第1話 少年、13歳になり、父との剣術稽古
お久し振りです。
pcの調子が直ったため投稿しました。
今後も不定期ですが更新します。
「今日こそは勝つよ、父さん!」
「はは、元気一杯なのは結構だが、無理はするな」
四方を木材の柵で囲んだ土地で、
ピョンピョンと、ウサギのように跳ねる
左手に木刀を持った少年と、
右手の木刀を、右肩にトントンしている巨漢。
少年は巨漢に対して、勝利宣言をしているが、
どうみても、巨漢に軍配が上がりそうな構図。
「分かってるって、ふっ!」
そんな構図は少年の行動によって疑問を感じ始めてくる。
少年が、巨漢に向かって地面を足で蹴った瞬間
少年が姿を消した。
「!」
巨漢はすぐさま、持っていた木刀を正面に構えた、
その瞬間、木と木を叩く音が大きく鳴る。
「っ!」
右手に残る、鈍い感覚に巨漢が顔をしかめつつも
目の前にいる少年を捉えた。
得意気な顔をしている少年に、苦笑いをしつつ
木刀を少年に向かって振る。
「ふん!」 「うわっ!?」
巨漢が凄まじいスピードで振った勢いで、
少年はビックリしながら、後退を余儀なくされる。
少年と巨漢との距離が、3メートル以上離れたところで、
後退した勢いが止まり、ふーっと息を吐きながら巨漢の方向に顔を向ける。
「ちょっと、本気出しすぎじゃない!?」
「ごめんごめん、お前のスピードが速すぎるから、
つい力んじゃった」
「危ないなぁ..」
文句を垂れる少年に向かって巨漢が謝り、
「いいから、次いくよ!」と少年が木刀を構えている中で
「危なかった..一瞬、姿を見失った」
と、少年には聞こえない音量でヒヤヒヤしていた。
「13歳で、あの動きは普通ではできない。
ましてや、王国兵団の騎士団長の俺でも見逃すなんて」
巨漢、ゲインは複雑な顔で
息子の成長が想像以上のものであると嬉しさと同時に、
父親として、
また騎士としてのプライドによる悔しさの狭間に、
素直に喜べないゲインである。
その後、数度に渡って剣を重ねてみたが、
負けてしまうと感じさせる、危ない場面がいくつかあったが少年がまだ駆け引きに弱いのか、
正面からでしか攻撃をしてこなかった。
そのため、スピードになれてきたゲインが
本日の勝者となった。
お昼前になり、ゲインが稽古の終了を少年に伝えたら
「また負けた~」と地面で悶えた。
ゲインはそんな様子の少年に、笑いながらも
「これからもっと成長するよ」と伝えた。
「明日は絶対に勝ってやる!」
「あ、明日は仕事だから無理」
「えー!」
そんな微笑ましい会話の外から
「ゲインー、シンキーご飯よー」
と、柵から10メートルほど離れた小さな家から、
大きな声で呼ぶ、女性の声
「ご飯だって、そら行くぞ」
「はーい...」
少年、シンキはゲインの言葉に従いながらも
ふて腐れながらも、家の方に歩きだした。