表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界バスツアー  作者: ルンルン太郎
14/24

去るもの残るもの

 鷺沼の嘘だと思っていた異世界バスツアーに参加した高校の同級生達は困惑していた。目的地に到着し、バスを降りると本当にそこは異世界だったのだ。

 一番前の座席に座っていた異世界案内人がバス側面にある荷物入れから大量の武器と防具を出す。それを19人で分配して各自装備を整えた。

 異世界案内人はギルドに連れていき、今日のミッションを決めた。ゴブリンの討伐だ。

 何やら最近ゴブリンがゾンビ騒動で全滅し、無人となった村を占拠したらしく、その討伐と村の奪回が依頼である。


「ゴブリンは素早く知能が高いですが力はありません。慌てず数人で取り囲めば大丈夫。ゴブリン一匹に対して二人で戦いを挑みましょう」


 と説明する案内人のアザゼル。村を占拠したゴブリンなのだから、こちらよりも人数が少ない保証はない。ゴブリンに占拠された村に到着すると案の定こちらの倍以上の数のゴブリン達が現れた。


「マジかよ。マジでゴブリンかよ!」


 ゴブリンの大群が異世界バスツアーの乗客を襲う。逃げ惑う乗客達。だが、アザゼルは助けない。少し様子を見て、見込みがありそうな者だけを助けていた。

 その事に気がついていたのは、要と律子と神谷だけだった。


「おい犯罪者! 俺を守れ! 来るな! 来るな!」


 鷺沼はただ腕だけで剣を振るって完全に腰がひけていた。


「仕方ない」


 要が鷺沼の前に出てゴブリン相手をした。ゴブリンは短剣を持って要に襲いかかる。短剣の攻撃を盾で受けて、剣で喉を突き刺した。


「さすが人殺し! うまいもんだな」


 鷺沼が拍手しながら要を褒め称えた。だが、要はこめかみに血管を出してピクピクと震え、怒りを我慢しているように見える。


「気にしちゃだめ。私たちは新しい一歩を踏み出すの。ほら、次にやられそうな同級生を助けるの」


 要の隣に律子が現れた励ました。要は言われた通り、ゴブリンに馬乗りにされている女を見てゴブリンの背後に近づきひと突きにして助けて、腕に切り傷を負った男にトドメの一撃を入れようとしている所を横からその一撃を止めて助けた。そしてゴブリンを蹴り飛ばし、立ち上がろうとする所を突き刺した。


「ほう。彼はやりますね。田所要は覚えておきましょう」


 案内人のアザゼルが何やらメモをして、また乗客の観察と手助けに戻った。人間死にそうになると必死なもので怪我人は出たが奇跡的に死人は出なかった。

 アザゼルは見るものは見たという感じで満足したのかゴブリンの群れに突撃し、まばたきする瞬間にゴブリン15匹を倒し、村にゴブリンがいなくなった。合計30匹は倒した。ゴブリン1匹で10ゴールドなので300ゴールド。討伐報酬は500ゴールドなので合計800ゴールド。全員で分配すると40ゴールドの稼ぎになった。日本円にすると1人40万円である。


 こうして初の冒険は終わった。怪我した者は回復薬で治療した。帰りに酒場に寄り、相手が話す内容はヘッドセットでわかるが、言葉は話せない乗客に代わってアザゼルが注文を担当した。大いに食べて飲んだ後、異世界バスツアーは終わり、怪我をした乗客は怒り2度と来なかった。2日目に来たのは、鷺沼、神谷、田所、律子だけだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ