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最果ての此方、至近の彼方  作者: ひさかたフラッシュ
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第1話②

さらに何時間も歩いた。その間ほぼ無言だったため、空気は重く早くつかないものかと何度も考えた。

日はすでに傾いていて、目の前の朱い光が目に悪い。手で夕陽を遮って進むと、草原の上にそびえる大きな壁が目に入ってきた。

「––––––」

男がここが目的地だというように指を壁に向ける。

安堵からか、疲れがぐっと出る。

高くそびえる壁は近づけば近づくほどその大きさに驚嘆する。改めてここは俺の知ってる常識が通じない世界なんだと痛感する。

男が門の目の前で門番らしき人と何か話している。門番は見たことがあるような深い青を基調とした軍服らしき服を見事に着こなしていた。ガチャガチャと派手な装飾がないおかげで、胸元に一つ着いたバッジがよく映えている。


しばらくして、男が振り向いてこちらを見るのと同時に大きく重い門がギギギと鈍い音を立てて開き始め、中の光が漏れだしてきた。


俺たちは門番に一瞥してから中の町へと足を踏み入れる。

この時、俺は大きな期待の同じくらいの大きな不安を抱えていた。おそらく、いや絶対、俺のいた世界の言葉は通じないだろう。つまりは、ここの世界の言葉を覚えるまで身振り手振りで過ごしていかなければいけないのだ。また、この男のように敵意を向けられでもしたら…


なんて思っていても仕方がない。


俺は眼前に広がる町を見つめる。

「………………広」

思わず声が出る。壁のせいで外からは見えなかったが、とにかく広いということは一目見ただけでわかってしまう。建物は夕日で朱く染まっている。5.6階建のビルが乱立して、道の端を覆い尽くしている。前にテレビで聞いたことがあった。土地があれば別に高いビルを建てる必要なんてないんだと。そのことを体現しているかのようだった。


中でも、もっとも俺を驚嘆させたのは、

「さすが異世界ってところか。魔法みたいなん使ってるよ…」

道なき空を進んでいるクルマのような乗り物。現代科学では到底真似できないような、ホバリングしている自転車のような乗り物。街を巡回しているかのようななんの可愛げもない腕の付いた大きな目玉。あれもこれも、見るもの全てが魔法みたいな超常現象でもない限り説明つかないようなハイテクノロジーの塊であった。


唖然としている俺をよそ目に二人はそそくさと街に溶け出していく。

付いて行こうとしたが、そもそも見ず知らずの怪しさ満点の俺をここまで連れてきてくれたのだから、これ以上は迷惑をかけられない。いくら俺が身勝手な人間だとしても、これ以上何かしてもらったら、こちらから何も返せなくなってしまう。

俺は二人の前に立ち、

「こんな怪しい俺を助けてくれて感謝の言葉もないです。この縁、切れないよう片時も忘れないつもりでございます。いつかまた、この恩を返す時にまた会えますように」

最大限の感謝を込めた直角の礼。言葉は通じていない。だが気持ちは伝わったはずだ。まあ、男の方は顔一つ動かさなかったけど。

子供の方は、フードのせいで顔が見えないままだったが、誰のいたずらか、少し強い風が吹いて子供のフードがとれて顔が露わになる。

少女だった。年は5.6くらい下だろうか。しかし、肩あたりで無造作に切られただろう不揃いの髪にやけに大人びた目をしているから、もっと上だと思ったのだが、白く澄んだ肌と髪。その頬が赤く染まったのが少女らしかった。

その少女は客観的に見てとても綺麗だなと思った。大人になったらきっと美人になるんだろうなと柄にもなく思ってしまった。

記念すべき第2回目の投稿です!イエイ

まだまだ至らぬところもあり、まだ読者0!頑張って宣伝していきますのでどうぞよろしくお願いします。

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