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職業幽霊の同居人  作者: 方角ノ辰巳
20/21

第二十話『再会予定』

今回も読みに来ていただいきありがとうございます。今回も楽しんで読んでいただけたら幸いです。


 今日は夏休み最終日。大学の課題も終わらせた俺は賢斗や奈々夏にどうやって貞子のことを伝えようか迷っていた。

 

 「そういや、貞子はななしの時と記憶はどうなってるんだ? 残ってるんだろ?」

 「はい、残ってますよ。不思議な感じですよね、二人分の記憶があるなんて」

 

 貞子は笑って答える。

 

 「それに記憶なんてどっちもぼんやりとした物ですし、私が受け継いだのは記憶だけですし貞子であって貞子でないって感じですかね」

 「そうなのか? じゃあクリスマスの時のとかどう思ったとか」

 「く、クリスマスですか? ひ、秘密です…」

 

 貞子は顔を赤くしてベランダへ出て行き、ピシャッとガラス戸を閉めて干していた洗濯物を洗濯カゴに入れている。

 

 「はぁ、よりにもよってあの日のことを聞くなんて……自覚があるのか無いんですかね……」

 

 後ろから見てもわかるくらい耳まで真っ赤にしている。やっぱりあの日のことは忘れよう。

 

 「ただいまぁー」

 

 メリーが部活を終わらせてから帰ってきたが俺と貞子のなんとなく気まずい雰囲気を感じ取ったのか小声で何があったのかを聞いてくる。

 

 「いや、別に……」

 

 あの時、メリーは小さく覚えていないだろうし話してもいないし今のメリーに話すとそれはそれで面倒なことになりそうだ。

 

 「喧嘩でもしたの?」

 「してねぇよ」

 

 そんなことより賢斗達にどう貞子のことを説明したらいいんだろうかってことだ。携帯で伝えるのもあれな気がするが俺たちは大学もそれぞれ違ってそれほど会うことが出来ない。

 

 「あー、なんて言おうかなぁ」

 「賢斗さんや奈々夏さん、勇さんや麗依奈さんのことですか?」

 

 洗濯物を全て取り込んだ貞子は洗濯物を広げてたたみながら聞いてくる。

 

 「賢斗さんや奈々夏さん……皆さん一体どんな人なんでしょうか? 会うのが楽しみです」

 「あいつらの記憶はないのか?」

 「いいえ、ありますよ」

 

 ただ、と貞子は続ける。

 

 「私の記憶は相手がどんな人でその相手にどんな感情を持っていたかは分からないんです。だから、どんな人なのか楽しみたんです」

 

 貞子は昔の記憶は曖昧なのところが多く、話していてと繋がらないことが度々あったがそれはそういう事だったのか。

 

 「だったら早めに会えた方がいいよな」

 

 俺は携帯を取り出してとりあえず賢斗に連絡をしようとするがそこで指が止まる。少し驚かせてやってもいいか。

 

 「貞子、カメラに向かってなんかあいつらへのメッセージを言ってく」

 「え?! そんな急に言われましても」

 

 俺は携帯の録画モード起動して貞子に向ける。

 

 「ほら行くぞ!3、2、1どうぞ!」


 貞子はみんなへのメッセージをあたふたしながらもカメラに向かって話す。

 

 真夏日の炎天下の下で一人の男がとぼとぼと歩いている。

 もうすぐ夏休みも終わってしまう。だから、翔と勇と遊ぼうと思った賢斗は二人の家を訪れるも二人とも留守にしていた。

 

 「ったく、なんだよ。勇も翔も久しぶりに遊ぼうと思ったのによ」

 

 賢斗の人の家になんの前触れもなく訪れるのは相変わらずだった。

 

 「奈々夏も今日は忙しいってたしなぁ」

 

 とぼとぼと歩いていると携帯の着信音が鳴り、誰がかけてきたのか見てみると勇だった。

 

 『賢斗? お前家に来てたらしいな。ちょうどお前の家の近くにいるんだが遊びに行ってもいいか?』

 「おお! 暇だったんだよ! すぐ帰るから待っといてくれ!」

 

 賢斗は猛ダッシュで家に向かうと勇が家の前に立っていた。相変わらずの美少年だ。

 

 「あれ? てっきり翔もいると思ったんだがいなかったのか? それとも嫌われたか?」

 

 笑い混じりに聞いてくる。

 

 「いなかったんだよ。まぁ、上がりなよ」

 「おう、じゃまするな」

 

 賢斗は勇を家にいれるとアイスコーヒーを用意する。

 

 「翔は最近どうなんだ?」

 

 アイスコーヒーを少し飲んだ勇が聞いてきたが翔に関しては賢斗も詳しいことは分からない。強がっているのか立ち直ったのか、それが賢斗と勇は心配だった。

 

 「貞子が帰ってきてくれたらな」

 

 空をあおぐように賢斗が呟く。この言葉が勇の質問の答えとなってしまう。


 「勇は今日の飛行機で帰るのか?」

 「そうだな、今年最後の夏に翔に会えなくて残念だけどな」


 少し続く沈黙。

 そこからはいつも通り、学校のことや昔のことで盛り上がって気がつけば完全に日は落ちていた。

 

 「もうこんな時間か……」

 

 時計を見て賢斗が驚いた時、賢斗の携帯が鳴り響く。メールが一件だけ届いていた。

 

 「奈々夏からだ」

 『明日の夜に一緒にご飯でも食べない? 私の家で作るから暇だったら来て』

 

 賢斗はすぐさま了解のメールを送り嬉しそうにその事を勇に自慢する。


 そして次の日の夜。

 賢斗は意気揚揚と奈々夏の家に向かう。

 

 「あ、賢斗くん。来るの少し早かったね」

 

 買い物袋を下げた奈々夏が後ろから声をかけてきた。今から帰って食事の準備をするつもりだったんだろう。

 

 「まぁな、どうせすることもないし」

 

 賢斗は奈々夏から買い物袋をとり、横に並んで一緒に奈々夏の家へ向かう。

 

 「なんで今日は急に食事なんて誘ってくれたんだ? それも手作りだなんて」

 「深い理由はないけど夏休みの最後くらい賢斗くんと一緒にいたいなって思って……」

 

 少し顔を赤らめるのを見て賢斗はキュン死しそうになっている。


 そこから奈々夏の家で食事の準備をして二人で仲良く調理して楽しく話して食事をして満足していた。あとは今日泊まるか帰るかを考えるだけの時、賢斗の携帯と奈々夏の携帯が同時に鳴った。

 

 「翔からだ。帰ってたんだ」

 「あ、私も翔くんだ。『これを見ろ』だって」

 

 奈々夏と賢斗はメッセージの下にある動画をタッチして再生する。

 

 『え……あ……その……さ、貞子です。帰ってきました』

 「「え?!」」

 

 動画開始二秒ほどで二人は息ぴったりに驚く。

 

 『どうやって帰ってこれたかはあった時に詳しく話します。でも、私は記憶があやふやで賢斗さんや奈々夏さん、麗依奈さんと勇さんがどんな人なのかあんまり分かってません。会えるのを楽しみにしてるので会える日を翔さんに送ってください』

 

 コレで動画は終わったが賢斗と奈々夏は顔を見合わせてニヤケが止まらなかった。

 

 「「さ、さ、貞子が! 帰ってきたァー!」」

最後まで読んでいただきありがとうございます。

最近どんどん暑くなってきました。自分は普段電車を使うんですが朝の通勤ラッシュなどの人混みのせいで車両内は蒸し風呂状態です。しかし、夜は寒い。そんな中途半端な気温のせいなのか若干風邪気味で咳が止まりません。みなさんも風邪には気をつけてください。

それでは今回はこれくらいで次回も楽しみに待っていただけたらなと思います。

ありがとうございました。

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