第31話酒とオヤジと海底神殿
新しい仲間がまた1人増えた俺たちは、次の神殿を探すべく情報収集をすることにした。
聞き込みって大事だよね。情報は足で稼ぐしかないのです。
それぞれのチームに分け、それらしい情報がないか酒場を回ることにしたんだ。
静かな夜、飲屋街一帯に一斉に火が灯る。
酒場だけでも10店舗はある。
そして、そこにくるお客さん達にもお酒を媒介して、火が灯る。いや、燃え盛る。
「今日ものむぞーーー!!」
「オー!!」
俄然活気が出てくる。
さて、俺達も仕事に取り掛かるとするかな。
「プラチナどっから行こうかな?」
「タケル君となら、何処へでも。」
「んじゃ、手前か攻めますか。」
若干ふくれっ面なプラチナを連れ、左手前の酒場のドアを押して入る。
「いらっしゃい!お二人さんね。奥へどうぞ!」
割腹の良いオヤジが俺達2人をお出迎え。店の中はカウンターが10席、4人掛けのテーブルが6席、大人数用のテーブルが2席だが、結構込み合っている。
「飲み物は何にします?」
むちむちの女性が応対する。
「んー、ぶどう酒を2つ、適当につまめるものもよろしく。」
「はーい!」
オーダーも済んだところで、周りを見回してみる。
若そうな冒険者風な野郎共が3席、大人数のテーブルに10人くらいのガタイが良さそうなオジさん達が1席。
取り敢えず、若者達から聞いてみることにした。
「盛り上がってるね〜。飲んでますかー?」
「急に誰だよ?って、タケル様じゃないですか!!今始めたばっかりですよ。デートですか?」
「おいおい、様はいらないよ。むしろ僕の方が年下だと思うし。デートも違うよ。情報収集をしてるのさ。」
「で、デートじゃないんだ…」
なんか急にプラチナが落ち込み始める。風邪かな?
「いいですけど、俺たちはここの周りで狩りをしてるくらいで、有益な情報特にないですよ?奥のオッさん達に聞いたほうが絶対いいですよ。紹介しますね。親方ー!!」
奥のテーブルににいたムキムキのオジ様が振り向く。髭がスッゲー。
「オウ!なんだ!?」
「タケルさんが色々聞きたいことがあるらしいんですよ。」
「俺の情報量はたけーぞ!ぶどう酒一杯でなんでも教えてやるぜ?」
なんか、ふっかけられるのかと思ったら、めっちゃ話のわかるおじさんなんですけど。
「実は、この辺りに洞窟や、神殿みたいな建物ってありませんか?」
「洞窟はいっぱいあるぞー!すぐ行き止まりだけどな!ガッハッハッハ。」
「階層になっているとこって、やっぱ中々ないですよね。」
「地下2階までのところはあるけど、そういう所を求めているわけじゃないんだろ?」
やっぱり、そう簡単に情報が手に入るわけないよね。
大人数の部下を抱えている人だけに、有益な情報が得られそうな分、俺はガックリと肩を落とした。
「超伝説的なお話とかもないのー?超でかいタコがでるとか、ヤバイ感じのやつ。」
プラチナが諦めずに食いついていくと、若手の冒険者が何か思いついた顔で口を開いた。
「親方、あそこはどうですか?海の中の例のとこ。」
「あそこは、誰も行ったことがないだろ、階層になってるかも分からんしなぁ。」
「それ、詳しく教えてください。」
「海の中の…」
話の内容はこうだった。
30分くらい西の方に行った先に崖があり、崖の下の海底に洞窟らしい入口がある。
また、海底に入口があるから息が続かないから誰も深く入ったことはないみたい。
確かに、息は続かないよなぁ。
他の酒場にも2軒回ってみたが、これ以上のめぼしい情報を仕入れることは出来なかった。
俺たちは一旦ギルドに戻ることにした。
「超たっだいまー!」
一応情報を入手したプラチナが意気揚々と扉を開けた。
「あら、おかえり。その様子だと何か良い情報を得たみたいね。フフフ…」
「やるじゃねーか!俺も仕入れてきたぜ?」
「私もミラクル魅力でゲットしてきたよー。キャピ」
各々情報を得たみたいだ。癖の強い語尾があったが、特に気にしないことにした。
「みんなで一斉に言うよー。せーのっ」
「「海底神殿!!」」
おー、みんな同じ情報だ。
「「誰も入れない!!」」
ズコー。同じレベルの情報しかないじゃないかぁ。
「…我情報有り…村長家に古文書有り…」
亮子ちゃんが、巻物を天高くかざし、みんなの前に広げた。
コロコロと巻物に書かれた文字が…
「…但し解読不能…」
「やるじゃん亮子ちゃん!って、読めないのかーい。」
なんか、一文字も読めないんですけど。コレ。
「いや、全然読めるじゃん?」
流石イッチー、予想外の男である。




