第30話招待と正体とshow time
「え、えっと、はじめまして。」
「何で呼ばれたのかさっぱりわかんないんだけど。」
ダルク君がやはり戸惑っていた。それはそーだろう。準優勝したとおもったら、元村長の家に連れてこられた訳で。
「んー、俺たちのパーティーに入ってほしい。」
「「えーーーー!?」」
ダルク君よりも先にプラチナとイッチーが反応する。そうだった、まだなんも言ってなかったわ。
「戦力を増強したいと思っててさ。」
「みんな気付いてなかったのね。フフフ」
「で、急だと思うけど良かったら考えてほしい。」
「でも、準優勝だし、背も高くないし、力もないんですけど、何が気に入られたのでしょうか?」
確かにダルク君の言う通り、冒険者としては恵まれた体格ではない。
「俊敏性は言うまでもないんだけど、何手も先を読む思考力、周りを見て即決する判断力。そして、最大の決定的要素は。」
みんなが俺の次の発言を固唾を飲んで見守る。
「青い髪で実は女の子って所かな。」
「「ズコーー!!」」
ズコーってなんやねん!めっちゃ大事なとこでしょ。
「な、なんでわかったんですか!?」
お、驚いてる驚いてる。
「まず、視界が悪くなるのを承知でフルフェイスのマスクをかぶってること。声を低くしてるが、気合が入った時の声は女性特有の周波数であったこと。極めつけは、ウエストから腰、太もものラインだ!」
「極めつけが…」
「極めつけ弱くね?」
「…極めて無い…」
「オッパイ星人からヒップ星人にジョブチェンジしたのね。フフフ」
俺の根拠にみんなざわついてやがる。動揺分からんでもないぞ。
ダルクさんは、体を震わしながら。
「アハハハハハ、面白い。パーティーに入らさせてもらいます。本名はマリア・ダルク。マリか、マリアとお呼びください。」
新しい仲間が増えた瞬間だった。
「仲間にしたかったのはプラチナが新しい魔法を手に入れたのと、マリの魔力値が飛び抜けてたことで、後方のスペシャリストになってもらいたいからなんだ。」
俺の真の目的を伝え、みんなに新しい魔法の紹介を始める。
「新しい魔法は支援魔法。素早さを向上させるアジリティ、腕力を増強するストリングス、相手の能力を可視化するライブラ。主要なのはこれらで、全体を俯瞰し、相手の先を読んで魔法を組み合わせ、戦闘を有利に進めてほしい。」
「ヤマタケ欲張りすぎじゃね?」
「超心強い!」
「…無敵」
「何となくやりたいことは分かりました。みなさんの戦力を把握したいので詳しく教えてくださいね。」
「あら、マリちゃんそんなに丁寧に話さなくてもいいのよ?いつもの自分を早めに出しとかないと損しちゃうわよ?フフフ」
「え!?でも、本当の私はちょっと引かれちゃうと思うので、これで行かせてもらいたいのですが。」
「駄目だ!君の真の姿を見せないとみんなの輪の中に入れないぞ!!私も中々馴染むのに苦労したのだ!!見せたまえ!!」
エイ君がなんか、熱血キャラに変わってるんですけど…
「では…はっじめましてー!キャピ☆年齢は14歳の女の子。ある時はフルフェイスの戦士、ある時はパン屋の看板娘、その正体は、酒場の劇場のみんなのアイドル!マリちゃんでーーーす!」
マリちゃんはノリノリである。
「「…」」
とんでもないパンドラの箱を開けちまった俺達はただ、圧倒されるだけだったんだ。




