プロローグ
とある魔法と剣を使う世界ファンタジアで、
一人の少年が願った夢。
「最強の魔剣と最強の魔法がつかえる賢者になりたい!!」
このファンタジアでは、強者のことを『賢者』と呼ぶ。
少年、シンキは自分の夢を、故郷の町で高らかに声を出す。
そんな思いで必死に剣の練習、魔法の詠唱の練習をした日々で
青年となったシンキに響いた神様からのスキル受信の音が…
「魔法でもなく剣スキルでもなく魔眼ってなんだっ!?」
自分のステータスに魔眼の2文字が・・・
これは青年となったシンキが、『魔眼』という力で
幻世界ファンタジアで仲間たちとともに『魔眼の賢者』と
呼ばれるようになる物語です。
「シンキ、お前には正しい未来を歩いていける子であってほしい」
幻世界ファンタジアの北部にあるトリシア王国、
それよりまだ北に位置するカンバリ村の隅っこに
レンガ壁の小さな家のなかで、赤ん坊の頃のシンキは、
髪が白髪混じりで伸びきった麺のような髭の老人の願いの言葉に意味がわからないと首をかしげながら老人の顔を凝視した。
するとシンキを抱えている女性、シンキの母親のカンナが、老人の言葉に苦笑いをしながら答えた。
「父さん、シンキはまだ赤ん坊なのよ、言葉なんて解らないわよ」
「いや、ワシの孫じゃ、理解しているに決まっている」
老人、カンナの父親でシンキの祖父にあたる老人、
スイセンは赤ん坊のシンキに対して絶大な信頼感を
カンナに対して伝えている。
「お義父さん、私の子でもありますからね!」
カンナの近くには大柄な体をした、
男性が笑いながらスイセンに近づく。
「なんじゃ、大きなブルーベアーかと思ったらゲインか」
スイセンが男性の方に顔を振り向いてから
ブルーベアー、つまり青い熊のモンスターの名前を男、
シンキの父親、ゲインに渋い顔で言った。
ゲインの現在の服装は、騎士の鎧を纏ったものであるが、
本人の好きな色、青が全身の鎧の塗装でベッタリついているため
スイセンはゲインをブルーベアーに例えた。
カンナは、そんな夫の姿を見ながら「お帰り」と微笑みシンキに夫の姿を見せる。
「私はあんな猛獣とは違いますよ。
もっと大人しいローベアーみたいな体格ですよ」
ゲインはスイセンの言葉に、ガハハと笑いながら、ブルーベアーより
ひときわ小さいローベアーを自分に例えた。
因みにローベアーはブルーベアーの子供でもあるが、ブルーベアーの体格が2m以上はあるに対して、ローベアーは1,7ほどの体格である。どちらも似たような体格である。
「どっちも同じような体格じゃない、ねーシンキ」
「そんなことはないさカンナ、なぁシンキ」
カンナはゲインの言葉に否定し、シンキに同意を求め、またゲインはカンナの発言に苦笑いをしながらシンキに同意を求めた。
そんなシンキは「あふぅ」
とため息をはくような動作をしてから睡魔に身を委ねた。
スイセン、カンナ、ゲインはそんなシンキを様子を見て
笑うのであった。