致するオーダーが見つかった。ここの中で小さくガッツポーズをする。

それの横の食品の写真をみると…

「普通だ」

そこに写っていたのはパンにハンバーグらしきものがついたランチのようだ。 外から見ていた親子連れの一人が食べていたものだろうか。

俺がテーブルの角のベルをチリンと鳴らすと、ものの10秒ほどでウェイターさんがやってきた。

ここからが緊張する場面だ。言葉が通じない相手に対して、どうやって自分の注文をスムーズに伝えられるか。

俺は開いていたメニューをウェイターに見せてランチを指差した。

すると、ウェイターは親指をぐっと立てた。俺は同じように親指をぐっと立てた。そして何か言うたびに首と手を横に振ってご注文は以上という態度を示した。

ウェイターはくるりとターンをして厨房に戻っていった。

大きく息を吐く。緊張が一気に緩む。

俺は料理が来るまでの間、これからのことを考えた。

よくよく考えると、港に着いたら翻訳の魔法が使える人がいるだなんてとっても都合がいいように思えた。でも、その無茶苦茶な考えを推していくしかないんだ。

「それにしても、この町の人は色々な人がいるな」

彫りの深さや肌の色もさることながら、なんと言っても地毛らしいのに色々な髪の色がある。赤や青、その他色々な髪。外国人が多いのだろうか。だけど、あの日あった少女の白い髪は町の人を見る限り、ちらほらと見るだけで白い髪の人はそこまで多くなさそうだ。もしかしたらまた会うのは意外と楽かもしれないと希望を抱く。

「その割には獣人とかはいないのかな」

人はみんな人間で尻尾や耳が生えた亜人や獣人と言った人は見かけなかった。


そのまま窓を見てぼーっと外を眺めていると、ウェイターが料理を運んできてくれた。

「えっと、フォークフォーク」

ウェイターに一礼してからベルの近くの入れ物をまさぐる。すると、チクっとは物に当たったような感触がしてそのものを取り出してみると、フォークの側面がナイフのようになっている不思議な食器が出てきた。ハンバーグを固定する用になのか直角に曲がった杭のようなものも出てきた。

いつもやっている要領でハンバーグを切って、いつもと違うのは切った手でハンバーグを口に入れることだった。

「美味しい」

極限まで空腹だったせいか、いつもの何倍もの美味しさを感じた。続いてパンを口に入れたが、涙が出てきた。

それからは、極力意地汚くならないように、でも、口いっぱいに頬張っては頬を伝う塩味の味と重なってしょっぱかったのにとっても美味しかった。

「ごちそうさまでした」

両手を合わせて食事を終える。こっそりポットの水を水筒に移し替えて、ほかの持ち物の確認をした。

「レジはあっちか」

店員に銅貨一枚を渡して俺は非常に満たされた状態で外に出た。

日はもう沈みそうだったけど、地図を開いて近くの公園を探したら、案外近くにあった。

今夜はここで野宿しよう。

地図を見る限り明日朝早くから歩き出せば夕方くらいにはつけそうだろう。

希望を持って今日のところは眠りについた。









遅くなりましたー

そのうち言葉通じるようになるので今のうちに言語の壁をいっぱい書いておきたいな。話が進まないけど……

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